二人きりになった放課後の準備室。扉が閉まる音がやけに大きく響く。
湊が振り向くと、すぐそこに九条。
笑っていない。いつもの仮面もなし。
「逃げられると思った?」
低い声が背筋をなぞる。
「べ、別に逃げてなんか……。」
「嘘下手すぎ。そういうところがいちいちイラつくんだよ。」
九条が歩み寄ると同時に、壁際へ追い詰められる。
「湊さ……俺の前だと本当にバレバレなんだよ。 “早く近づくな”って顔してんのに、 内心は“来いよ”って泣きそうに待ってる。」
「待ってねぇし……っ」
「待ってんだよ。黙っとけ、図星突かれて動揺してんの丸見えだから」
九条の指先が湊の顎を持ち上げる。
「なあ、湊。
お前ってほんと、俺に弱いよな?」
「弱くねぇし……!」
「強がり。見苦しい。 ほら、反論してみ?
どうせすぐ声震れて喋れなくなんだろ」
湊が言い返そうとすると、九条はわざと意地悪く口元を押さえた。
「喋んなって言ったよな? 言うこと一つも聞けないの?」
「……っ」
「返事」
「……聞く……。」
「そう。
その素直な声だけで十分だわ。」
九条は湊の耳元に口を寄せ、わざと吐息をかける。
「お前さ、俺に“もっと言われたいくせに”って顔してる。
わかってんの?」
「そんな顔してない……!」
「してんだよ。鏡見せてやりたいくらい」
九条の声がさらに低く甘くなる。
「湊。
お前、俺に何されても文句言えねぇよな。
だって…」
すっと髪を撫で、囁く。
「“俺にだけは”言われるの、嫌じゃないだろ?」
湊の呼吸が止まる。
その反応を見て、九条は腹黒く笑った。
「可愛い。素直。弱い。 ……全部、俺が言った通りだな?」
胸元に触れるギリギリの距離で、九条は湊の目を覗き込む。
「湊。 お前は俺の言葉一つで赤くなる。
逃げたいのか来てほしいのかわからなくなって、 結局俺の声に支配される。」
指で軽く頬をなぞる。
「だから好きなんだよ。 お前みたいに反応が正直なやつ ……弄り甲斐しかねぇだろ?」
言葉は冷たいのに、声だけが甘くて優しい。
九条の“言葉だけの支配”に湊は完全に捕まっていた。
先に謝る。ほんとにすんません!!
今日期末テスト開始たったんですよ。だから2週間ぐらい投稿できません。で、来週投稿出来んじゃね?って思う方もいると思います。
実は来週は実力テスト、模試がありまして…だから投稿できません。ほんとにすみません。








