「廊下でその女の人とぶつかって、目が覚めたらこんなことに」
そう語る女性はスカートを履いているにも関わらず、まるで恥ずかしげもなく足を開いて椅子に座っている。
医者はなんとも言えぬ表情をしながら、自らの隣に控えているナースと顔を見合せてから、もう一度女性に向き直った。
「確かに先程の貴方自身のお話を聞く限り、間違いなく貴方はN男さんですね」
ひとつ咳払いをして、医者はこう切り出した。
「まあ、ありえない話ではないでしょう。昔から頭を強くぶつけ合った男女は身体が入れ替わってしまうものです」
何やら的はずれな見解を出した医者に、ナースが間髪入れずに噛み付いた。
「先生、フィクションに影響を受けすぎるのも困りものですよ」
すると医者も負けじとナースに食いかかる。
「何を言うかね、君。一体どれだけの研究者が攻○機動隊の影響を受けて、仮想空間の研究を行ったと思って…」
このままでは置いてけぼりだ。慌てて女性改めN男は医者に尋ねた。
「ところで、この身体の持ち主はどうしているのでしょうか?」
「何処でどうしているかは分かりかねますが、貴方の身体を調べた時点で貴方の身体はもぬけの殻でしたよ。」
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