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「ねぇ、ちょっとー。 」


お風呂から上がりリビングに入ると、いつもの定位置に座ってテレビを見てくつろいでいる若井が居た。

仕事の際、基本的にぼくの左側に居る若井は、その方が落ち着くのか、プライベートでもぼくの左側に居る事が多く、今座っているソファーも自分の右側を空けて、左側に座っている。

ただ、いつもと違うのは、前にお揃いで買ったクッションの、ぼくがいつも使っている方を若井が抱きしめていると言う事。

直ぐに違和感に気付いたぼくは、少し不機嫌な声を出した。




「それ、ぼくのクッションなんだけど。」


別にぼくのと正式に決まっている訳では無いけど、白いのがぼく、グレーのが若井と、何となくお互いいつも決まった方のクッションを使っていた為、若井が白いのを使っているのに凄く違和感を感じた。




「いいじゃーん。こっちのクッション元貴の匂いがして落ち着くんだよね。」


そう言って、抱きしめていたクッションに鼻を近づけてクンクンと匂いを嗅ぐ若井。




「やだっ。なんかキモい!」

「ひどっ!そこは喜ぶところでしょっ。」

「今のどこに喜ぶ要素があるんだよ。」

「えぇー、“ぼくの匂いが落ち着くの?嬉しい♡”とかさっ。」

「うざ。てか、ぼくそんなぶりっ子した話し方しないし。」

「まあまあ、そんなぷりぷりしないでこっちおいで。」


そう言いながら、若井は自分の右隣をポンポンと叩く。

ぷりぷりってなんだよ!と言い返しながらも、ぼくもソファーに座ると、若井はグレーのクッションをぼくに渡してきた。




「今日はおれの方貸してあげるぅ。」

「貸すとか意味分からんしっ。」


悪態をつきながらも、やっぱりいつも膝の上に置いているクッションがないのは気持ち悪い為、渋々受け取ると、ギュッと抱きしめた。




「っ、…。」


すると、微かに若井の香水が香り…




「元貴、顔赤いよ。」

「?!?!」


ドキドキしてしまったのを若井に見られてしまった。




「ドキドキした?」

「う、うるさいっ!」


ニヤニヤしながら聞いてくる若井にぼくは持ってたクッションを若井に投げつけた。




「否定はしないんだー?」

「…!」

「よーし!今日は張り切っちゃおうかなー!」

「は?何を?」

「何をって…ナニを?」

「ばっ、バッカじゃないの!」

「だって、元貴がおれの匂いにドキドキしてくれて嬉しいんだもんっ。」

「わあっ!ここで襲うな!…てか、とりあえずお風呂入ってこいよ!」


発情した若井が、キスしようとしてきたので、ぼくは投げつけたクッションを取り返し、クッションで顔をガードをする。

すると、また若井の香水が香り…


もうやだ、、なんかぼくまでそんな気になっちゃったじゃんか。




「言葉は乱暴なのに、嫌とは言はないのが元貴の可愛いとこだよねー。」


そう言いながら、お風呂へ行こうとソファーから立ち上がった一言多い若井に、ぼくはまた持ってたクッションを投げつけた。



「ほんっとにうるさい!早く行けよ!」


そう言って、今度はぼくが立ち上がり若井より先にリビングのドアに手を伸ばした。




「どこ行くの?」

「寝室。早く来ないと寝ちゃうからな!」

「なにそれ、かわ


バタン!


もうっ、

可愛いって言うなっ。


最後まで若井の言葉を恥ずかしくて聞かなかったぼくは、熱くなった顔を手でパタパタしながら、寝室に向かった。











-fin?-

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