今日は暑いなぁ…。
あぁ、そうだなぁ。
年々暑さは増すばかりだな。
何処かから声がする。恐らく人間が話しているのだろう。
最近の気温は人間にとっても、僕たちにとっても暑すぎる。
それでも、涼しくなって欲しいとは思わない。
日の出が遅くなり、入りが早くなる。
暑さも和らぐ頃、 人間は喜ぶのだろう。
僕たちにとってそれは、世界の終わりを指し示している。
僕たちにとって太陽は、いつも世界の中心だ。
空の真上で輝いている。
最近知った。
この世界はどうやら暑いばかりではないらしい。 夏ばかりではないらしい。
毎日、日が暮れる頃、僕たちに水を与えに来る人間が言っていた。
「夏も終わりかけだね。そろそろ秋が来る。そうしたらすぐに冬になる。春が待ち遠しい。」と。
この世界にはどうやら、夏以外にも、はる と あき、それと ふゆ というものがあるらしい。
見てみたいな。
寒いという感覚を知りたいな。
それでもこの願いは叶わない。
知らないではなく、知れない。
知っている。知っているのだ、それくらい。
だからこそこんなにもどかしい。
あぁ、もうすぐ僕の世界は終わるらしい。
はる も、
あき も、
ふゆ も、
さむいもない。
夏と暑さだけの、僕の世界は終わるらしい。
次の夏、新しく芽吹く命は、もう僕ではないのだろう。
9月の初め頃、家の庭に咲いていた向日葵は崩れ落ちるように枯れていった。
コメント
4件
ろうえいさんの作品はほんとに引き込まれますよね!!!読んでて凄く楽しいです♪花視点で物語を書くのって新鮮で凄く面白いです!!
今回も神作ですね!!! 今回もめちゃくちゃ良かったです!!!! なるほど…季節を知らないんですね! まぁ…春前〜夏しか咲かない花ですから 無理も無いですね… それでも、いつか生まれ変わって 寒いのも暑いのも感じれると良いですね! 雰囲気は凄く優しい様な感じを覚えます… …内容は叶わない夢の話なのですが… 次回もあったら 楽しみに待ってます!!!!
なんか、かっこいいですね、ろ~え~先輩の小説は