テラーノベル
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『ハヤト:おはよう〜、昨日どうだった?』
『ハヤト:今日のサークルの集まり、行くよね?』
朝起きて、スマホを見ると、トムからのラインが入っていた。
サークルの集まり。
……あぁ、そうや。今日やった。最悪。
まだあまり働かない頭で思い出しながら、トムに返信しようとしたはずなのに、手が無意識に違うトーク画面を開いていた。
「……、…いや、……馬鹿かて、」
力のない突っ込みを小さく声に出し、開いてしまったトーク画面をすぐに閉じた。
毎朝、俺の『おはよう』から始まっていた、たっくんとのライン。
それを、多分無意識に、送ろうとしていた。
「……っ、……あ〜……行きたくねぇ、」
トムへの返信も忘れて、スマホをベッドに軽く投げた。
……昨日の朝までは、送れたのに。
初めて、ラインを一度に、いっぱい送ってくれたのに。
そんな事ばかりを考えては、唇を噛み締めた。
「…………〜っ、あ〜!やっぱ、気分転換や!」
半ば無理矢理に身体をベッドから起こして、出かける準備をし始める。
家を出ようと、スマホをバッグのポケットに入れようとした時、バッグに付けているキーホルダーが目に入った。
……たっくんが、俺にくれた、謎のキャラクターのキーホルダー。
“てか、この取れたやつ、貰っていいと?”
“いーよ。てかそれなに?”
“え、わからん。”
“あんま可愛くないよね”
“いや全然可愛くないけん”
“ぶっ、言い過ぎだろ”
“さすがに言ってええやろ”
“っ、ふ、ふふっ、、!”
“ふっ、あははっ、!”
2人で笑い合って、楽しくて、
俺が、
たっくんの事を好きだと、
気付いたあの瞬間。
「……っ、」
思い出すと苦しくなって、顔が歪んでいくのを必死に抑えながら、キーホルダーをバッグから外すと、そっと玄関に置いて、家を出た。
***
「リュウキおはよ〜、ねぇライン返事してよ、来ないかと思ったじゃん!」
「あー、…ごめん。寝とったけん、」
現地に着いてすぐに、トムが俺を見つけ、声を掛けてきた。
ごめん、と謝りながら辺りを見渡すと、ワイワイと賑わうサークルのメンツに、早速帰りたくなってしまう。
今日は、大学の近くで集まって、バーベキューが開催されている。
いつもなら、この手の集まりは喜んで参加する。なんなら楽しんでる方。
……でも、今日だけは、さすがにそんな気になれない。
端っこの椅子に座ると、少し心配したようにトムが隣に座った。
「なに、どうしたの?元気ないね、」
「あー、…うん、まぁ、ちょっとね」
「ちょっとって……、あれっ、?!」
「びっくりした…っ、なんっ、」
「リュウキ!キーホルダーないよ?!来る時に落としたんじゃないの…?!」
「え…っ、」
トムの視線は俺のバッグに注がれていて、キーホルダーが付いていないことに気付くと、珍しく大きな声を上げていた。
……俺が、大事にしとったの、知っとるもんな、
そう切なくなりながらも、返事をした。
「あぁ、……うん。…あれは、外した。」
「っ、……え…、?なんで…、」
「……ええけん、もう。」
「……良くないでしょ。…昨日、何かあったの。」
「…、」
「リュウキ…?」
……何から、話そう。
あんなに背中を押してくれたトムに、嬉しい報告をすることができない。
……あぁ、そういえば俺、
昨日、たっくんに、告白するつもりやったんや。
“好きじゃない”
本当は、あんな言葉じゃなくて。
ちゃんと、もう一度、
言いたかった。
“好きだ”って。
「……トム、……、俺、…、」
「……ん、?」
「……っ、おれ、……っ、…」
「っ、りゅうき…?ねぇっ、大丈夫…っ、?」
話し始めると声が震えてきて、トムは俺を隠すように肩に手を回すと、その場を離れ、遠くへと連れ出してくれた。
……
「……リュウキ、何があったの。教えて…?」
木陰のベンチに腰を下ろすと、トムが静かにそう聞いてくる。
「っ、…トム、」
「……ゆっくりでいいからね、」
言葉に詰まる俺を、トムが優しい声で包んでくれた。
その声に導かれるように、ゆっくりと口を開く。
「……昨日…、俺、……たっくんに、…もう一回、告白しようと思ってた、」
「……うん、」
「でも、……たっくん、なんか様子おかしくて。……聞いたら、…先生が、会いに来たって。」
「っ、え…、?」
「……大学を辞めて、…教師も辞めて、東京に行くから、ついてきてほしい、って、言われたって…、」
「え…っ?!……それっ、て……っ、」
「……っ、先生、…たっくんのこと、…本当は、ずっと、……好きだった、って。」
「っ、…嘘でしょ……、」
「……行くの、って、……聞いたら、……ごめんって、言われて……っ、」
「……っ、……りゅうき、、」
俺の話に、トムの声が曇っていく。
きっとそれは、先が見えたから。
たっくんはきっと、先生と、東京に行く。
分かってたはずなのに。
どこかでまだ、
……全然、
受け入れることなんて、できてない。
「っ、……俺、…っ…たっくんに、…っ、もう、…すきじゃないって、っ、…いっ、、、」
そっか。
もう、たっくんと、会えなくなるんだ。
会いたい、なんて、言えないんだ。
もう、
……好きって、言えないんや。
自分で言ったくせに、
急にそんな実感が沸いて、
でも受け入れられなくて、
……心が、嫌だって叫んで、
身体が、拒否をして、
涙がぽろぽろと、容赦なく、零れ落ちていく。
「っ、う、…っ、、ひっ、、っ…ぅ、……っ、」
「りゅうき……っ、、」
「う…っ、ひっ、く、っ、…うあぁ…っ、〜〜っ、、」
「っ、りゅっ、…うん…っ、〜っ、がんばったね、っ、」
抑えていた感情が、一気に溢れて、止まらなくなった。
涙ぐんでいるようなトムの声が聞こえて、背中を大きな手が優しく撫でた。
“がんばったね”
その言葉に、内心救われていた。
俺の本当の気持ちを、分かってくれている気がして。
トムには、甘えてばっかりやけど、
……トムにだけは、
本音を、言えるから。
「っ、…おれ、っ、…ぅ、、ほんとは、っ、…おもってない…っ、」
「…っ、…うん、、」
「すきじゃっ、ない、なんて、、っ、ひ、ぅ、っ、おもっとらん、、っ、」
「…、うん…っ、わかってるよ。」
「〜っ、いっで、っ、ほしくない……っ、たっぐんに、っ、あいたぃ……っ」
「うん…っ、そうだね、、っ、」
溢れ出していく情けない本音を、ただひたすらに肯定しながら、トムは俺が泣き止むまでずっと、背中を撫でてくれていた。
***
「リュウキ、…本当に大丈夫、?」
「ん、…大丈夫やって、」
「帰るなら、ハヤトも帰るから。声掛けてね、?」
「うん、…ありがと、トム、」
「ううん。…じゃあ、ちょっと行ってくるね?」
トムに気持ちを吐き出せて、少し気持ちを落ち着かせた後、みんなの元へと戻ってきた。
心配そうに俺に声を掛けつつも、先輩に呼ばれてバタバタと行ってしまったトムを眺めながら、再び端の席に腰を下ろす。
楽しそうに談笑しているみんなを見ながら、いつ抜けようかななんてぼーっと考えていると、ふいに声を掛けられた。
「リュウキくん、おつかれっす!」
「っ、おー。びっくりした、」
「食べないんすか?持ってきましょうか?」
「…あー、うん。ええよ、自分でやるけん」
「そうすか…?じゃあ……、」
仲の良い後輩に話しかけられ、そのまま会話を続けていると、少し間が空いて、なんだかぎこちない空気をふと感じ取った。
なんか気を遣わせたかなと、声を掛ける。
「気遣わんでええけん、ありがとな」
「……あの、リュウキくん。」
「ん?」
「ちょっと、あっちで話しません?」
「え?…うん、いーけど、」
場所を移動して、少し離れると、なんだか改まったように、いきなり俺の方を向いた。
「……突然ですみません。……俺、リュウキくんの事、好きです。」
「……っ、え…、?」
「俺と付き合ってくれませんか?」
まさか告白されるなんて思ってもいなくて、ただただ、動揺してしまった。
そんな風に見たこともなければ、考えたこともなかった。
ただの、仲の良い後輩。
……たっくんにとっても、
俺は、その程度やったんかな、
ふと、そんな事が、頭を過ぎってしまう。
どれだけ頑張ったって、結局、
相手にそう見られなきゃ、意味が無い。
……そんなの、悲しすぎる。
無意識に、好きだと言ってくれた後輩に、自分を、重ねていた。
好きだと口にする事が、どれだけ、勇気がいることなのか、
……報われないことが、……どれだけ、辛いのか。
全部、痛いほど、分かっている。
……分かっているから、
断るなんて、できなかった。
「……ありがとう。……ちょっと、考えさせて。」
「……さっき、泣いてましたよね、」
「っ、え…、」
「俺は、泣かせたりしません。……返事、待ってますね……っ、」
「っ、…、」
“泣かせたりしません”
そう言って去っていった後輩に、
俺の事を、見てくれている人がいるんだと、
……一番見てほしかった人には、届かなかったんだと、
嬉しいような、…悲しいような、
そんな感情が、胸の中で、静かに混ざり合っていた。
***
みんなの所へ戻るも、たっくんのこと、後輩のこと、……なんだか色々ありすぎて、やっぱり今はここにはいたくないと、帰ることを決めてトムに声を掛けた。
「…トム、俺やっぱ帰るね。」
「じゃあハヤトも帰るよ、一緒に帰ろ。」
「うん、」
サークルのみんなに帰ることを伝えると、告白してくれた後輩と目が合って、そのまま俺を見つめると、ぺこ、と頭を下げた。
小さく手を振って応えると、その場を後にした。
「……リュウキ、あの子となんかあったの?」
「え、?」
「さっき、…なんか、リュウキの事見てたから。リュウキと仲良かったよね、」
帰りながら、トムに鋭くそう突っ込まれ、自分でも整理が追いつかないまま、後輩との事を口にした。
「うん、……さっき、告られた。」
「え、っ?!まじ…っ、?」
「まじ。…正直俺もまだびっくりしとる、」
素直にそう言うと、少し躊躇しながらも、トムが慎重に言葉を続けた。
「……断ったの、?」
「ううん。…考えさせてって言った、」
「えっ、?どうするの、」
「……まだ分かんない。」
俺が”考えさせて”と言ったことに驚いたのか、目を丸くさせるトム。
少しの静寂が訪れて、歩く足音だけが響いていく。
何かを考えていたのか、再びトムが口を開いた。
「……聞いてもいい?」
「うん、」
「なんで断らなかったの、」
「……、いや、…勇気いったやろうなって。」
「え、?」
「……分かるから。気持ち。……それに、」
「……それに、?」
「……”俺は泣かせたりしません”とか言われて。……そんなこと言ってくれる人も、おるんやって、なんかさ…」
「っ、リュウキ……、」
トムに話しながら、少しずつ後輩の言葉が、身に染みていく。
それと同時に、自分がたっくんへ放った言葉も、重くのしかかっていく。
“俺は泣かせたりしません”
俺も、そう、言っていたら、
たっくんの気持ちは、少しでも、
……いや。
見たやんか、たっくんの泣きそうな顔を。
あの時、あの顔をさせたのは、俺やんか。
泣かせたりしない、
それができるのは、
……俺じゃない。
「リュウキ、……ちゃんと、考えなきゃだめだからね、」
「わかっとうよ、」
心配と不安が入り交じったような顔をするトムに、わかっとると返事をして、分かれ道でバイバイをした。
***
トムと別れて、海沿いの道を歩いていく。
海に目をやると、今の俺には痛いくらいに、水面がキラキラと輝いている。
家に帰るには、避けては通れない道。
色んな事が思い浮かぶ前に、海から目を逸らそうとすると、海の家から出てくるラン兄の姿が目に映った。
その姿を見た瞬間、自然と足が、海に繋がる階段を降りていく。
「……ラン兄…っ、」
「お、リュウキやん。どしたん、また遊び来たと?」
「…や、通りかかって、ラン兄が出てくるの見えたけん。」
「そうなん?…あ、たっくんとこないだどうやったんよ〜。」
「……っ、」
「リュウキ、?」
からかうように聞いてくるラン兄に、胸がぎゅっと掴まれたように痛くなる。
……ラン兄にも、ちゃんと言わんと。
「……ラン兄、…ちょっと話せん、?」
「…ええよ。ちょうど休憩やけん、」
ラン兄を誘って、そのまま、降りてきた階段に2人で腰を下ろした。
***
「……っ、……嘘やろ、」
「……うはは。トムと同じ反応しとう。」
ラン兄に、洗いざらいたっくんとの事を話すと、言葉が出ないといったように絶句していた。
さっき、トムに話して感情を吐き出したからか、俺と同じようにショックを受けてくれたからか、ラン兄の反応を見ても、俺はなんだかやけに冷静でいられていた。
そんな俺に、ラン兄も違和感を持っているようだった。
「……なんか冷静やん、」
「うん、…なんでやろ。トムとラン兄が、悲しんでくれたけんかな」
「……まだ、気持ちが追いついとらんだけよ、それは。」
俺が冷静に話すからか、ラン兄も変に慰めるわけでもなく、俺の気持ちを整理してくれるように、話を続けてくれた。
今の俺にはそれがありがたく感じて、とにかく気持ちを軽くしたくなって、ラン兄に思ってもないような冗談を吐いた。
「ラン兄、俺と付き合ってよ。」
「は、?おい何言っとんや、冗談にもならんけん。」
「なんで?ええやん、俺ばり一途よ?」
「はいはい、そうやろな。笑」
「えー、なんなん、イケメンと付き合って後悔させたかったのに。」
「心にも思ってないこと言うなって。」
「……そんなんわからんやんけ。」
やっぱりバレとうか。
でも、少しだけ、自分でも知らなかった本音が盛れた気がした。
後悔させたい、
そこまでの強い気持ちじゃないけれど、
たっくんが少しでも、俺に対して、そういう気持ちを持ってくれていたらと、心の奥底では思っていた。
「わかるやろ。全然思っとらんくせに。」
「うっさい。…なんなん、もしかしてラン兄、好きな人おるん。」
「はっ?なに、急に…っ、」
「あ、わかった、カイリュウやろ?」
「っ、え、?」
「違うと?」
「っ、……や、てか今は俺のことやないやろ、」
「なん、違うんなら俺でええやん。」
「いやいや…っ、…てか俺がたっくんと友達なん忘れとうやろ…」
「………あ、そうやった、、」
「おい、、笑」
ラン兄の苦笑いに、はは、と乾いた笑いが出る。
自分でも、俺何言っとんやろなんて思いながらも、冗談を言うのが止められなかった。
現実逃避なのか、……自暴自棄なのか、
気が付けば、そういう気持ちで口を動かしていた。
「……じゃあ後輩と付き合おっかな」
「後輩、?」
「うん。……俺さ、今日告られたんよね」
「え、?そうなん…っ、?」
「そう。結構仲良い後輩でさ。…考えさせてって言ったけど、……いいよって、言っちゃおうかな、」
「……本気なん、」
本気。
そりゃ確かに、本音を言えば、俺はあの子にそんな感情はない。
……でも、あの子はきっと、本気やけん。
「……だって、……好きな人に、…振り向いてもらえんのは、辛いやろ、」
「……っ、リュウキ…、」
「好きになるより、好きになられる方が、幸せやん。」
俺は、……誰との話を、しとるんやろう。
なんで、言い聞かせてるんやろ。
「……やけんって、気持ちが無いのに付き合うんは違うやろ、?」
「それはまだわからんけん。付き合ったら好きになるかもしれんし。」
「おい、リュウキ…っ、」
「こういうのってさ、返事って早い方がええよね?…明後日また会うし、その時返事しよっかな」
「……ちゃんと、自分の気持ち優先しろよ、」
“ちゃんと、考えなきゃだめだからね”
……あ、また。
また、ラン兄、トムと同じ事言っとうやん。
ちゃんと、考えるってなんやろう。
……自分の気持ち、優先するって、どうやるんやったっけ。
「しとるけん。…俺は、好きだって言ってくれた人の事、ちゃんと考えたい。」
「……、たっくんは、考えとらんってまだわからんやろ…っ、」
そんなの、決まっとうやん。
たっくんが、今まで散々苦しんで、
やっと、夢見てた幸せが、目の前に訪れて。
それを、掴まずにまた苦しむなんて、
そんなの、俺だって、望んでない。
「……あんだけ好きやった人に、全部捨てるからついてきてって言われたら、行くやろ、そりゃ。……たっくんは、悪くない。…っ…悪くないんよ、」
「っ、……りゅうき…っ、かっこつけんなよ……っ、」
「……っ、…俺はもうええけん、たっくんが幸せなら…っ、」
「……、本当に、…そう思っとったら、……そんなに声、震えんよ、」
「っ、……、」
ラン兄の言葉に、思わず下唇を噛み締めた。
唇が震えて、なかなか口を開くことができないでいると、静寂に包まれて、波の音が耳に入ってくる。
……たっくんと海で遊んだあの日も、ここで波の音を、聞いたっけ。
俺が、帰りたくないって思ってたら、
たっくんも、同じ事を、考えてて。
……楽しかったって、言ってくれて。
“たっくん、”
“ん?”
“俺、また、誘うから。また一緒に、楽しいことしようね?”
“…っ、ふふ。うん。ありがとね”
“ばいばい…っ”
“……またね、?”
ありがとうって、言ってくれたやん。
……またね、って、言ったやん、、っ、
キラキラした海が、思い出が、
涙で、滲んでいく。
「リュウキ…、?」
「っ、、…あははっ、やばい、……海見ると…っ、だめかも、」
「海…、?」
「うん……っ、」
思えば、たっくんとの思い出は、海辺にたくさん置かれていて。
初めてたっくんと遊んだ日も、たっくんに好きだと言った日も、家に呼んでくれたあの日も、海に一緒に行った日も、
全部、……ぜんぶ。
ここにたくさん、散りばめられていて。
「…俺、たっくんと初めて遊んだ時、めっちゃ緊張しとってさ…っ、……顔、見れなくて。車から、ずっとこの海眺めとった…、」
「…うん、」
「たっくんが先生のこと話してくれたのも、ここに座ってたときで…、俺、…それでも好きやけんって、その時、初めて、告白して…っ、」
「……っ、うん…、」
「……家に行った帰り道、ここの近くのコンビニで、一緒にアイス食べたりしてさ…っ、……たっくんと一緒に海で遊んで、楽しそうに笑ってくれて、帰りたくないって言ってくれたのもここで……っ、」
「っ、、うん…、」
「ここに来ると、…っ、なんか、……やっぱり…っ、」
やっぱり、
俺は、
「っ、たっくんの事が、っ、…好きやなって…っ、思って、しまうけん…っ、ほんとは、もう、来たくなくて…っ、」
「…っ、りゅうき、、」
海を見ると、どうしても、思い出してしまうから。
たっくんが、楽しそうに俺をからかう姿も、
苦しそうに話してくれた姿も、
俺の頭を撫でながら、微笑んでくれたことも、
一緒になってはしゃいで、
子供みたいに、笑ってくれた姿も。
嬉しくて、幸せだった思い出まで、
失いたくない。
「でも…っ、ラン兄の顔見たらなんか、話、聞いて欲しくなって…っ、……変なことばっか言ってごめん。なんか、ちょっと、吐き出したかっただけやけん。全部、今だけ。……今日だけやけん、」
「……っ、リュウキ、…」
ラン兄が、何かを言いそうな気がして、
でも、聞いてしまったら、
俺の気持ちは、潰れてしまう気がして、
無理矢理に、言葉を放った。
「……たっくんの事、ちゃんと、……っ、忘れられるように、…っ、前、向くけん……っ、」
「っ、え……、ちょっとまって、」
「うん、はいっ、終わり。ありがとね、ラン兄…っ、……ばいばい、!」
「えっ、?リュウキまって、!おい……っ、!!」
これ以上、気持ちが溢れていく前に、
ラン兄と海に背を向けて、階段を駆け上がっていった。
コメント
15件
お久しぶりです! え全然泣きました。天才ですか?私リュウキと同じ思いをした事があるので、感情移入どころか融合してます😭タクリュキは速攻ゴールインからの他カプにイチャコラ見せつける流れだと思ってたので、いい意味で期待裏切られて最高です👍リュウキとたっくんを親子丼にして食べたいくら胸が苦しいです😭胸のモヤが取れない😭

今回も最高でした!! 続きほんとに楽しみです!!

更新ありがとうございます! 苦しすぎます... リュウキに切なくなる... 強がっちゃうのもリュウキらしくて、たっくんのことを考えないようにしようとするのもリュウキらしい... ハヤトとラン兄が励ましてくれるのも心に響きます... リュウキには諦めてほしくない... 次回も楽しみにしてます!