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#文スト中原中也夢
茉莉(まつり)
9,853
78
向葵/あおい 引退済み
720
1話 不思議なお客様
ベリアンは、冷えたハーブティーの残りをカップへ注ぎ足しながら、小さく息を吐いた。
デビルズパレスの回廊は静まり返っている。主様の身の回りの世話を終え、ようやく執事としての夜の業務が一区切り着いたところだった。だが、屋敷の警備網にほんの小さな「揺らぎ」が生じたのを、ベリアンの鋭い勘は見逃さなかった。
主様を起こさぬよう静かに裏庭へ向かうと、そこには月明かりを背にして立ち尽くす、見慣れぬ人影があった。
茶色のロングコートの裾を夜風にはためかせ、首元には包帯が巻かれていた。その男——太宰治は、珍しそうに周囲の庭園を眺めていたかと思うと、ベリアンの気配に気づいてひらひらと手を振った。
「やあ、こんばんは。怪しい者じゃないよ、ただの迷子さ。いやあ、ヨコハマの川に入って流されていたはずなんだが……目が覚めたらこんな素敵な庭園にいるなんてね。君、ここはどこか教えてもらえるかい?」
あまりにも堂々とした態度余裕な笑に、ベリアンは思わず背中に寒気を感じだ。「この方は只者では無い」と。ベリアンは心を落ち着かせながら執事としての礼儀を崩さず、間合いを詰めさせない鋭い視線を向ける。
「……ここはデビルズパレス。主様がお休みになっている邸宅です。どのような手違いで迷い込まれたかは存じませんが、不審者の侵入をそのまま見過ごすわけにはいきません」
「デビルズパレス、主様…ね」 太宰は面白そうに目を細め、顎に手を当てた。
「…ふむ……異能力の仕業か、あるいは異世界の類か。まあ何にせよ、君の立ち振る舞いは立派なものだね。……でも、少し肩の力を抜いたらどうだい? そんなに張り詰めていると、死に損なってしまうよ」
「……お断りします。私は主様をお守りする執事ですから」
冷ややかに言い放つベリアンに対し、太宰は
クスクスと楽しそうに笑った。その瞳の奥には、すべてを見透かすような底知れぬ闇と知性が宿っている。ベリアンは直感的に理解した。この男はただの浮浪者でも、無謀な侵入
者でもない。異能特務課や武装探偵社といった、別世界の混沌を背負ってきた人間だ、と。
「主様、か。君たちが命を懸けて仕えるその人は、随分と愛されているんだね」
太宰はふっと柔らかい、どこか寂しげな笑みを浮かべると、背を向けた。
「安心したまえ、荒らしに来たわけじゃないんだ。朝になれば、私の仲間がうるさく探しに来るか、あるいは勝手に元の世界へ引き戻されるだろうからね。それまで、どこか静かな場所で月でも眺めさせてもらえるかい?」
ベリアンはしばし沈黙した後、小さな溜め息をついて言った。
「……主様のお休みを妨げないとお約束いただけるなら。温かいお茶くらいはお出ししましょう。お客様」
「おや、冷徹な執事さんかと思ったら、案外優しいんだね。よろしく頼むよ」
悪魔の力を借りて主を守る執事と、死を望みながらも生を駆け抜けるヨコハマの異能者。相容れないはずの二つの世界の影が、月下の庭園で静かに交差していた。
𝓉ℴ 𝒷ℯ 𝒸ℴ𝓃𝓉𝒾𝓃𝓊ℯ𝒹
どうも、主です
今回はあくねこ×文ストのクロスオーバーを書きました
誤字とかもしかするとあるかもしれない…
主様(主人公)は次の話で紹介します
ではまた、次の話で
コメント
1件
おお、第1話からテンション上がるやつー!🔥 「あくねこ」×「文スト」のクロスオーバー、太宰がデビルズパレスに迷い込むって発想がもう天才すぎるわ。 ベリアン執事のプロっぽい警戒心と、飄々としてるのにどこか寂しげな太宰の対比がめっちゃ映えてた。「死に損なってしまうよ」って台詞、らしさ全開でにやけた。 異能 vs 悪魔の執事、っていう構図がこれからどう絡むのか楽しみ。主様の登場も気になるし、続きマジ待ってる!