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ふたりの暮し

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ふたりの暮し

1 - どうか、心を奪わないで

♥

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2025年01月04日

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どうか、心を奪わないで

「今月はこれで足りるかな…………」

「バイト増やそうか〜?まぁ稼げないかーこんなとこで」

「ギリギリなのは変わんないしいいよーなんとか頑張ろう」

「お姉ちゃんのヘソクリは?」

「先々月使っちゃった……」


姉 希乃(キノ )

妹 雫(シズク)


希乃「あーーー餓死はやだよう〜」

雫「やめてよ縁起でもない、

私バイトいって くるわぁ」

希乃「はーい、あっ待って!

■■くんのお見舞いは??」

雫「あーそうだった、バイト頑張って早めに

帰ってくるから先に行ってて」

希乃「おっけーいってらっしゃい!」

___________________


雫「面会時間まで間に合うかな〜

…いや大丈夫だな、歩こ」

(■■くんは病気だけど友達で、あんまお見舞いに人が来ないから私たちが行ってあげてて…なんの病気か知らないけど元気で、退院したら一緒に暮して…)

雫「あ〜〜ちょっと楽しみ!」

___________________


雫「…■■くん?……え…なに…?」

希乃「…雫が、来る前に死んじゃった。

病気、めちゃくちゃ悪かったみたい」

雫「……私、ごめん。

…最期、話したかった…」

希乃「…2人とも、ありがとうって、

言って。そのまま」

雫「■■くん………」(死ぬとほんとに…)
 「はは、うごかない………■■くん……」

___________________


希乃「……午前中に焼いてもらえるらしい

から、骨、明日の昼もらいにいこう」

雫「…。まだ…声が聞こえる気がする。

生きてる気がする。」

希乃「うん、そうだね。うん…今日はもう

寝よう?まだ聞こえるなら、耳、塞ぎな。」

雫「寝ながら?…ふふ、無理があるだろ……」

__________________


希乃「ちっちゃくなったなぁ…

赤ちゃんみたい」

雫「骨壷のこと赤ちゃんって言わないでよ…」

希乃「んふふ、でもこのサイズなら部屋で

一緒に暮せるわ」

「あーなんか眠くなってきた、はやく帰ろー」


雫「まだ昼だよ…」

___________________


希乃(最近眠いし、体も調子悪いのは内緒。

病院も行かない。私までいなくなったら、

雫の暮し、続かないからね)


『どうか、心を奪わないで』おわり


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