TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

──獣学ミュース 。


「この星に生息する生物は、地球のものと比べるとかなり大きいです。

ここは、地球よりもはるかに多くの酸素が大気中に含まれており、この高い酸素濃度が、生物を大きく成長させる主な理由の一つです。


この星には、大きいだけでなく、危険な生物もたくさん生息しています。

森などへ出かける際は、これらの生物に対処できなくてはいけません。


あなたたちが住むポピュア村や、となりにある緑の街は比較的安全ですが、それでも地球と比べ、人と自然が密接に結びついて生きている世界。

どこにいても生物との関わりを常に意識し、適切に対応できるよう準備しておく必要があります。


この授業では、ビョーウ星に生息するさまざまな生物の特徴と、危険な生物から身を守る方法を学んでいきます。それでは、教科書の44ページを開いてください」


──44ページを開いたリヨクは、オウエンに話しかけた。


「オウエン! これみて」

リヨクは小声で言い、木に巻きつくドラゴンが描かれたページを見せた。


「あ! これ前見たやつ!」

オウエンは大きな声を出した。


「しーっ、声大きいよっ!」リヨクは小声で注意した。


「リヨク」

ユウマがとなりの席から先生を指差し、注意してくれた。


ユウマが指差す先をみると、メヒワ先生は、ぼくらを見ていた。


「オウエン、前」

リヨクもオウエンに知らせる。


リヨクとオウエンが前を向くと、メヒワ先生は話し始めた。


獣の国レウールの人々は、獣と絆を結ぶことで、獣から力を借り、生活に活かしています。


獣の力を借りれば、この絵のように、ポムヒュースのような巨大な木を切り落とすこともできます。


44ページに描かれている竜、{ファフニール}は、硬いたてがみと強力な毒を持っており、竜使いヨアブフは、{ファフニール}の力を借り、ポムヒュースを切り落としました。──


──この世界で、木と言うとこの木の学舎ポムヒュースを指します。

この世界には、ほとんど《《木》》がないからです。


みなさんは、ここに来る時、森を目にしたと思います。

ですが、その森に生えていたものは、木ではなく《《茎木》》と言う、木に似た植物です。


この世界の木は、“イブ病”という感染病に侵され、過去に全て焼き払われました。


しかし、木を無から生み出すことのできる者が現れました。


その者の名は『ペラム』と言い、元緑の国エドーラの王です。


この者は、山のように大きな木、ポムヒュースを生やし、緑の国エドーラに新たな配水システムを作り、栄えさせました。


ですが、過去に流行った〝イブ病〟におびえる者が多数現れたことにより、結局このポムヒュースは切られることになりました。


あまりにも巨大な木のため、当時、太陽の軍アルラテュリム1の竜使いと言われていた、現在の獣の国レウールの王『ヨアブフ』にお願いしました。


ヨアブフは、硬いたてがみをもつ竜{ファフニール}を扱い、ポムヒュースに巻きつかせ、切り落としました。

しかし、{ファフニール}の強力な毒は、ポムヒュースには効果がなく、いつまで経っても枯れることはありませんでした。


その後もポムヒュースは聳え続け、イブ病がふたたび緑の国エドーラに蔓延するのではないかと、恐怖する者たちが増えていきました。


そして、石の国ジオニートの炎帝、『アルハライハ』が呼ばれました。


アルハライハは、火植物を扱い、ポムヒュースを焼き尽くそうとしましたが、それもまた、山のような木には何の効果もありませんでした。


長きにわたる激しい攻防の末、ついにこの世界の管理人である、インザード様が決断を下しました。


インザード様は、この木を生命力の強さの象徴として、そのままにしておくべきだと。

そして、ポムヒュースを学舎として利用しようと考えました。


当初は多くの人々が反対しましたが、イブ病の影響がないことがわかると、次第に学舎設立の考えに賛同する者が増え、そうしてポムヒュースは、今日に至るまで学舎として存在し続けています。


──獣と絆を結ぶと、山のような木も切り落とすことができる。ということを伝えるだけのつもりでしたが……まぁ、ポムヒュースの歴史を知っていて損はないでしょう。


では、次のページを開いてください」


──メヒワ先生は、黒板代わりの大きな葉っぱの葉脈を動かし、絵をを浮かび上がらせた。


まず、崖と書かれた四角形が浮かび上がり、その上に球体、切り株、家々が描かれた。


球体には、ポピュア村。


切り株にはポムヒュース。


家々には、緑の街ピプロヌ。と名前を記されていく。


そして、崖と書かれた四角形の下に、いくつもの木が描かれ、迷いの森ゲムレッチと記された。


──「この絵は、ポピュア村、ポムヒュース、緑の街ピプロヌがある崖を表しています。


この崖下には迷いの森ゲムレッチと呼ばれる森が広がっており、夜になると、《イズテ》という茎木が移動し始め、道を変えてしまいます。


もし迷い込んでしまうと、気づかずに危険な獣{サーテム}の縄張りに侵入してしまう恐れがあります。


崖を降りれば、そこはすぐに森となりますから、好奇心旺盛な皆さんが足を踏み入れる日もそう遠くないでしょう。


対処法を知らずに森へ行くのは非常に危険です。


ですので今週は、道に迷った時や{サーテム}に遭遇した際の対処法を学んでいきましょう」

loading

この作品はいかがでしたか?

38

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚