桜が咲きはじめた午後。
放課後の図書室は、いつもより静かだった。
「……あれ?」
返却カウンターの奥、窓ぎわの机に、知らない女の子が座っていた。
白いブラウスに淡い水色のスカート。ページをめくる指先が、光に透けてきれいだった。
「こんにちは」
思わず声をかけると、彼女は少し驚いたように顔を上げた。
「……聞こえるの?」
「え?」
そのとき、扉が開いて、元気な声が図書室に響いた。
「カイ! まだ本読んでるの?」
幼なじみのミナが走ってきて、ぼくの手を引いた。
いつもの日常。だけど——
ユウナの目が、ぼくを見つめていた。まるで何かを伝えたそうに。
コメント
2件
続きが気になるぅ↑
小説書いてて草