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タクトとミカエルが立ち向かう偽マデスの姿は、まさに神そのものだった。偽マデスの目は真紅に輝き、周囲の空気を圧倒的な魔力で押し潰す。彼が動くたびに、周囲の景色が歪み、まるでこの世界そのものが崩れ去るような感覚に包まれる。
「さあ、いよいよ本当の戦いだ。」タクトは剣を構え、無駄に動かずにその場に立ち尽くす。背後のミカエルも、冷静さを保ちながら、その目を鋭く光らせた。
偽マデスが一歩踏み出すと、その圧倒的な力が波紋となって広がり、周囲の風景を揺さぶった。空が割れ、地面が揺れ、まるで世界そのものがこの戦いに飲み込まれようとしているかのようだった。
「お前の力も本物だな、リリス。」タクトは一瞬、リリスに目を向ける。その瞳には、ほんの少しの感心と、底知れぬ怒りが交錯している。
リリスは微笑みながら答えた。「当然よ。これは神の力。全てのために。」その言葉は冷たく響き、周囲の空気がさらに冷え込む。
偽マデスはその力を全面に押し出し、一瞬でその姿が無数の魔力の塊となって広がった。その姿が消えると同時に、タクトとミカエルはそれを感知し、無意識に体をひねった。
「来るぞ。」ミカエルの声が低く響く。
偽マデスが再び現れると、まるで雷のような速さで二人に迫った。その一撃は、タクトの剣をかすめながら通り過ぎ、まるで空気を切り裂くような鋭い音を立てる。
「くっ…!」タクトはすぐに反応し、後ろに飛び退く。しかし、偽マデスの攻撃は止まらない。無数の魔力が彼の周りを包み、次々とタクトとミカエルを狙って放たれる。
「分かってる。行くぞ、タクト!」ミカエルは剣を抜き放ち、偽マデスに突進する。彼の速さと力は尋常ではなく、偽マデスと互角に渡り合えるかのように思えるが、次の瞬間、その攻撃は全て無駄に終わる。
「…無駄だ。」偽マデスは一言だけ呟き、腕を振るった。突如として空間が歪み、ミカエルの攻撃を完全に封じ込めるかのように巨大な魔力の壁が立ち上がった。
「こいつ…本当に神の力を使いこなしている。」タクトはその様子を見つめ、冷静に分析を始める。「だが、だからこそ…」
タクトは一瞬の隙を突いて、剣を大きく振るった。その刃は、偽マデスの周囲に魔力を放ち、圧倒的な力の衝突を引き起こす。二人の戦いは次第に激しさを増していき、地面が割れ、空気が引き裂かれるような音が響く。
「でも、このままだと終わらないわよ。」リリスは静かに呟き、その瞳に何かを見据えるような冷徹な光を宿していた。
タクトとミカエルはそれぞれの戦闘スタイルを駆使して偽マデスに立ち向かうが、その力の差は明らかだった。どんな攻撃も、偽マデスに届く前に消えていき、彼の魔力がそれらを打ち消していく。
「やはり、リリスの言う通りか…」タクトは息を吐きながら、じっとその場に立ち尽くしている。
「何か、方法があるはずだ。」ミカエルは目を閉じ、心を落ち着けようとする。「神を倒す方法が…」
その時、タクトは何かをひらめいたように目を見開いた。「待て、ミカエル…!こいつには『欠陥』がある。」
「欠陥…?」ミカエルは驚きつつも、タクトの言葉に反応を見せる。
「偽マデスは完全な神ではない。リリスが使役することで、本来の力が不安定になっているはずだ。」タクトの声に確信がこもっていた。
タクトとミカエルはその瞬間を逃さず、再び立ち向かう。今度はただの力勝負ではなく、彼らの知恵と策略を駆使して、偽マデスの隙を突こうとしていた。
偽マデスは再び姿を変え、無数の魔力を発生させながら、二人を圧倒してくる。しかし、その隙間にタクトが瞬時に反応し、ついに一撃を放つ。
その刃は、偽マデスの中心に直撃し、力強い衝撃音と共に爆発が起こる。
「これで終わりだ…!」タクトは叫びながら、その手を伸ばす。
だが、その時、リリスが冷徹に微笑んで言った。「本当に、終わると思った?」