テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
10.イチョウ
時透無一郎 霞柱
大事な人を失うのがトラウマ
琴織星夏 星柱(命柱)、
過去がトラウマ
_________________
屋敷から出発して何日か経ち、星夏とぼくは刀鍛冶の里に着いた。
鉄と温泉の匂いがする。刀鍛冶はみんなお面を被っていて、あちらこちらで鉄の塊を打ったり溶かしたりしていた。
ついたときにはもう夕方だったから、
からくり人形を探すのは明日にしよう。
長へあいさつしたし、温泉に入って、夕食を食べてから寝ようかな。
ぼく「着くまでに結構時間かかったからまずは温泉入って、その後旅館にいこう」
星夏「わかりました!」
いつものように彼女は笑った。目隠しされていたから数日ぶりに彼女の笑顔をみた。
星夏「それにしてもいい景色ですね、見慣れない建物だけど…活気があって居心地がいいです」
星夏の感性は変わっている気がする。刀鍛冶が集まってるだけの里にそんな感嘆するだろうか。
ぼく「そう?なんだか騒がしくて落ち着かないよ、独特な感性してるね」
星夏「えっ、そうですか…」
ぼく「うん」
星夏「(私そんな変なのかな?)」
山の上の方に登ると男湯と女湯という看板があり、それぞれの温泉の分かれ道があった。
ぼく「こっちが男湯だね。あとで館で合流しよう。」
星夏「わかりました!」
星夏はぼくの行く逆の道に入っていった。どんどん奥へ行き、小さくなっていった
星夏「あの…時透さん?」
ぼく「なに?」
星夏「なんでずっとこっち向いて立ったままなんですか…?」
ぼく「いや、別に」
なんとなく見届けたかっただけだったんだけど
彼女はさっさと行ってしまった__
星夏がいなくなったことだし、
ぼくもはやく温泉に入ろう
ポチャン
ぼく「はあ…」
入浴は血行を良くしたり疲労回復に繋がる。戦いばかりの体には必要な時間だ。特に温泉は疲れが癒える。
ぼーっ…
…。
あそこに浮かんでる黄色い葉っぱって、何だっけ…
…あ、覚えてる。星夏が教えてくれたんだ。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ぼく『ぼーっ…(この葉っぱって…)』
星夏『時透さん?(なにみてるんだろ…)
ああ、これはイチョウの葉っぱですね』
ぼく『…いちょう』
星夏『確か『長寿』の意味合いがあった気がします』
彼女が落ちてきたイチョウの葉をとって、じっと見つめて微笑んでいるの姿を見ると、なんだかふわっとした。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ぼく「そうだ、イチョウ」
星夏と会ってから物覚えが良くなった気がする。それにどれだけ時間の無駄だと思っても、共に行動したり、彼女のことを考えたりしてしまう。失くした記憶と繋がりでもあるのだろうか。彼女の表情一つ一つ鮮明に残っている。
それに多分記憶を無くす前の感覚も、蘇ってきたのだ。
…また何か思い出しそうな気がする
なんでだろ
ああ…よくわからない
ぼーっとしていた。温泉の周りにはイチョウの葉が、
空中にたくさん舞っていてっ_____
突然知らない声が聞こえてきた。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
…無一郎
だれ?
わからない
お前の生まれた山は
秋にはイチョウの葉でいっぱいだろう?
意味合いは“長寿“
無一郎は優しいから
人のために無理してしまうことが
あるかも知れない
でも
健康に、長生きして、
自分を信じて
自分の思う道を進んでくれ__
笑顔で頭を撫でてくれている。
星夏みたいに温かい…
ぼくは昔この人と……____っ
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ヒラヒラ…
チュンチュンチュン
情景が変わった。ここは…どこだっけ?イチョウが舞ってる。さっきと同じ山の中?
『わぁ…みて!』
『イチョウだよ!』
今度は誰だ
十歳くらいの…子供?
姿が良く思い出せない…
『強い剣士になってね__』
笑顔のはずなのに、
霞んでてよく見えない。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
____途切れた
これは昔の記憶だろうか?
まだうまく思い出せない
でも、さっきからどんどん記憶が…
このままうまくいけば__
しゅんっ
ぼく「…っ」
俺は急いで剣を構えた。
鬼の気配がする。近くにいる
……
一瞬で消えた。なぜ里が見つかった?
おかしい。
もしかして…上限の鬼?
彼女に知らせないと
ぼくは急いで体を拭き、着換え、星夏を探した。
_______________
温泉ってこんなに気持ちいいんだ…。
ゆったり
こんなに優雅で心地がいいのは久しぶりだ。一人の時間って大切だな。こうやって一人で自由な時間があるときは気を休めることができる。
山の小川のせせらぎと鳥の鳴き声もとっても癒されるなあ…
でも…これは
朝日に照らされ小鳥の声で目覚めるあの日常の感覚と似ていて___
私「…っ」
ぎゃぁぁ!
ぐしゃ!
バキッ
骨の砕かれる音、家族の叫び声、肉の潰れる感覚
一気に苦しみが蘇る
私「はぁ…はぁ…」
時透さんと会ってからなぜだか思い出す頻度が高くなったような気もする。
なんの意味もないのに。
でも、これは私ができる唯一の償いなのかな?
私は、前のような幸せはもらえない
って今はこんなこと思い出しちゃだめ…
呼吸がまだあれてる…速く安定してっ__
時透さん「息切れしてどうしたの?」
私「えっ?きゃぁぁぁあ!」
きゃぁぁ!
きゃぁ!
山びこが響く。女湯に時透さんが入ってきた。
時透さん「うるさい…
そんなに驚かないでよ」
私「すっ、すみません…じゃくて時透さんここ女湯_」
時透さん「里に鬼が紛れ込んだみたい」
私「えっこの場所を見つけたんですか?」
びっくりした。色々と。彼は毎度お風呂に入ってくる癖でもあるのか。
まあ鬼が来たなら緊急事態なのでいいとして…もうちょっと声かけるとかして入ってほしいです
それにしても
まさかこの里が見つかっしまったなんて
本当に緊急事態。
時透さん「上限の鬼の可能性もあるね」
私「観察のために最初は身を隠すことが多い、動くとしたら数日後ですかね。」
時透さん「柱の近くの区内にいる柱に連絡しておこう。ぼくたちは鬼を倒すまでここで過ごさなきゃだね」
私「…ですね」
また長期滞在か…でも、炭治郎くんに会えるかもしれない。来るって行ってたから
私は急いで温泉にでた。夜が更ける前に、夕食を食べて山を警備しないと。刀鍛冶のみなさんにも注意を呼びかけたいし__
そうして旅館へつき、
二人で夕食を食べた。この山でとれた鯖や野菜はとっても美味しくて、二杯もおかわりした。
私た「んっー!すごく美味しいですね時透さん!」
時透さん「そうだけど…星夏のふろふき大根食べたい」
私「えっ、今ですか?
ふろふき大根は前食べたばっかなのに…?」
こんなに美味しいのに……
…でも私のつくった料理、気に入ってくれてたんだ
私「…えへへ、でもなんだか嬉しいです。
ありがとうございます」
そういったら突然、
時透さん「別に褒めたりしてないけど」
もぐもぐもぐ
私「と時透さん!?」
その時なぜか時透さんが高速でご飯を何杯も食べ続けたものでびっくりしたっ…
私「ごちそうさまでした」
時透さん「ごちそうさま…」
私「時透さん…食べ過ぎじゃないですか?」
時透さん「べつにそんな食べてないよ」
私「でもいつもの三倍は食べてますよね?」
無一郎「そんなわけっ___おえっ」
私「時透さぁぁん!?」
このときはなんとか吐かずにすんだが、次は気を付けてと少しだけ叱ってしまった。
別に怒ったりしても気にしないよなと思ったけど、廊下を通るとき顔が下に若干向いていて、結構しょんぼりしているとわかった。
時透さん「(星夏に叱られた…)」
申し訳ないけど…な、なんかかわいい
彼の吐き気がおさまると夜の警備に出かけた。
だが零時を過ぎても鬼の気配が全くしなかったので、今夜は引き上げることに…
時透さん「きみの言うとおり、様子見で来た可能性が高いね。数日すれば人を食いに来るだろうな」
私「ですね、これから夜は手分けして警備したほうが妥当かも…」
時透さん「わかった」
この時から私は時透さんに物言い出来るようになった気がする。そのお蔭で会話がはずんできて嬉しかった。
私達はいったん旅館へ帰り、睡眠をとることに
私「部屋って何階のを取ったのですか?」
時透さんが先に温泉にでたので、旅館の部屋をとってくれたそうだが、どこなのだろうか。
時透さん「三階、部屋は奥から二番目」
奥から二番目の札を見るとそこには“時透様、琴織様“と書かれてあった。
んっ……?
私「えっ?」
時透さん「ん…なに?」
私「部屋、一緒なんですね…」
普通部屋ってわけるものじゃなかったっけ?
時透さん「二人で来たから一緒が普通じゃないの?」
私「誰かと来たことないのでわからないですが、普通ではないんじゃ…」
時透さんは外泊の経験はあるだろうけど、二人とも会う前は単独行動ばかりしてだっので、誰かと一緒に出かけたりしたことがなかったんだ。どっちが正解なのかわからない。誰かに聞いとけばよかった…
…
いやはずかしくて聞けない…!
時透さん「でも鬼が来たとき対応が速くなるし無駄が_」
私「わかりました大丈夫です!時透さんの言うとおりにしますので」
時透さんとはお互い縁が深いし、なにも心配することはないはず…
大丈夫、大丈夫
大丈夫…なのか?
ガラッ
もう、部屋についた。
私「わあ…」
畳のいい匂いがする。ごみ一つない広くて綺麗なところだなあ…
時透さん「(スタスタ)」
時透さんはきっとなんども泊まったりとかするから慣れてるんだよね、尊敬…
ばさっ!
んっ?いきなりなんの音?
時透さん「ぼく、布団の出し方わからない」
いや、尊敬…ではないかも…
隣をみると、しき布団に埋もれて掛け布団にからまった時透がいた。本当に外泊したことあるのかこの人!?
どうしたらそうなるのですか…
私「大丈夫ですか!?
い、いま助けます!?」
確かにいつも部屋に布団は敷きっぱなしにしてたっけ
彼だって戦闘時を除いて、
十四歳の普通の子供だものね。
私もだけど、
時透さん「もう寝よう」
私「あっ、はい…、」
…鬼殺隊に入ってから、人と同じ部屋で寝るのは始めてだな。当たり前なのか…でも全くためらわずに温泉に入ってくるような人と一緒で本当に大丈夫かな?
まあ考えても無駄だよね…
私「おやすみなさい…
………………………」
眠りずらいっ…
想像以上に落ち着くことができなかった。
うーん、こんなにくっつけて布団隣合わせにする必要あるかな?
その後私は寝返りも打てずただ時透さんの反対方向を向いていた。それが一時間は続いた。
すると
慣れてきたのか眠くなってきた____
すーっ…すーっ…
私「んんんっ朝かぁ…眠い…」
時透さん「ねぇ星夏一緒に稽古しよう」
私「えっ時透さっ」
時透さん「買い物いこう?」
え、時透さんが二人!?
時透さん「何も言わず違う部屋にでないで」
時透さん「朝ごはんたべようよ」
時透さん「一緒に寝ようよ」
ううっうもれる…なんでこんなに!?
あっちこっちでめがまわっる_____
時透さん「せな~~~」
私「わぁぁあ…!」
………
…って夢か…。こわっ
じーっ
なっ、なんか今度は視線感じる…?また夢?
じーっ
まだこっちを見てる?誰が?鬼…?
普通にまぶたを開けられる。
目を明けてみよう…
ぱちっ
私「…ぎゃっ__!?」
叫びだした途端時透さんは私の口をぱっと塞いだ
時透さんがこっち見てる!?
全く瞬きせず…大丈夫かな…?
ってていうか…
なんでこっちの布団に入ってるんですかぁ!?
視線を感じたともったら…
あ、あと口塞がないでください!?
びっくりして叫びそうになったのがうるさかったのは謝りますから…
喋れません…
私「んんんっんん!?(時透さん?)」
時透さん「なんでそんな驚くの?
寝返りうたずにずっと動かないから気になって見にきただけなのに」
ぱぁっ
やっと手を話してくれた。
私「そうだったんですね…すみません…」
ってなんで私が寝返りしちゃう癖しってるの…
時透さん「早く寝なよ」
私「その前に自分の布団に入っては?狭いでしょう…」
時透さん「いいよ、
こっちの方が温かいから…」
ぎゅっ
私「っ…」
その時私は恥ずかしくて下を向いてしまった。
…確かに
温かい
でもドキドキして
これじゃまともに眠れないです__
顔が熱くて…
心臓の音が大きくなるけど、私もなぜだかとっても安心する
一時はすごい戸惑ったけど 大好きな人と一緒に寝るのも、きっといい思い出だよね。
私「…私も温かいです」
時透さん「…ん」
その日は二人で一緒に眠りに落ちた。
変な感じだったけど、ずっとこれが続けばいいなって…思ってしまった