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黄色い勇者 side――――――――――
「あれ…?」
「俺…何してたっけ」
「何ぼーっとしてんの!」
後ろを向くと紫色の魔法使いがこっちに向かってそう言っていた。
「早くいつもの場所にいこーよ」
そう言ったのは緑色の聖職者だった。
「疲れてるんでしょ、ガーゴイルを倒したばっかだもん」
今度は赤色の弓使いが喋り始める。
思い出した。俺らはさっきまで北の方でガーゴイルを倒し、今は帰りの旅路にいる。
そうだ、俺らはパーティーだろ。
「ごめんごめん、ぼーっとしてた」
そんな俺たちがよく行くところがある。
それは町の外れにある小さな店。武器屋でも宿屋でもない。何を売っている店なのか正直よく分からない。
カランコロン♪
「……また来たのか」
店の奥から店主が顔を出した。
店主は深い碧の瞳で、声のトーンが落ち着いていて聞きてて心地いい。きっとここが好きな理由の一つだろう。
店主
「おかえり」
赤色の弓使い
「ただいま……って、俺たち別にここに住んでないけど」
店主
「似たようなもんだろ」
紫色の魔法使い
「それもそうか」
適当な会話をしながら俺たちは店の奥へ入っていく。
店主
「で?今日は何があった?」
店主はそう言いながら俺たちにコーヒーを入れてくれた。
黄色い勇者
「なんもない」
店主
「嘘つけ」
紫色の魔法使い
「勇者が勝手に突っ込んで死にかけた」
黄色い勇者
「魔法使いが援護しなかったからだろ」
店主
「はいはい」
店主
「喧嘩は後にしろー、飯でも食うか?」
緑色の聖職者
「たべる!」
店主
「即答かよ」
赤色の弓使い
「お腹すいたからね」
その後、ご飯をご馳走になった。いつもなら店主特製のラーメンなのだが今日は珍しくオムライスだった。
緑色の聖職者
「ねぇ、この後どうするの」
紫色の魔法使い
「あー…確かに」
黄色い勇者
「今日ここに泊まっていいか?」
店主
「部屋が狭くてもいいならいいぞ?」
黄色い勇者
「それでいい、ありがとう」
赤色の弓使い
「ありがとうございます!」
その日の夜──
俺はベランダで夜空を見上げていた。
ここのお店の周りには建物や街灯があまりない為、星が綺麗に見える。
黄色い勇者
「そういえば俺…なんか今日変だな…」
疲れているとはいえ、俺がぼーっとすることは非常に珍しい。いや、無いに等しいことだ。
店主
「どーしたの?」
店主
「こんな夜遅くに」
びっくりして振り返るとお風呂上がりなのか髪がぺシャっと額にくっついていて、タオルを片手に俺の方をじっと見ている店主がいた。
黄色い勇者
「…起きてたんだ」
店主
「まぁね」
店主
「なぁ、ちょっといいか?」
黄色い勇者
「何?」
店主
「お前らはこれからもずっと、戦いに行くのか?」
黄色い勇者
「もちろん」
黄色い勇者
「だって、俺たちの目的は魔王を討伐することだからな」
そう、俺ら4人は魔王を討伐するために結成された選ばれしパーティーだ。
黄色い勇者
「なんでそんなこと聞くんだ?」
店主
「いや、別に深い理由はないよ」
黄色い勇者
「もしかして俺らに死んで欲しくないからとか?」
店主
「…んな訳ない笑」
黄色い勇者
「そこは肯定しろよ💢」
店主
「俺はお前みたいな輝いてる主人公じゃなくて送り出す側の人間だからさ」
店主
「少し心配なだけだよ」
店主
「何度もお前たちの任務の出発を見送っているからな」
黄色い勇者
「確かに笑」
黄色い勇者
「俺らここに住み着いてるみたいなもんだもんな」
店主
「ほんとだよ、お前たちのおかげで今月カツカツだから後で請求するからな?」
黄色い勇者
「…まぁまぁ、落ち着こ?」
黄色い勇者
「魔王を討伐したらお世話になった分全部払うわ」
店主
「言ったな?じゃあ絶対討伐して生きて帰ってこいよ」
黄色い勇者
「任せとけって」
そう言い残し、俺はみんなが寝ている部屋へ戻った。
ただ1人、ベランダに残された店主はため息をついた。
店主
「いつになったら “ GAME CLEAR ”できるのだろうか…」
店主
「任せとけ、か…」
店主
「…絶対だよ」 ボソッ
――――――――――
こんにちは!ポテサラです
新作
『俺はみんなの人生の脇役ですが物語の結末を知っています』
突拍子に思いついたものなので長編ではないです
連載している『 道標と羨望 』は少し直している最中なので少しお待ちください( .ˬ.)”
『 俺は魔法世界で旅をする 』はいつもどうり投稿していきます。
気長に待ってもらえたら嬉しいです
今回もよろしくお願いします(* ˊ꒳ˋ*)
コメント
1件
ポテサラさん、第1話拝読しました!「黄色い勇者」のパーティーと店の店主、この二人の距離感が絶妙ですね。「お前らはこれからもずっと、戦いに行くのか?」という問いかけに、勇者が迷いなく「もちろん」と返すシーン、心臓を掴まれました。ラストの「いつになったら“GAME CLEAR”できるのだろうか」という店主の独白が物語の結末を知っている伏線として効いていて、続きが気になります。温かくて切ない、素敵な導入でした🌷