テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
Hayato×Jinto
Hayato side
「雪…積もったな」
「思ったより積もったねぇ」
もう何年前になるかな
まだ17とか?そんな頃
こんな雪の日があった
「佐野くん、雪積もってるよ」
仕事とレッスンの合間、窓の外を見て仁人が言った
「マジで?寒いはずだなー」
「僕雪なんてほとんどみたことないや」
ウキウキを隠しきれていない表情で外を見つめ続けるから
「行くぞ」
「ええっ!?」
上着を2人分抱え、仁人の手を引いて外に出た
仁人に上着を渡すと渋々という感じで受け取り、着始めたのを見届けて自分も着る
寒さで赤い顔をして白い息を吐いている仁人の目はいつも以上にまんまるだった
「どっちが上手く雪だるま作れるか競争しようぜ」
俺が雪玉を作り始めると仁人もおずおずと手を伸ばし、小さい手で雪をすくった
東京じゃ積もったと言っても大した量ではなく、雪玉を一転がしもしたらなくなってしまう
2つの小さな雪玉を重ねて、その辺に落ちていた石ころで目や口をつけた
「え、可愛くない!?」
仁人は出来上がった雪だるまを見て、満足そうに笑い隣の俺を見上げる
「ん、いいじゃん、仁人結構器用だよな」
その答えにもくすぐったそうに笑った
俺の雪だるまと見比べて
「僕の方が上手じゃない?」
とケラケラ笑いながら言った
「俺の方がでかいぞ」
「大きさ関係ないよ」
2つ並ぶ雪だるま
「…って事があったな」
「俺もそれ思い出してた」
窓の外を眺めながら思い出話をする
「俺さ、ちっちゃい頃雪なんかほとんど触ったことなくて、ほんとはめちゃめちゃテンションあがっててさ」
仁人は笑いながら懐かしそうに言った
「一緒に雪だるま作ったの、すごい楽しかった」
「ウキウキしてたのはバレバレだったよ?」
「あはは」
少し傾いて寄り添うみたいになった雪だるま
普段そんなに写真なんて撮らないのに
嬉しそうに何度か角度を変えながら
夢中になって写メを撮る姿が
めちゃくちゃに可愛くて
雪だるまを撮る仁人をこっそり撮った
抱き締めたいな
「…って…思って…た……あ、」
言ってしまったと気付いた時にはもう遅かった
「え!?知らないんだけど」
「…だって言ってないもん」
「ただの盗撮だし、後のも何」
…抱き締めたい、と思ってた理由を説きたいと?
「俺、まだ仁人のいいお兄ちゃんでいたいと思ってた」
「でも、もう、そん時は…結構好き…でした」
声が小さくなり、照れ隠しで敬語になる
可愛いと思って、抱き締めたくなる位には
仁人の事が好きだった
好きだから、手を引いて連れ出した
あの日だって雪なんかほとんど見てなかった
笑う横顔を見てた
「仁人は…どうだったかわかんないけど」
仁人は一瞬ポカンとした顔をして、目が泳いだかと思うとみるみるうちに赤くなった
あの雪の日なんかよりも真っ赤に
「…俺、はやとと一緒だったから嬉しかったんだ」
「並んだ雪だるまも、俺らみたいだって思って…」
仁人からの思わぬ可愛い告白に、あの日は出来なかったハグをする
俺はね、あの雪だるまを見て、『こうなれたらいいな』って思ってた
若かったな、俺達
まさか、両思いだったなんて
その後も続いた、それなりに悩んだ片思い期間を想いながら
抱き締める腕が強くなった
今は、抱き締められる距離にいる
あの頃の俺が知ったらどんな顔するかな
…今の俺と多分同じ
やっぱり、笑うんだろうな
fin.
コメント
2件
