数日後。
私は、冬青のことが好きになっちゃったみたいだ。
久実に、話してみようかな…。でも……。
「ねえ、水澄、悩んでない?」
「あ、久実。えっと…ここじゃちょっと…」
「じゃあ、部屋で話そうよ。」
私の部屋へ行き、私は、冬青への感情について、話した。
「ふーん。そうなんだ~。冬青のことが、ね~。告白は?するの?」
「む、無理だよ。」
「なんで?」
「私、今の関係が、崩れそうで、怖いから━━。」
「それじゃあさ、もう少し待ってみたら?」
「ん?」
「もう少し、仲を深めてみなよ。」
「そうだね。そうしようかな。」
未来はまだ、分からないのだから。
それはそうと、どうやって仲良くなれば良いんだろう?質問させるのは、思い付かないって言われるだろうし、どこかに出かけるのは、まだ早そうだし…。 あれ?そういえば、もうそろそろ体育祭だって、先生が言ってたような…。もしかして、そこでチャンスがあるんじゃ…。
後日、体育祭の説明をされ、種目決めをした。個人種目と団体種目がある。団体種目は、綱引きをやるらしい。個人種目は、短距離走(100m)や、借り物競争、幅跳びなどがあり、私は、短距離走を……やっぱ、人が多いから借り物競争にしようっと。冬青と久実は、短距離走にしたらしい。私だけ違う……ま、いっか。
体育祭当日。
まずは団体種目の綱引きから。結果は、一勝二敗。皆、悔しそうだった。私もだけど。
次は、個人種目の短距離走。冬青は…三位。意外と早かった。人は見かけによらないな~。久実は…4位。あと少しで三位だったのに!
次は、借り物競争。私の出番。うう、緊張が…。頑張ろう。スタートし、お題が書かれた紙のところへ。そこには、
『仲の良い人(異性)』
いや、人じゃん!物じゃないじゃん!いやいや、そこじゃない。冬青はどこにいるのかな?彼しか、いない。仲の良い人は。クラスの場所に行き、
「冬青!いる?」
「いるよ。」
「走るよ!」
「分かってるって。」
走る。思ったよりも冬青が速い…。
「ちょっ、待っ、速っ。」
私は、つまずいてしまった。
「大丈夫か?」
「うん、大丈夫。最後まで、走るよ。」
ゴールした。結果は、最下位。彼が、心配そうに、
「水澄、ひざ…」
「え……、転んだ時に、擦りむいちゃったみたいだね。」
「保健室にいくぞ。」
「一人で行け━痛っ。」
「足、少しだけ捻ったのか。一人は無理だろ。ほら。」
「ありがと。」
保健室に着くまでに、聞きたいことがあったから、聞いてみる。
「ねえ、どうして、あまり、話そうとしないの?」
「それは、話すのが苦手なだけで…。」
「嘘、ついてない?」
「なんで分かったんだよ。」
「なんとなく?」
「ったく。俺、人が怖かったんだ。」
「え?」
「俺、小学校の頃から、いじめられていたんだ。だから━━。」
「今……は?」
沈黙。それからは、一言も、話さなかった━━。
体育祭が終わり、家に帰る。
━━あの沈黙は、なんだったのだろうか。彼は、なぜ、いじめのことを隠そうとしたのだろうか━━。
その答えを、私は、一週間後に、見てしまった━━
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