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帰宅
「…ただいま。」
誰もいない部屋に向かってそう言ってみる。
スーツを脱ぎ、部屋着に着替える。
…あれ?LINE来てる。
…あぁ、会社からか。
「お前のせいで、Aはプロジェクト逃したんだぞ!
人の仕事くらいできなくてどうする!」
だってさ。
それじゃあ、自分の仕事も満足にできないAは良いんだ?
…まあ良いや。
…あれ?
…カッター、どこやったっけ?
あった。
なかなか見つからなかったことに苛立ちつつ、
左の袖をめくる。。
傷だらけの、なんならまだ閉じてない傷口もある、汚い醜い左腕が覗く。
「ここ、まだ綺麗だ…」
…ザシュッ…ポタタッ…
…血って、なんでこんなに綺麗なのかな
ザシュッ…ザシュッ………
あ、床が汚れちゃったな…
まあ、いっか。
それからずっと、
左腕から垂れるモノもそのままに、ボーッとしていた。
気がついたら夜になっていた。
…夜ご飯、食べるか。
冷蔵庫にあった菓子パンを少しかじる。
…やはり、何の味もしないや。
シャワーをざっと浴びて、髪を乾かす。
窓の外は、綺麗な夜景が浮かんでいた。
自分も、あの中に溶けちゃいたいな。
そんな事を考えながら、布団に入る。
もう、朝なんて来なくて良いよ。