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そんなふうにして、苦しかった戦争も終わりを告げた。
戦争が終わった頃、ヴィシー様が死んだ。jeは、ヴィシー様に何もできていない。そのまま、ヴィシー様は死んでいった。
ご主人は、自由フランスという名前から、フランス共和国になった。
あの日、ナチスによってヴィシー様と離れ離れになったアトリエの跡地からは、昔jeが描いた西華の絵があった。
もう、二度と英厳(炎吉)の前以外では西華として出るつもりは無い。
jeは過去との決別の意を込めて、西華の顔に黒のペンキでバツ印を付けた。
私の回想が終わると、英厳の声が聞こえてきました。
「そうして、俺は、嫌われ者の英厳は人前には出なくなった」
「それが、俺のこれまでだ」
伏せたままの目をそっと閉じて、悲しそうな声の英厳。
「仏華と付き合うまでの成り行きなんて、お前等も知っているから良いだろう」
「なんにも、楽しくない話さ」
悲しそうで、苦しそうで、辛そうな、そんな笑顔を貼り付けて英厳はそう言いました。
「これで満足か?」
寂しそうな、そんな声で英厳は自嘲の笑みを浮かべました。
「なんで、なんで、英厳兄様はそんなに自己評価が低いんですか?!貴方の弟全員、貴方に感謝していますし、大好きなんですよ」
目に涙を浮かべ、炎利は苦しそうな顔で英厳にそう訴えかけました。
「そうだよ。本当に、馬鹿な兄様」
少し悲しそうに笑いながら颯太はそう言います。
「そりゃ、誰だってさ、大好きな人が急に居なくなったら、悲しいでしょ?」
私のもとに居たときと違う、フワフワとした雰囲気で炎加がそう語ります。
「そんな……俺は、てっきり…………」
英厳の目は、少し潤んでいました。
「兄様が、口が悪くったって、優しいのは皆知ってるよ」
そっと微笑む炎加は、強く、優しい子に育ったのだと、よくよく分かります。