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まず一言目。 これのサムネすこ そして二言目。 現在から一瞬で回想に飛ぶとこ切ない感あってめちゃすこ あとemさんから貰ったものを一つずつ数えてるのが個人的にめちゃめちゃすこなんよ 「ただそれだけ」って言葉を2回繰り返してるのも、z先生の心情がめっちゃ伝わってきて、やっぱかのさん文才あるよなって思う とりま久しぶりにかのさんの作品読めて嬉しいっすね (長文になっちゃごめんよー🙏🏻)
珈琲の中にミルクを入れる。
次に、砂糖を入れていく。
それが珈琲に混ざり、溶ける。
「消え物やな」
そのたった一言に、俺は昔を思い出す。
エミさんと俺_ゾムは、幼馴染で昔からの仲だった。
同じマンションで、よく近場の公園で遊んでいる。
今日も、放課後にその公園でアイスを食べていた。
「あ、そ言えばゾムさん!こっちの担任の先生がムズい宿題出してきてさ 」
「ふーん、なんてゆー宿題?」
「なんか、親しい人とハグするーみたいな。最近ゲームとか増えて親と触れる機会が減ったからって」
「へぇ、簡単やん??」
「いやいや!ほら、俺両親居らんし、お義父さんは仕事だし、、」
あー、帰るの深夜つってたっけ。
「んじゃぁ、俺がしたるやん?」
「?!?!?!いやいやいや!!悪いですし!!!」
「え??お前そんな不真面目やったっけ、前は宿題なら何でもかかって来いやった気が、、」
「えっいや、その、、、」
「中学良いとこ入りたいからって成績気にしてたやんエミさん。もし成績入ったらどーすんねん 」
宿題やからしゃーなしやろ、、
「、ゾムさんは良いんですか?その、嫌だったり、、」
「あ、エミさんが嫌やったりする?それはすまん」
「あっ全然なんですけど、、」
「ってか、何でこんな事で長話してるんwさっさとしろって感じちゃう?w」
「っwwそうやなw」
じゃ、と少し手を広げる。
す、と体温が伝わる。
暖かかった。
「ありがとうございます!」
ぱっと俺の体を離すのと同時に、
ぱっと笑顔になる。
「おう、簡単やったな」
さっきまで暖かかった体温が 消えていく感覚。
「これ、実は1週間続くねん、、お願いして貰っても良いっすか」
「えーよエミさんの家庭環境は俺が1番知っとるから」
何となくぶらぶらしていたブランコから立ち、家に戻る雰囲気になる。
いつの間にか食べきり、残ったアイスの棒を見つめる。
「これも消え物やったなぁ」
公園のゴミ箱に捨てながら呟いた。
あ、そういやあのアイスの棒、当たりやったかも。やべ。
『ハグ』
俺がエミさんから初めて貰ったプレゼント。
「よっっっと、、2003、2003…」
「ゾムさん!!ありましたか?」
「おんあったで〜 」
めっちゃウキウキやな、これは合格した予感
「マジで?!俺もあったわ!!」
だいせいかーい
「分かりやすいねんお前www」
「??あ、そういや、これ、ゾムさんへ」
何処に隠し持っていたのか、エミさんはぶわっと広がる花束を差し出した。
「卒業祝いです!!お義父さんより居る時間がながかったですし、1番お世話になったので!」
「なんかお別れみたいだなw中学も同じやから、宜しくな!」
「はい!!」
敢えて「ありがとう」は言わなかった。
俺は卒業祝いにエミさんに何も準備してあげられなかったから。
次、お返しに渡す時に一緒に言おうと思って。
「エミさんと同じ中学入る為にめっちゃ頑張ったんやからめっちゃ褒めて欲しい」
「まぁ、一旦公園行きましょ! 」
「いや、その前に花の保存法教えて欲しい〜」
「あ、おけ!じゃあ、寄り道して花瓶買いましょうか」
俺の無茶振りも、ワガママも全部受け止めてくれるエミさんだからこそ懐いたんだと思った。
『花束』
俺がエミさんから、2番目に貰ったプレゼント
「エーミーさん」
「あっ!ゾムさん!」
「またなんか陸上部とかスポーツ系の部活の勧誘から逃げてたら遅くなりましたけっっして俺のせいでは無いです」
「ふふwwゾムさん凄いなぁ、、陸上部とか入らないんですか?」
「俺は帰宅部でええねん。『部』付いとるから部活やろ」
「そういう意味では無いんだよなぁ」
「後、エミさんとの時間が減るやん。クラスも別々になってもーたんに、帰るのも別々になったら何処で会うねん。こーやって昼飯食いに校舎裏でしか会わんやろ 」
「まぁ、、確かにそうやな。でも、俺は家庭科部入ってますやん」
「でも陸上だと試合とかあるやろ?しかも家庭科の方が早く終わるし、時間合わへんから」
「待つのに、、」
「待たせんのは悪いやん。……ほら、昼飯食わな休み時間終わるで?」
「はっ!!全部食べてなかったら心配されるのでゾムさん手伝ってくださいっっ」
「しゃーねぇなぁ?!」
あ、エミさんの卵焼きうめぇ。
今度から作ってもら、、いや、忙しいから無理か。
『弁当』
俺が、エミさんから3番目に貰ったプレゼント
「はー、そろぼち中学も終盤やなー」
「今頃がクライマックスと言っても過言でははないなぁ、、、、」
「で、受験の方はど?」
「先生に推薦された中の高校に入ってました!!」
「おー!すげぇやん。やっぱ頭ええな」
「、はい、、」
「どした?元気ないやん」
「いや、その、俺が高校に受かったら、ゾムさんと離れてまうなって思って、、」
「え、そんなん今気づく?ま、留学だってお前が決めたもんやし、俺は賛成やけどな 」
「でも、中学で受験して留学するからもっかい受験要るとはな、、」
「いやそれな、要るんか?!ってなったw」
ピタッとエミさんが止まり、俺は急で二三歩前に出る。
「図書館着きましたよw」
「あ、主目的それやったな、忘れかけてた」
「受験大丈夫かなこの人」
「wwwww…でもホンマに受からんかもしれんな、今回は」
「え?」
「俺、実は推薦もされてへんねん、学年トップ20には入るようにしてるんやけどな」
「まぁ、元々平均点が高い学校なので、無理は無いかと、、」
「唯一勧められたのが歴史専門教師。歴史だけは東大並だって」
「え、聞いてないんですけど」
「言ってへんからな」
「まぁ、そんな落ち込むことは無いですよ。軍人になりたいって夢、素敵だと思います。」
話しながら図書館の中に入り込み、椅子に座る。
今日は受験勉強の為に、数学の先生が早く切り上げてくれたので、今は貸切状態だ。
そのせいで、と言うのが正解か、周りよりは小さめのエミさんの声がいつもよりはっきり聞こえる。
「諦めれば、そこで試合終了って言いますよね。正に、そういう事ですよ」
「wどういうことだよ」
「え」
「冗談だってwww」
『wwwww』
あーあ、勉強しよw
『希望』
俺が、エミさんから4番目に貰ったプレゼント
「…だいじょぶそ?」
「いや、、緊張しまくりです…」
「んま、それもそうか、、」
「目、変じゃないですか」
「目?」
「ほら、私、色素薄いですから、、」
「嗚呼、変じゃないで。エミさんって感じやし、もし変だって言われたら俺がソイツボコす。」
「!ふふwwアメリカなので返り討ちに会いますよ」
「めっちゃ冗談で言ったのにめっちゃガチの怖い答え帰ってきたわ」
「実際そうですからねww」
「あー、そういや俺もなんか声が変だって言われたな、最近」
「え?」
「何で高校生にもなるのに声変わり来ないんだよ。だって。シンプルに声キモイとか言われたわw」
「何それ、最低ですね」
「ッッて、まって、ホントに大丈夫だってそんなガチでキレないでアイツら本気で死にそう」
「…」
『wwwwwwww』
「じゃ、行ってらっしゃいエミさん 」
「はい。行ってきます」
「そーそーwwでさぁwww」
『えぇ?!wマジですかそれww』
「はー元気出たww」
『www』
「色々辛い事もあるけど、なんやかんや楽しいな毎日」
『私も、早い内に日本に帰りたいですね、、』
「医者やっけ、目指してるの」
『そうそう、外国のどんな人が来ても、対応が出来るようになる為に留学したんです』
「凄いよな、エミさんは。夢を叶えようと手を伸ばし続けて」
『それ程でも、、』
「俺は、叶わんかった」
『!!』
「ふはwなんてな、叶わんかったんは事実やったけど、今、俺は専門大学教師で良かったと思ってるよ。エミさんがあの後天文学も教えてくれたから、天文学と歴史の専門大学教師になれたし。」
『サブとして、大学の授業が終わった後に塾で天文学と歴史を教えてるんでしたっけ?』
「おん。忙しいけど仲良い生徒とか、趣味合う生徒とかも沢山いるし、楽しいで」
『ふふw良いですね、私も会ってみたいです。そろぼち帰れてもええねんけどーー』
「ーww」
《東京空港に到着致しました。》
「ただいまぁー日本!」
「草w帰ってきて一言それかよw」
「あ、はいゾムさん、お土産です!」
袋を差し出される。
「これは、、?」
「あ、アメリカの有名なお菓子です!」
「マジか!!(声裏返)」
『ッッwwwww』
「あ、エミさん」
「はい?」
「はい、大学卒業おめでとう」
「!!へへw」
「なんやその笑い方気持ち悪いな」
「え酷っ?!」
「ほら、小学校ん時送れへんかったからさ」
「あ、、そんな事もありましたねw」
「んまぁ、ここで立ち話もなんだし、俺ん家行くか。あ、俺の家泊まって行きぃや。病院行くまで1週間フリーやろ」
「あ、マジ?じゃぁお邪魔しっちゃおー」
「邪魔すんなら入れんで〜」
「はーい…ちゃうねん!!」
『wwwwww』
『菓子』
俺が、エミさんから6番目に貰ったプレゼント
ブーブーと携帯が反動している事に気がつく。
ピッと音を立てて電話画面に切り替わる。
「はい」
『あッゾムくん?!?!』
「あ、エミさんのお義父さ」
『エーミールが狂った患者に刺された!!!!!』
「…え?」
『今から住所送るからッッ!今すぐ来て欲しい!!!』
「え、あ、はい…」
え、何?
なになになになにそれ
は?
エミさんが?
刺された?
え?
いやそんな訳
まって
なんで
「ゾムくん」
先程迄聞いていた電話越しの声の主は
気がつけば目の前にいた。
「ゾムくん」
「…はい」
「今は待つことしか出来ないから」
「………はい」
無音
「手術が終わりました。」
ガラ
ガタン
病室のベッドで横になっているエミさんを
ただただ
お義父さんと見つめてた
その時、気がついた
命も消え物だったな
気が付かなかった。
なんでこんなに生きてきて
気が付かなかったのか今でも不思議だ。
命だって消え物だった
エミさんは俺に消え物しかくれなかった
神様は消え物の命しか与えてくれない
命が消え物なら
俺の横には何も残らないじゃないか
俺の隣に、エミさんが居た証拠が欲しかった
ただ
それだけ
ただ
それだけ。
「あん時はホンマビビったよ」
「いや、すみません、迷惑かけましたね、あの時は、、ゾムさんにも、お義父さんにも」
「…ふはっww」
「なんですか?そんな人の顔見て!!」
「いや、今思えば、消え物ばっか貰ってたって思ってたけど」
本当は、エミさんに貰ってたものは全部『消え物』なんかじゃなかったんだ
「ハグだって、してもらった体はここにあるし」
「花束だって、枯れてしまったけど、ブーケだって残ってるし、ドライフラワーとして保存してある。」
「弁当だって、食べた口はここにあるし」
「菓子だって、袋は取って置いてる」
その実物が無くとも、
そこにあったって言う証拠はあった。
「でも、何よりの証拠は、思い出です。ゾムさん」
「え?」
「思い出があれば、私の隣にゾムさんがいたって言う証拠があるんです」
「俺の隣にエミさんがおったって言う証拠も?」
「ええ、勿論です」
「ふっwwそっか」
「なら」「ですから」
『来世も私の隣にいてください』
消え物 . END
約5000文字
お疲れ様でした
皆さんも、気が向いたら“消え物”を探して見てください。
意外と身近にあったり、なんて。