テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
柘榴とAI

441
#没入感フィクション
柘榴とAI

391
柘榴とAI

298
「ま、まぁ……女の子同士だし。4cardも居るけど、そっちはボディガードとして居てもらうなら、確かに安心だし……」
とか何とか、物凄くブツブツ呟いていたお兄ちゃんだったが。
ひとまずは納得したのか、行っておいでと送り出してくれた……んですけども。
むしろ私の方が、心の準備が整っておらず。
この状態のまま、休日に突入。
「どどどど、どうすれば……」
兄に車で駅まで送って貰ったのだが、目的地に着いてからずっとプルプルしているという、情けない小動物が一匹。
リアルでの対面、所謂オフ会。
デートだ何だとsevenは騒いでいたけど、4cardも居るし。
そして三人揃ってお出掛けとなれば、これはもうオフ会というモノで良いのだろう。
緊張のあまり、待ち合わせ場所で座り込んでいる小さいのが一人、爆誕。
だって、リアルでちゃんと喋るの初めてですよ。
会議の時に話したのなんて、会話と呼べるものではなかっただろうし。
何を話せば良いの? というか、どこに行くんだろう?
お金はちゃんと下ろして来たけど、これで足りるの?
むしろお出かけする為の服が欲しいのに、この買い物に付き合ってもらう為にダサい格好を相手に晒すって何。
本末転倒も良いところでしょうが。
とか何とか色々考えていると……ヤバイ、お腹痛くなって来た。
そんな訳で、しゃがみ込んだままお腹を押さえていると。
「君、大丈夫?」
「うひぃっ!?」
なんか、知らない人に声を掛けられてしまった。
私の知っている人じゃないし、スーツの男の人だし。
雰囲気からして、塞ぎ込んで青い顔をしていた此方の事を単純に心配してくれた様だが。
こっちが変な声を上げてしまった影響なのか、周りの人達も此方に視線を向けているみたいだし。
「すみませんすみません! 大丈夫です!」
「ほ、本当に平気? 救急車とか……」
「そ、そういうのじゃないので! ホント、大丈夫なヤツなので!」
完全にテンパって、アワアワとし始めてしまえば。
どうやら余計に周囲の誤解と言うか、混乱を招いてしまったらしく。
声を掛けてくれた当人も、そして周りの人も非常に困惑した御様子。
むしろ周囲の人とか、サラリーマン風の人を見ながら何やらヒソヒソ話してるし。
こ、コレは不味い。
親切でお声掛け頂いたのに、あらぬ誤解を彼に与えてしまうかもしれない。
であれば、私がちゃんとしないといけないというのは分かっているのだが……こ、これは何と言葉にすれば。
とか何とか、慌てていた所で。
「シロちゃんおっまたせぇ~! どしたの? 平気?」
「ぁ、あ……セ、セブン……」
本当にサブキャラの“ナナ”と外見が同一の彼女が、しゃがみ込んでいた私の腕を掴んでグイッと引っ張り起こして来た。
知っている顔の登場にホッと息を零していると。
「えぇと、お友達……で良いのかな?」
「そうでーす! おじ様、どうしました? もしかして……ナンパ?」
「ち、違いますよ!? なんだか凄く顔色が悪かったので、大丈夫かなと――」
そんな訳で、私がアワアワしている内にお二人が会話し始め。
あらかたの事情説明が終わったかと思えば。
「あははっ、なるほどなるほど。すみません、この子かなりのあがり症なモノで。御心配お掛けしました~」
「そう、なのかい? 大丈夫なら、良いんだけど。君、本当に平気?」
「だ、大丈夫です……すみません、ご迷惑ばかりお掛けして……」
ものっ凄く小さな声を上げながらも、必死でペコペコと頭を下げた結果。
相手はちょっと困った様子の微笑を浮かべて去って行った。
と、とてつもなく申し訳ない事をしてしまった……。
心配して頂き、本当にありがとうございます。
向こうの背中が見えなくなるまでペコペコしつつ、お見送りした訳なんだけども。
ガンサバを始めてから、対人能力も少しはマシになって来たと思っていたんだが……駄目だぁ。
知らない人から急に話しかけられるの、本当に緊張しっぱなしになって頭が真っ白になる。
自分一人だと、余計に。
今回は他の事で緊張していたから余計にっていうのもあったのだろうが、未だにコンビニですら店員さんから声を掛けられるとビクッてなる程だ。
つまり、全然成長してない。
「はぁぁぁ……」
「ぶははっ、深っかいため息だねぇ~シロちゃん。ごめんごめん、早めに来たつもりだったんだけど。待たせちゃった?」
そんな事を言いながらポンポンと軽く背中を叩いて来る彼女は……何か、凄かった。
パンク、と言ったら良いのだろうか?
ギターとか持っていたら凄く似合いそうな感じの、派手なのに可愛いって雰囲気の服装。
それに対して、私は凄く地味。
と、隣に並んでよろしいのでしょうか……とか言いたくなってくるが。
「すみません、早速ご迷惑お掛けして……セブ――重ね重ねすみません、オフ会の時って、相手の事を何と呼べば良いんでしょうか」
物凄く今更な質問に行き付いてしまった。
ゲーム内であればsevenとか、もしくはナナさんになる訳ですけども。
確か、えっと……彼女の本名は小鳥遊さん、な訳で。
こういう時って、普通はどう呼び合うモノなんだろう?
でもなんか、リアルの街中でsevenって呼ぶのは違うよね。
などと、改めて考え始めていると。
「好きに呼んじゃって良いけど、どれが一番馴染みやすい?」
「……ナナさん、ですかね? 失礼の無い様に、小鳥遊さんと呼ぶのが正しいのかもしれませんけど。セブンって呼んでたら、変……ですよね?」
「んじゃ“ナナ”で良いよー? 私も“シロちゃん”って呼ぶけど、平気?」
そんな事を言いながら、いつも通りの微笑を向けてくれるナナさん。
あぁ、何と言うか。
サブキャラで遊んでいる時と一緒だから、物凄く安心する。
リアルで“ちゃんとお話する”って意味では初めてなのに、いつものナナさんだって気分になる。
「私の方は、本当に何でも……」
「それじゃシロちゃんね! 元々の苗字も白川さんだし、まとまりあってこういう時便利だねぇ~。私も身バレとか怖がらないで、本名に近付ければ良かったなぁ~」
「身バレも何も、ナナさんの場合は配信で思いっ切り顔見せてますけどね……」
という事で、しばらくその場でナナさんとお喋りした結果。
だいぶ気持ちも安定して来て、本当にゲームの時と同じように喋れる雰囲気になって来た頃。
「……すまない、もしかして集合時間を間違えただろうか?」
物凄くムキムキの人が、私達に声を掛けて来た。
そしてこの声、この雰囲気。
当然彼にも覚えがある訳でして。
「おっすー! えぇ~っと? いや、集合時間のキッチリ10分前だね。流石元軍人、キッチリしてるー」
「それより早く二人が集まっていると、何とも言えないな。アレか? 女性と集合する時は1時間早く待っていろ、というヤツだろうか? 日本では本当にそうなんだな……」
革ジャンにジーパンというスタイルで登場したのは、間違いなく4card。
もはや、体型だけでも分かる。
あとこっちも、サブキャラと見た目は本当に一緒。
日常にターミ〇ーターが現れたんじゃないかって程に、いつも通りだった。
「こ、こっちが早く到着し過ぎただけなので……お気になさらず。初めまして、フォー。ぇと、改めまして、白川です」
「あぁ、こちらこそ、だ。こんな所でナンバーを名乗るのも変だから、気軽にジロウでもアウランドでも、好きな方を呼んでくれ。“おじさん”でも良いぞ?」
「アウランドさんで」
「ハッハッハ、相変わらず“シロ”はつれないな。だが、ゲーム通りで安心した。もう一方の派手な方も含めてな……」
「ちょっとー! 私の扱いがいちいち雑じゃない!?」
そんな訳で、私達は無事にオフでの合流が叶ったのであった。
凄い、コレは凄い。
以前はちょこっと顔合わせした程度だった筈なのに、二回目に会ったら皆いつも通りだ。
この空間に対して、改めてホッと息を零すのであった。
オフ会、良いかも。
私にとっては、凄くハードルが低くなったと感じたのは確かだ。
コメント
1件
おお、第85話「オフ会」読んだよ!シロちゃんの緊張っぷりが可愛すぎて、しゃがみ込んでお腹押さえてるところとか、知らない人に声かけられて「うひぃ!?」ってなるの、めっちゃ共感したわ(笑)。でもナナと4cardが来て、ゲームのノリそのままで自然に合流できるの、このメンバーの絆を感じられてほっこりした。オフ会のハードル下がったってシロちゃんが思えたシーン、本当に良かった!次回も楽しみにしてる🔥