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シオン
132
#大正時代
井川奎
269
98
#ヒューマンドラマ
井川奎
87
「実はな、餌食が必要なんじゃよ」
今に遠い時に、この言葉を聞いた
自分達と同じ言語にしては、平凡ではなく、心に散血の様に残った
青き、遠い時に聞いたのに、何故かこの言葉が浮かび、記憶が紅く染められる
灰色の街を歩いてた、アゲハ蝶のように美しい者たちが風に揺らぐ紙に写っていた。
自分は、そんな紅い思考と共にアゲハ蝶達を思った
「やっぱり、アゲハ蝶の様な者たちは、何を取り入れてああなったのか、まるで薬の餌食を食ったように美しい」
異常とは思わず、繰り返す
気づけば考察をしていた、「アゲハ蝶の様な者たちは、やっぱり薬の餌食を食っているんだ、機械仕掛けの良薬の餌食を 」
機械仕掛けは精巧だ、美しくなれる、前からこの思想が脳に渦巻いてた、
今日の思考でついに思想に染められた
文学が銃弾を撃っても止められないその思想
自分は紅いホルマリンに漬けられた脳を背負いながら歩いた
道中、求めた機械仕掛けがあるのを発見した
自分は見事に引き寄せられた
嗚呼、何とも精巧な…銀ががった灰色に、愛玩できる機構なその形に、
アゲハ蝶達は灰色の機械仕掛けの様な可愛らしい餌食を食ったんだ、灰色の街に一滴の紅い雫が流れ出すように、その身体に、腹に、心臓に、内臓に、脳に、一滴の美しさが流れ出したんだな。
アゲハ蝶達は羽を失い老いぼれるよりも、喉から血を垂れ流す疫病よりも、この「餌食」に殺された方が、美しく良い死に方だ。
自分は、アゲハ蝶達が愛した餌食を持った
道中、舞台から降りてきたアゲハ蝶に声をかけた
アゲハ蝶は灰色に映るけど、可愛らしい着物を着て、品格を表した顔をしていた。
自分とアゲハ蝶が、暗き廊下の様な、狭い黒い人がいない道にいた、
自分はアゲハ蝶を機械仕掛けで目一杯、紅色で着飾った
アゲハ蝶は、一言も喋らなくなった、紅色に着飾って
アゲハ蝶は餌食になったのだ、美しい、紅色の餌食
自分はそんな餌食を貪り食った。腕も髪も脳も心臓も内臓も腸も
嗚呼、光り輝いて見えた、餌食を食ったおかけで
自分はアゲハ蝶、アゲハ蝶を受け継いだ蝶
自分はこの瞬間が、最も紅色に輝いてるんだ。
コメント
1件
うわ、これ…めっちゃダークな世界観だね。語り手の「紅い思考」に染まっていく感じが、詩的で不気味で、でも惹きつけられた。アゲハ蝶を「餌食」に変えて自らも蝶になるラスト、美しさと狂気が混ざり合ってて鳥肌立った。るるさんの文章、映像が浮かぶようで読み応えあったわ🔥