テラーノベル
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「ただいまーっ」
玄関を勢いよく開け靴を脱ぐ
いつもならもうそろそろ声が聞こえるんだけど‥‥
おかしいな
「ロウさん?」
居間の障子を開ける
いない‥‥
隣の部屋かな
‥‥‥‥いや、いない
今日は任務もないしどこにも行かないって言ってたのに
どこか出かけたのかな
カタン‥‥
廊下のどこかで物音がした
俺は廊下に出て音の出所を探す
まさかここ?
ここは納戸だ
俺は静かに引き戸を引いた
「え‥‥ロウさん⁈」
「‥‥‥‥っ!」
そこには自分の刀を抱えたまま身を小さくして眠っていたロウさんが、俺の声で驚いて起きたようだった
「ロウさん?なんでこんな所で‥‥」
「‥‥北見か」
俺の姿を確認すると刀から手を離す
「何してるんすか?」
「‥‥別に」
「別にって‥‥こんな所でうたた寝ですか?」
「‥‥‥‥帰ったなら声かけろよ」
「かけましたけど‥‥」
ロウさんは眠りが浅い
そのロウさんが俺の大声が聞こえてない?
不思議そうに見つめる俺を横目にロウさんが納戸を出て行く
俺も何も教えてくれないロウさんの後を追い、居間に向かう
居間に入るといつもの席に座り、大きく伸びをしている
そんなロウさんの胸元からオトモがひょっこり顔を出し、ロウさんの隣に据えてある座布団に飛び乗った
オトモも背中を伸ばし、手足を伸ばして欠伸をしている
「今日も修行して来たのか?」
「‥‥はい。隣町の神社に行って来ました」
「倒せたのか?」
「当たり前じゃないですか。俺だって成長してるんで」
「じゃあ片付けももう少し上手くやってくれよ。お前の荷物が溢れてきたぞ」
「え‥‥全部持って行かないとダメですか?」
「何のために離れをお前にくれたんだよ。全部片付けろ」
「でも俺絶対寝る時はこっちで寝ますから」
「‥‥好きにしろ」
俺はいつの間にかロウさんの家に帰ってくることが多くなり、半同棲生活を勝手に送っている
だってロウさんと離れたくないし
チラッと棚と机を見る
‥‥俺が持って来たガラクタや依頼品の数々
そりゃ邪魔か
この前少し片付けたんだけど、結局離れに戻らないからここに溜まっていく
両手に抱えるだけ抱え、離れに向かう
部屋の奥に山積みにして片付けた事にしている
これ見つかったらまた怒られるんだろうな
居間に戻るとちゃぶ台にご飯とお味噌汁が上がっていた
そして俺の前にだけハンバーグが置いてある
「ロウさんは?」
「俺は納豆」
「え⁈またそれだけ?」
「今日外出てないしな」
「でも‥‥最近眠れてないみたいだし、ご飯もあんまり食べないし」
ロウさんがオトモの食事を取りにもう一度立ち上がる
そして障子を開けると小さな声で呟いた
「まったく誰のせいだよ。昨日だってこっちはお前が中途半端で終わるから寝不足だって言うのに」
「えっ?」
「‥‥なんでもない」
え‥‥何が中途半端?
俺何かしたっけ?
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コメント
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北見~✨️ こや どうしたんだろう?こや ツンデレ系で 北見 子犬系だからバランスいいんだよな~楽しみにしています!!!!!