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ープロローグー
ー私にとっては、当たり前なことー
ー未羽菜
(みはな)
目線ー
ーガタン………!
ー教室の窓が、ガタガタと、小刻みに揺れ始める。
………その音に、真剣に、算数の、授業を、受けていた、私は、パッと、顔を上げた。
………他の、クラスメート達は、その小さな音については、何も、思っていないらしく、黙って、算数の、ノートに、計算式を、書き込んでいる。
…………でも、この音はーー、私、朝日 未羽菜(あさひ みはな)にとっては、とても、不吉な、それなんだ……………。
…………何故ならーー、
………バチン!
ー不意に、部屋中に、静電気が走りーー、
「………な、何の音!?」
ークラスメート達が、一気に、ざわめき出し、算数の先生も、不安げに、辺りを、見回し始めた。
(…………っ、
ーー来る……………!)
ーあれが……………、
ー…………此方へ、近付いてくる………………!
ー私は、シャーペンを、机に置いてから、立ち上がると、皆に向かって、精一杯、声を、張り上げた。
「………皆、私の後ろに来て、下がって…………!
ー先生も、早く、私の、後ろへ………………!」
「………えっ、どうして………!?」
ー困惑の、声を上げる、皆に、私は、ニコッと、微笑んで見せた。
「………もうすぐ、此処に、あくりょーううん、悪いものが、来ちゃうから…………。
ー………私、一応、巫女の、子孫だから…………」
ー私に、任せて貰えないかな………?
「………あぁ、朝日さんに、任せたら、安心だ………!
ー皆、彼女の後ろに、下がって………!」
ー私の申し出に、クラスメート達よりも、素早く、頷いたのは、算数の先生。
………大人らしからぬ、安心した笑顔になって、クラスメート達を、後ろに、下がらせ始めている。
(………人のことは、言えないけどーー、
…………先生のことが、ちょっとだけ、情けなく、見えちゃう……………。)
ー私は、心の中で、ため息を吐いてから、すっと、視線を、闇へ向ける。
『………呪ってやる…………!』
ーその悪霊は、私に向かって、泣きわめく。
「………あなたに、呪われたくなんて、無いわ……………。
ーー悪霊、退散………!」
ー私は、彼女に、襲わせる隙を、与えずに、その額に向かって、特別な札を、投げ付ける。
ーこの札は、怨霊や、悪霊を、消滅させるために、作られた、「朝日 神社」の、専用のもの。
ー代々、巫女の子孫ー一応、私のような、女の子ーや、神社の、家系の人が、受け継いできた。
………因みに、私は………、
ーこう見えても、その神社の、神主さんの、孫、なんだ………………!
『………ぎゃああああっ………!!』
ー悪霊の、悲痛な叫び声に、考え事をしていた私は、はっと、我に返って、顔を上げる。
ー丁度、お札の、
「悪霊を、消滅させる」
効果が効いて、彼女の姿が、空気となり、溶けていく所だった。
『………の……ぶ なが…………に、縁し者よーー。
ー我が、滅んでも、
…………このままでは、済まぬと、思え……………。』
「………え………っ…………?
ー待って………、
ーそ、それって、どういう、意味…………………」
(………それって、どういう、意味なの……………?)
ー完全に、消滅する前に、その悪霊に、言われた言葉にーー、
ー私は、混乱して、聞き返そうと、したけれどーー、既に、彼女は、消滅した後だった。
ーパチ、パチッ……………!
ー悪霊の、消滅と共に、教室の、明かりが、元通りに点灯する。
「………もう、大丈夫だと、思います……………!」
ー私は、何事も無かったかのように、先生や、クラスメート達に向かって、そう断言した。
「……わぁ、有り難う、未羽菜ちゃん………!」
「ー朝日さんが、居てくれて、助かったよ…………!」
ー口々に、お礼を言われて、私は、少し、恥ずかしくなりながらも、
「………いえいえ……!」
ー皆を助けるのは、当然ですから………………!
ーと、首を、激しく、左右に振る。
(…………さっきの、悪霊さんの、言葉ーー、
ー妙に、引っ掛かるんだけど………………………。)
ー他の、クラスメート達と、一緒に、自分の席へと戻りつつ、私は、自分の両腕を、ぎゅっと、抱き締める。
ー嫌な予感が、私の、全身を、貫いているのをーー、
ーこのときの、私は、無意識ながらに、感じていたのだった………………………………。
ー続く