私には、理解できない……。
なぜそこまで、他人のために自分を殺せるのか……。
まるで、死んでいるみたいじゃないか。
いや、違うな。死んでいないんだろう。
キミはまだ生きているよ。
誰かの声が聞こえてくる。
それはどこか懐かしくて温かい声。
けれど、僕はそれを知らない。
知らないはずなのに、どうしてこんなにも愛おしい気持ちになるのだろうか。
その答えを求めて、必死に手を伸ばす。
けれど、僕の意思に反して身体は動いてくれない。
ただ、暗闇の中に手を伸ばしているだけなのだ。その先にあるものなど、見えていないのだ。
だがそれは、君も同じことではないのか? 手を伸ばせば届く距離にあるものを、ただ見つめることしかしていなかったのではないか? ならば今一度問おう。
君はいったい、何を掴もうとしているんだ? 僕は僕自身でしかない。
だから僕には僕の答えがあるし、それが正解なのか間違いなのかなんて、他人にはわからないよ。
それでも何か言うとしたら……そうだね。
君の問いに対する答えはひとつだけだ。
僕はきっと、”それ”を望まないだろう。
そんなことをしても無駄だとわかっているからだ。
自分の望むものが手に入らないことも知っている。
結局は何も変わらないまま終わるということも理解している。
けれど、それでいいと思う。
何故なら、これは僕の選んだことだからだ。
自分勝手に選び取った結末だ。
誰かのせいでそうなったわけじゃない。
たとえ、その結果として周りを傷つけることになったとしても、後悔だけはしないと決めている。
だから、僕はこう答える。
“僕の望みは叶わない。だから、このままでいい”
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