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静寂
色も音も重力もない。
葵はまるで真っ白な紙の上に浮かんでいるような感覚だった。
一歩一歩、足音は聞こえない。
>「これは…原稿の中身なの?」
突然、空中に「漫画のコマ」が現れた。
そこに描かれていたのは、ファンタジー風の戦闘服をまとった若い女性だった。顔には傷跡があり、瞳には悲しみが宿っていた。
>「私…彼の物語の登場人物だったの。」
「セリフも、敵も、任務も…」
>「でも、彼は私を3章までしか書かず、その後は忘れてしまったの…」
若い女性は悲しげに微笑んだ。
そして、床に散らばった黒いインクの中に消えていった。
葵は振り返った。
そこに、未来的な探偵のような若い男の姿があった。
彼は呟いた…
>「彼女がここにいるのは知っていた…」
「でも作者は僕に彼女を見せてくれなかった…」
そして彼は、果てしないインクの流れへと「溶けて」いった。
葵は理解し始めた…
>ここは「結末のない登場人物たちの墓場」だった。
忘れ去られ、見捨てられ、あるいは物語の途中で改変され、登場人物たちが死んでいく世界。
そして…彼女は「最初の客」ではなかった。
背後から小さな足音が聞こえた。
プリンがゆっくりと彼女に近づいてきた。
魔法の光も、明るい笑顔もない。
ただ、半分に切られ、未完成のまま放置された紙人形のような少女がそこにいた。
>「葵ちゃん…見たでしょ?」
「私はずっとここにいたの。誰にも愛される前から…」
>「でも…あなただけが私の話を『聞いて』くれた…」
「だってあなたも、書かれた存在だったから。」
葵は彼女の瞳を見つめた――そして「プリンの人生」が嵐のように押し寄せてきた。
痛みの中でも無理やり笑顔を作らされた瞬間。
理由も分からずに人を殺した瞬間。
宗一は「ごめん」と書いたが、声に出しては言わなかった。
>「プリン…君は悪魔じゃない。」
「君に必要なのは、ただ終わりなんだ…」
少女はうつむき、拳を握りしめた。
>「でも…もう誰も…私のためにそれを書いてくれる人はいない…」
彼女は床に残された黒いインクの線を指差した。
それは宗一の羽根ペンだった…。
彼女はそれを拾い上げ、葵に差し出した。
>「もしあなたが私のために書いてくれたら…私は消える。」
「でも、もしあなたが断ったら…私が代わりに書くわ――そして、私より良い結末を誰にも与えない…」
白い世界がひび割れ始めた。
忘れ去られた登場人物たちの声が叫び始めた。 「助けて…!」
「私たちをここにずっと置いていかないで…!」
葵は手に持ったペンを見つめた。
それは軽かった…でも、生死を分ける決断のように重かった。
そして、彼女は決断した…
彼女は真っ白なページを開いた。
世界の果てに腰を下ろした。
そして、最初の行を書いた…
「悲しみの果てに…」
「小さな女の子…」「無理のない笑顔。」
プリンは泣いた。
彼女の笑顔が戻った。しかし、それは漫画の笑顔ではなかった。
それは、原作のどの原稿にも描かれていない、純粋な子供のような笑顔だった。
「ありがとう…葵ちゃん…」
そして、プリンの体はゆっくりと消えていった。
まるでインクが紙に戻るように。
しかし、今度は痛みはなかった。
ただ、安らぎだけがあった。
そして最後に聞こえた音は…
「終わりは…自分を許すこと。」
葵の手の中の白紙は…
元の墨線が消え、「新しい原稿」へと変わった。
そして、かすかな声が響いた。
「戻りたい?」
彼女は頷いた。
そして、世界は真っ白になった。
翌朝。
葵警部はデスクで目を覚ました。
ペンはまだ彼女の手の中にあった。
デスクの上には「白紙のファイル」が置いてあった。作者の名前は書かれていない。
しかし、最初のページにメッセージが書かれていた…
「魔法少女プリン★ハート:最後の原稿」
そして中には…
結末のある物語が綴られていた。
プリンは…もういなかった。
しかし、葵の瞳には、彼女と同じ悲しみが宿っていた。
時として…最高の結末は
ハッピーエンドではなく
「悲しみは人生の一部だと理解すること」なのです。
第10章 終わり
#魔法少女パロ
猫星と狸
28
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#魔法少女
コメント
1件
第10話、読み終えました。「結末のない登場人物たちの墓場」という設定、とても心に響きました。特にプリンが「誰にも愛される前からここにいた」と語るシーンで、彼女の孤独がひしひしと伝わってきました。葵がペンを手に取り、自分で「終わり」を書く決断をするラストが美しいですね。ハッピーエンドではないけれど、悲しみを受け入れることが本当の救いになる——そのテーマの描き方が、静かで深くて、じんわりと沁みました。