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それではスタートの前に今回は専門用語が多いので説明します。
現像 現像とは、カメラで撮影した目に見えない光の跡(潜像)を、化学薬品の処理(現像液・停止液・定着液など)によって目に見える画像として出現させるプロセスを指します。
現像液 現像液は、光を当てて記録されたフィルムや感光材料(印画紙や半導体のフォトレジストなど)の目に見えない潜像を、化学反応で可視化するための薬液
それではスタートーー!
翌日の放課後。
写真部の部室には、現像液の独特な香りが漂っていた。
白石美月は昨日買ったフィルムカメラを机に置き、そっとフィルム室を開く。
「……まだフィルムが入ってる。」
最近では珍しい35ミリフィルム。
店主は「空だと思う」と言っていたが、巻き戻されていないフィルムが一本だけ残されていた。
「もしかしたら……誰かが撮った写真かな。」
部長が笑う。
「現像してみたら?」
美月は小さくうなずいた。
⸻
暗室
赤いセーフライトだけが部屋を照らす。
慎重にフィルムを現像タンクへ入れ、薬液へ沈める。
時計を見ながら、静かに待つ。
カチ、カチ、カチ……
時間だけが流れていく。
やがてフィルムを取り出した美月は、思わず息をのんだ。
「……写ってる。」
確かに何枚もの写真が残っていた。
しかも、どれも十五年ほど前に撮影されたような色合いだった。
山道。
天文台。
観測ドーム。
夜空。
「こんな場所……どこだろう。」
⸻
一枚だけ違う写真
プリント作業が始まる。
一枚、また一枚と写真が浮かび上がる。
そのどれもが美しい星空だった。
だが最後の一枚だけ、美月の表情が変わる。
「……え?」
夜空の写真。
その下には駐車場。
一台の黒い高級車。
さらに写真の隅には……
銀色の長髪の男が立っていた。
顔までははっきり見えない。
しかし、その鋭い横顔だけは不気味なほど鮮明だった。
「誰……?」
写真を裏返す。
そこには、かすれた鉛筆の文字。
『星は、すべてを見ている。』
⸻
翌日・米花市立美術館
写真展当日。
多くの来場者で賑わう館内。
「わあ、きれい!」
「高校生が撮ったとは思えないね。」
美月の作品の前にも人だかりができていた。
その頃、毛利蘭と鈴木園子、そしてコナンも会場を訪れていた。
「蘭、こっちこっち!」
園子が手を振る。
「写真展なんて久しぶり!」
コナンは展示を見ながら歩いていたが、一枚の写真の前で足を止める。
夕焼けの河川敷。
子どもたちの笑顔。
その写真の横に立っていた少女が、静かに来場者へ説明していた。
白石美月だった。
「写真って、その瞬間の気持ちまで残せると思うんです。」
コナンは心の中でつぶやく。
(この人……よく人を見てる。)
⸻
初めての会話
展示を見終えたコナンは、美月へ近づいた。
「こんにちは。」
「こんにちは。」
「この写真、すごくきれいだね。」
「ありがとう。」
「撮る時に気を付けてることってある?」
美月は少し考えてから答えた。
「シャッターを押す前に、その人の気持ちを想像することかな。」
コナンは少し驚く。
「へぇ……。」
蘭も笑顔になる。
「素敵な考え方ですね。」
そのときだった。
会場の照明が一瞬だけ暗くなる。
「え?」
非常灯が点灯し、館内がざわつく。
数秒後、照明は元に戻った。
「停電?」
係員が慌てて走る。
「すぐ復旧しました!ご安心ください!」
誰も気に留めなかった。
ただ一人を除いて。
コナンは入口付近に立っていた黒い帽子の男を見ていた。
男は会場を一瞥すると、静かに立ち去る。
(……今の男。)
⸻
灰原の反応
その日の夕方。
阿笠博士の家。
美月から「古い写真を見てほしい」と頼まれたコナンは、灰原や博士も交えて写真を見ることになった。
「この一枚なんだけど……。」
テーブルに置かれた夜空の写真。
灰原が目を向けた瞬間、その表情が凍りつく。
カップを持つ手が、小さく震えた。
「灰原?」
彼女は写真の隅を見つめたまま、小さくつぶやく。
「……うそ。」
コナンは写真を手に取る。
「どうした?」
灰原は震える声で答えた。
「あの車……。」
「え?」
「見間違えるはずがない。」
そして、銀色の男を指差した。
「……ジン。」
部屋の空気が一変する。
阿笠博士も息をのむ。
「まさか……。」
コナンの表情が鋭く変わる。
(黒ずくめの組織……。)
⸻
隠されたもの
コナンはカメラを手に取る。
何気なく底面を叩くと……
カチッ。
「ん?」
底板がわずかに浮き上がる。
「隠し蓋?」
精密ドライバーで慎重に開けると、小さな空洞が現れた。
そこには──
マイクロSDカードが一枚。
美月は驚きの声を上げる。
「こんなところに……!」
コナンは静かにカードを見つめる。
「十五年間、誰にも見つからなかったのか……。」
灰原は青ざめた顔のまま、小さく首を振る。
「それを見つけたってことは……。」
「もう、向こうも気づいてる。」
⸻
一方、その頃――
東京都内某所。
黒い高級車が地下駐車場へ滑り込む。
エンジンが止まり、静寂が戻る。
車のドアが開く。
銀色の長い髪。
黒いコート。
ジンだった。
ウォッカがノートパソコンを見ながら言う。
「兄貴。」
「十五年前のカメラが動きました。」
ジンの瞳が細くなる。
「場所は?」
「米花町です。」
短い沈黙。
そして、ジンは煙草に火をつける。
「……回収する。」
その一言だけで、車内の空気が凍りつく。
ウォッカは静かにうなずいた。
「了解です。」
黒い車は再び夜の街へ走り出す。
その行き先は、コナンたちのいる米花町だった。
⸻
――第二章 終――
次回予告
第三章「黒い影」
유리
16
坂田銀にゃん
15
コメント
3件
第4話、読ませてもらいました!写真現像の工程が丁寧に描かれていて、暗室の臨場感がすごく伝わってきました。最後の一枚にジンが写っていた衝撃…そして隠し蓋から出てきたマイクロSDカード。15年前の謎がコナンたちとどう繋がっていくのか、続きが気になりすぎます!