テラーノベル
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スタートーー!
午後六時。
阿笠博士の家。
リビングのテーブルには、例のマイクロSDカードが置かれていた。
コナンはノートパソコンにカードリーダーを接続し、慎重にデータを開こうとする。
「頼む……。」
画面が切り替わる。
しかし表示されたのは、たった一行だけだった。
ACCESS DENIED
「ダメか……。」
阿笠博士が眉をひそめる。
「かなり特殊な暗号じゃのう。」
灰原哀は腕を組み、画面を見つめていた。
「組織のものじゃない。」
「え?」
「彼らならもっと単純に、証拠ごと消すはず。」
「つまり?」
「このデータを隠した人が、自分で暗号をかけた可能性が高い。」
コナンはうなずいた。
「十五年前の研究員か……。」
⸻
帝丹高校
翌朝。
白石美月は、いつも通り登校していた。
教室では、昨日の写真展の話題で持ちきりだった。
「テレビにも映ってたね!」
「写真、すごくきれいだった!」
美月は照れくさそうに笑う。
「ありがとう。」
だが、その笑顔とは裏腹に、心の中には昨日見つかったSDカードのことが引っかかっていた。
(あの写真……。あの男は、一体……。)
窓の外を見る。
校門の前に、一台の黒いセダンが停まっている。
見覚えのない車だった。
運転席の男は新聞を読んでいるように見える。
しかし、その視線は、時折校舎へ向けられていた。
⸻
少年探偵団
その日の放課後。
「美月お姉さーん!」
元気な声が響く。
歩美、元太、光彦の三人が校門前にやって来た。
「写真展、見に行ったよ!」
「すっごくきれいだった!」
「ありがとう。」
歩美が目を輝かせる。
「今度、写真の撮り方教えて!」
「もちろん。」
そのやり取りを、少し離れた場所からコナンが見守っていた。
(平和そうに見えるけど……。)
視線を道路へ向ける。
黒いセダンは、まだそこにある。
男は新聞を閉じると、携帯電話を耳に当てた。
「対象を確認。」
短く、それだけ話して電話を切る。
コナンの表情が変わる。
(……やっぱり。)
⸻
尾行
「博士。」
その夜。
コナンは阿笠博士の黄色いビートルに乗り込み、黒いセダンの後を追っていた。
「少し距離を取って。」
「任せるんじゃ。」
灰原は助手席から静かに双眼鏡をのぞく。
「ナンバーは偽装。」
「予想どおりか。」
黒い車は人気のない倉庫街へ入っていく。
コナンたちも慎重に後を追う。
その時だった。
「止まった。」
セダンのドアが開く。
降りてきたのは帽子を深くかぶった男。
男は倉庫の陰へ消える。
コナンは腕時計型麻酔銃を確認する。
「ちょっと様子を見てくる。」
⸻
倉庫街
夜風が冷たい。
コナンは静かにコンテナの陰を進む。
すると、男の声が聞こえてきた。
「対象は女子高校生。」
「回収は明日。」
「……了解。」
(やっぱり美月さんを狙ってる!)
その瞬間――
パキッ。
コナンの足元で小枝が折れた。
「誰だ!」
男が振り返る。
コナンは走り出す。
「待て!」
倉庫街を駆け抜ける。
男も追ってくる。
コナンはスケートボードを取り出した。
「行くぞ!」
モーター音が響く。
コンテナの間を猛スピードで駆け抜ける。
男は拳銃を抜く。
パン!
銃弾が鉄板に当たり、火花が散る。
「危ない!」
コナンはジャンプしてコンテナを飛び越える。
その時だった。
バンッ!
別方向から乾いた銃声。
男の拳銃が弾き飛ばされた。
「!」
コナンが振り向く。
遠くのビルの屋上。
スコープが月明かりに光る。
(まさか……。)
通信機から低い声が聞こえた。
「早く離れろ、ボウズ。」
赤井秀一だった。
コナンは小さく笑う。
「助かったよ。」
男は混乱しながら車へ飛び乗る。
タイヤを鳴らし、闇へ消えていった。
⸻
翌日
FBIのアジト。
赤井秀一はライフルをケースへ戻していた。
ジョディが尋ねる。
「彼らが動いたの?」
「ああ。」
「十五年前の件らしい。」
ジョディは資料を見る。
「研究員、倉橋俊介。」
赤井は静かに答える。
「組織は何かを恐れている。」
⸻
帝丹高校・屋上
放課後。
美月は一人で空を見上げていた。
夕暮れの空に、一番星が輝いている。
そこへコナンがやって来た。
「美月さん。」
「あれ、コナン君。」
「最近、変わったことない?」
美月は少し考えた。
「……実は。」
昨日から何度も同じ黒い車を見かけていること。
誰かに見られている気がすること。
コナンは黙って聞いていた。
「やっぱり。」
「え?」
「しばらく一人で行動しないで。」
美月は驚く。
「どうして?」
コナンは少しだけ笑う。
「大丈夫。」
「僕が守るから。」
その言葉に、美月は少し安心したように微笑んだ。
「ありがとう。」
しかし、その様子を遠くの校舎から望遠レンズで見つめる人物がいた。
黒い帽子。
金色の長い髪。
口元には妖艶な笑み。
ベルモット。
「ふふ……。」
「やっぱり、あの子に近づいていたのね。」
彼女は静かに携帯電話を閉じた。
「面白くなってきたわ。」
⸻
深夜。
黒ずくめの高級車。
ジンは窓の外を見つめていた。
ウォッカが報告する。
「明日の夕方、白石美月は一人で帰宅する予定です。」
ジンは短く答える。
「回収する。」
「生きていても、死んでいても構わん。」
車は静かに夜の闇へ消えていく。
その背後で、雷鳴が遠く響いた。
美月に迫る危機は、もうすぐそこまで来ていた。
⸻
――第3章 終――
次回予告
第4章「雨の追跡者」
下校中の美月を狙い、黒ずくめの組織がついに動き出す。激しい雨の中、コナンはスケートボードで追跡し、蘭や安室透も事件に巻き込まれていく。東京の街を舞台にした大規模カーチェイスと逃走劇が幕を開ける──。
コメント
3件
いぬ🐶さん、第5話読みました! 黒いセダンの尾行から倉庫街の銃撃戦、そして赤井さんのまさかの救援まで、一気に緊迫感が上がってきましたね。美月さんが完全に組織に狙われていて、コナンくんの「僕が守るから」という台詞が印象的でした。でも最後のベルモット登場でまた不穏な空気に……。伏線がいくつも重なっていて、次が気になります!
유리
16
坂田銀にゃん
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