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柘榴とAI

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#没入感フィクション
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『てな感じで、シックスめっちゃ可愛かった! 早乙女さんも見て見て! めっちゃ写真撮って来た!』
「何枚か写真見せてもらいましたけど、前と随分雰囲気変わってましたね。白川君がシスコンの理由が、なんかもう次から次へと理解出来ちゃってるんですけど……料理上手で、可愛くて、しかも小動物みたいな雰囲気で」
とか何とか、sevenと通話を繋ぎながら晩酌中。
本来は次の企画というか、賞金首の新武装の話し合いだった筈なんだけど。
そんでもって、仕事相手と喋っているのにお酒を飲みながらリモートとか。
普通であれば絶対に許されない事ではあるんだけど。
彼女の強い希望もあって、通話越しとは言え一緒にお酒を飲む様になってしまったのだ。
前回の一件があってから、どうにもこの子の我儘に関しては断れなくなってしまっている気がしないでもないけど。
という事でモニター越しとはいえ、二人揃ってお酒を傾けながら雑談をしていたが。
「あ、そうだ。今度賞金首達をまた集めて、皆で謝恩会でも開いたらどうかって話が割とまとまりつつあるんですけど……セブンとしては、実際の所どうですか? 本当に開催したら、来てくれます?」
『絶対行く! 今度は皆集めようよ! 結構関わりが増えた人達も居るしさ、絶対楽しいって!』
こういうイベントに関して、やはり彼女は乗り気な御様子。
予想していた答えだったとしても、思わず笑ってしまった。
「謝恩会、なんて堅苦しい言い方をすると、それこそ会社側からの接待の現場になってしまうので。ここは皆様に意見を聞こうかなぁって思いましてね? 高いホテルとかの一室を借りてキチッとする場、もしくは賞金首と各担当、そして本当に関係者少数。それくらいでワイワイするのどっちが良いですか?」
『皆でワイワイ! 高い所に行っても、挨拶ばっかりじゃつまんないし! 高級料理ですよ~って言われて出されても、緊張しっぱなしじゃあんまり美味しくないし? だったら私、シックスのご飯の方が食べたーい。早乙女さんだけズルーい』
これまた予想通りの答えで、フフッと緩い笑みが零れる。
もしも彼女の様な声が多ければ、それこそ会社側としても経費が抑えられる。
これと同時に、私達の“好きに出来る”のは確かなのだ。
何たって、そういう場で我々にとっての“お客様”となるのは賞金首のみ。
全員集まっても、たった十人しか居ない。
会社のブランドイメージを大事にするのなら、高級なホテルでも予約して、皆ビシッとした格好で優雅なディナー。
本来の謝恩会なんて言えば、“お客様”が数え切れない程来るだろうから、それこそとんでもない額になる。
この状況を凄いホテルなんかでやるとすれば、賞金首達を招くだけでも……人数は少なかろうがなかなか良いお値段になる事が予想される訳で。
本社としても彼等彼女等の事は大事に扱っているので、申請すれば通る内容ではあるのだが。
先程seven言った様に“他に望んでいる事”があるのなら、皆の要望を叶えた方がずっと良いというものだ。
しかもそっちの方が経費も浮くと話が出来れば、それこそ自由度が上がるというもので。
「そうですねぇ……堅苦しい席って、もう仕事だけでお腹いっぱいなので。皆私服、場所はキャンプ場とか。それこそ集まって貰ってからバスの送迎付きで、コテージに宿泊込みで皆でワイワイ。もちろんお酒も有り……そんな事になったら、最高でしょうねぇ……これでも高級ホテル取るより、ずっと安いですし。まぁ皆まとめての寝床になる可能性がありますけど」
『絶対そっち! 賞金首の中で“安物受け付けないリッチメン”とか居ない限り、絶対そっちの方が良いって! 担当サポーターさん達も、たまには気を抜く空間が必要だって~。ね? ね? 学生みたいで楽しそうじゃぁん』
「ま、そっちは追々。それこそ皆様の意見を聞きながら進めて行く形ですかね」
とか何とか言いつつ、こっちはこっちで片手間に書類を作成。
雑談交じりの、しかもお酒を嗜みながらなんて、随分と適当だとは自分でも思ってしまうが。
「少し話を戻しますけど、sevenの新武器に関して要望は以上ですか? またP90、そのカスタムモデルと言う事で。主に軽量化と、見た目の変更」
『ですです。そっちは今のところ、他に思いつかないかなぁ? 性能面では、それだけですねぇ。あとは見た目に関して、こうガラッとド派手なピンク色とかにしたくもあるけど……ガンサバの世界観と合わないですもんね?』
「ハッハッハ、流石にそれは。まぁカラーチェンジは普通に出来る機能なので、やっても問題は無いんですけどね?」
ド派手ドピンクのマシンガンを振り回すとか、それこそ漫画やアニメの世界でしょうが。
あのゲームでそんな物を持ちながら無双する賞金首が居たら、目立ちはするが尖り過ぎていてファンが離れる可能性があるというもの。
また違う意味でのファンは生まれるかもしれないけど。
実際彼女のアバターは、賞金首の間は割とシックというか。
非常に落ち着いた女性の殺し屋って見た目もしているし。
あまりリアルの彼女の印象に寄せ過ぎてしまうのも良くない。
『であれば~……外装は何か思いついたら早めに連絡するとして。他の賞金首と合わせたりとか、アリですか?』
「無しではない、です。けどあまり変な事やって、リアルの人間関係を疑われたりするレベルは無しです」
お揃いの武装、もしくは雰囲気が酷似している、とかね。
今回に関しては現実に無い物だってOKにしてある以上、そういう事だって発生する可能性もあるのだ。
だからこそ、一応釘を刺しておいたのだが。
『シックスの武装を見てから、ちょっと雰囲気合わせたいなぁって』
「ほんっと……好きですねぇ」
『超大好き!』
これもまた、予想通りと言って良いのか。
もはや乾いた笑い声を浮かべながら、一応そっちも書類製作途中のメモ欄に打ち込んでいくと。
『多分ねぇ~私の“憧れ”に一番近いんだと思う。私じゃなれなかった、“凄い人”ってイメージが……なんていうか、限りなくシックスに近いの。というか、シロちゃんに近いって言ったら良いのかな』
「……というと?」
普段は聞かないような、ちょっとだけ静かな声。
いつもだったらテンション高くて、配信者らしくワーワーって楽しそうに喋る子なのに。
今だけはまるで……全然“作っていない”というか。
初めて彼女の本音の様なモノを聞いている気がして来る。
『私も色々やって、どうにかギリこの道で食べていける様になった~っていうだけの、ホント“運が良かった”だけの人間だからさ。色々憧れはあった訳ですよ~、そりゃもう山の様に。こう出来たら良いなー、こんな風に生きられたら格好良いなぁーとか。弱い自分が居ても、皆の前ではこういう存在になりたいなぁー……みたいな?』
「それが……6keyさん、というか白川さんだと?」
『なははっ! 年下の女の子相手に、何言ってるんだって話だけどね。あの子は私がなりたかった自分を皆持ってる気がして、でも本人が持ってない物も多い。だからこそ、私があげられる物は全部あげたいなぁって思っちゃって。まぁシックスは格好良いし! シロちゃんは可愛いからね! 仕方ないね!』
この話はお終い! とばかりに、いつも通りのテンションに戻ってしまったseven。
これ以上は彼女の過去に繋がりそうなので、聞き出そうとするのは無粋というモノなのだろうが。
「では、もしもお気楽な“謝恩会”が叶ったその時には、夜にでも話の続きを聞かせてもらいますかね」
『おっ、良いねぇ~。ホントにキャンプ場とか借りて、コテージに泊まっちゃりなんかして、皆で一緒にー! ってなったら、その時は学生に戻った気分でガールズトークしましょうかぁ!』
「ハハッ、それは楽しそうですね。ガールと言える程、若くは無いですけどね~私」
『そういうのは気にしないのが女子トークなのぉ~。というか、シックスのサポーターとは何か結構良い雰囲気だったじゃないですか。その手のお話は?』
「ハッハッハッハー……彼、仕事は物凄く優秀なんですけどねぇ。如何せん、思考が妹さん中心なので」
『きょ、兄妹揃って……朴念仁だったかぁ。え、でも早乙女さん的にはアリって事?』
「さぁて、どうですかね? そっちもまた、謝恩会が叶ったら……ですかね?」
『ケチー! 絶対その企画通して下さいね!? 皆で集まって騒ぎましょうよー!?』
そんな会話をしつつ、夜は更けていく。
前回のトラブルは、確かに会社としては不味い事態ではあったのだが。
こうしてsevenの本音が聞き出せる環境が作れた、という意味では……個人的には、ありがたかったのかもしれない。
以前よりずっと近い距離間で、担当している賞金首と話しているのが自分でも分かる。
それこそ白川君と妹さんみたいに、互いに通じ合っているかのような連携にも繋がるというモノだろう。
コレは仕事、だからこそ友人感覚は良くない。
こればっかりは理解しているが……こういう環境の方が、お互いに“やりやすい”というのも確か。
だからきっと、私は。
この先もこの子と一緒に仕事をする間は、多分sevenの我儘に弱いサポーターになってしまう事が予想出来るのであった。
それはそれで、不味いんだけどね?
コメント
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おお、今回も良い回でしたね!sevenの本音というか、「憧れ」の話がすごく印象的でした。普段あんなにテンション高くて配信者然としてる彼女が、シックス=白川さんのことを「自分がなりたかった自分」って言うシーン、結構グッときました。ガールズトークの流れで早乙女さんと白川兄の関係を探るくだりもニヤリとしちゃった。仕事と友情の狭間で「sevenのわがままに弱くなる自分」を自覚してる早乙女さんの心情もいい塩梅。何より、物語としてキャラの内面がじわじわ見えてくる構成が好きです。次が楽しみ!