テラーノベル
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お店を出てから、黒沢君と並んで歩いた。
ちょっとまだ、この位置は緊張したりするのだが。
でもいっぱい話したい事があるので。
そんな事を思いつつ、銃の話題に花を咲かせつつ歩いていれば。
「そこのお嬢~さん、すっげぇ可愛いじゃん。格好からして、高校生くらいだよね?」
後ろで、そんな声が聞えて来た。
わぁ、凄い。
これまで見た事無かったけど、街中でナンパする人って本当に居るんだ。
でもまぁ、私には関係ない事なので。
むしろジロジロ見たら不味いのかなって思って、振り返らず黒沢君に視線を向け続けた。
「お昼、何が良いですか? いっぱい教えてもらったので、私が奢っちゃいます! 今日だけは譲りませんからね? この前だって、何だかんだ言って黒沢君がすぐ払っちゃったんですから」
「あ、あぁ~えっと。あはは、そうだね。それじゃ、ご飯食べられそうなお店がいっぱい集まってる様な場所に行ってみようか。その場で見て、食べたい物決めようよ」
「わかりました! 何でも言って下さいね? それこそ、こういうのだって黒沢君の“好きな物”を知る機会なんですから……」
なんて会話をしていたのだが、チラチラと背後に視線を送っている黒沢君。
さっき聞えて来た声を気にしているのだろうか?
あ、もしかして声を掛けられた人が困っているとか、そういう事だったり?
それに対して、黒沢君が助けに入ろうかって迷ったりしているのだろうか。
だとすると……こういう場合、どうすれば良いんだろう。
あまり危ない事はして欲しくないとは思うけど、声を掛けられた人が本当に困っているのなら助けてあげたいし。
でも変に割り込んだら、トラブルに発展するかもしれないよね……。
そうなると、一番安全なのは警察を呼ぶとか。
もしくは4cardみたいな“見るからに強い”男の人を呼ぶか、みたいな方が良いのだろうけど。
本当に不味そうなら、休日に申し訳ないけど……彼に連絡してみようか。
などと、ポーチの中のスマホを握り締めた瞬間。
「ちょっとちょっと、無視しないでよ。あんな店に連れ込む彼氏じゃ、つまんなかったでしょ――」
さっきより声が近くから聞えて来て、ビクッと反応しながら振り返って見れば。
全く知らない人が、此方に向かって手の伸ばしている所だった。
肩でも掴もうとしたのか、物凄く近い位置に居たので普通に驚いた。
え? え? さっき声掛けてたのって、私なの?
いやそれは無いか、だって可愛いとか何とか言ってたし。
誰かと勘違いしてない? 多分人違いだと思います。
もしも本当にそうだったとしたら、是非眼科に行った方が良いと思います。
などと脳内が忙しくなっている内に、動きを止めてしまい。
相手の掌が私の肩に触れそうになった瞬間。
「彼女に触らないで貰えますか?」
その腕を、ガシッと黒沢君が掴み取った。
物凄く静かで、冷たい瞳を相手に向けながら。
はい? えぇと、えっと?
「お前じゃねぇよ、陰キャ」
掴まれた腕を振り払った相手は、物凄く怖い顔を浮かべて黒沢君に近付いた。
しかも、もう一人居るのだ。
二人から黒沢君が睨まれる形になり、私だったら絶対泣き出す自信がある状況に陥ったのだが。
黒沢君は、あくまでも静かに目を細め。
「もう一度言いますけど、彼女に触れないで下さい。不快です」
「あぁ? 女の前だからってイキってんじゃねぇぞ! てめぇみたいなオタク野郎が――」
などと相手は叫び声を上げ、此方としては怖すぎてビクビクしながら涙が浮かんで来たんですけど。
どうしようどうしよう、このままじゃ絶対トラブルに巻き込まれる。
黒沢君が怪我しちゃう事態になるかも。
そうなる前に、警察。
もしくは近くに居るかもしれない4cardに……なんて、震えながら慌ててスマホを引っ張り出した瞬間。
彼等の更に後ろ、と言っても車道側だったけど。
結構近い位置で、ブオォンッ! って凄い音が鳴り響いた。
こっちにもびっくりして、慌てて視線を向けてみると。
そこにはバイクが一台、その後ろに派手な車が一台。
まだ仲間が居たぁ!? などと、更にテンパりそうになってしまったが。
先程の音はバイクの方だったらしく、今度は車の方から派手な音が。
え、車ってこんな音出るの? って言うくらいに、もはや爆発音みたいな音。
というか本当に何か爆発しているのか、マフラーからパンパンッ! って音と共に火花か何かが散っている気がするんだけど。
いやいやいや、待って待って怖い怖い怖い。
これは絶対、間違い無くヤバイ人達に絡まれてしまったのでは!?
などと、一人ガクブルしていれば。
「はい、そこまで~。坊や達、ちょっと情けないぞ? 男二人で寂しいのは分かるが、他人のデートを邪魔するもんじゃない」
ヘルメットを外しながらバイクから降りて来たのは、間違い無く。
「ナイ――」
「兄貴!?」
思わずナインって呼びそうになったけど、慌てて口を塞いだ。
不味い不味い。
黒沢君はガンサバのプレイヤーだし、そもそも9Kの弟なのだ。
この情報を部外者である私が知っていると言うのは、流石に色々とバレる気がする。
という事で、両手で口を塞ぎながら黙っていれば。
今度は車から一組の男女が下りて来て。
「ちぃっと、これはいただけないっすねぇ? それに僕等、随分と若そうに見えるけど……ちゃんと成人してる? 歩きたばこなんてしちゃって、駄目だよぉ? 二十歳越えてたとしても、喫煙所で吸いましょうねぇ?」
今度は555が出て来た。
え、え、何? これは何。
しかももう一人、慌てた様子で此方に走って来る女の人。
どう見ても、octopus8に見えるんですけど。
賞金首が大集合してますけど。
一応私も合わせると、4人も集結してるんですけど。
「だ、大丈夫ですか? とりあえず、ここは男の人に任せて……シック――じゃなかった。夢月ちゃんと、彼氏さんは一回……は、離れましょう? ね、ね? それが良いです」
そんな言葉と共にエイトが私と黒沢君の手を掴み、現場から離そうとグイグイ引っ張っていくのだが。
本気で、混乱してます。
ついでに言うと、更に状況は動き。
「シロのお兄さんから依頼を受けた。情報共有感謝する、二人共。現着した」
「おぉ、待ってたっすよー?」
「意外と早かったな? 近くに居たのか?」
4cardまで来た。
こんな所に、賞金首が半分揃っちゃった。
最後の一人に関しては、刀の展覧会に行った後なのか。
色々とお土産らしき袋を掴んでいたけど。
とにかく、私達に絡んで来た人はその三人に囲まれる形になった。
9Kも555も、優しそうな顔しか見た事無かったけど。
今は凄く冷たい雰囲気だし、4cardは見た目からしてヤバいので。
そんなのに囲まれたら、相手も流石にタジタジになっているらしく。
先程黒沢君に対して怒鳴っていた様な威勢は、もはや無い様だ。
こっちはoctopus8の誘導でどんどん離れちゃっているけど、良いのかな……?
とか思いつつ、ずっと振り返ってしまっているけど。
あの、ですね。
大人の男の人が怒ると、やっぱり雰囲気からして凄いんですね。
555、笑いながらも怒っているのが分かる、怖い。
9K、とにかく視線が冷たい、コワイ。
4card、もう背中しか見えないけど、それでも分かる程の圧倒的な恐怖。
皆に助けてもらった事を感謝しつつも、意外な一面を見た気分だ。
や、やっぱり賞金首の皆は凄い人ばっかりだぁ……。
「む、夢月ちゃん……早く、別の所、行こ? ね? そこで、待ってましょう。あの人達なら、絶対大丈夫なので……」
「え、あ、すみません! そ、そうしましょうか……私達が居ても、役に立てる事無さそうですし」
「か、彼氏君も……ね? 行きましょう? あとは、皆に任せて……」
「えと、はい……えぇと、えぇ? こちらの皆様は……白川さんの知り合い? あのでっかい人もまた来てるし……」
黒沢君からは、疑問の声を頂いてしまうが。
これどう説明すれば良いの!?
とはいえ、トラブルに発展する前に現場を離れられたのは凄く助かった。
皆には、また後で何かお礼しないと……特に4cardは、今日二回もお世話になっちゃった。
そんな訳でoctopus8に連れられたまま、私達だけはその場を離れるのであった。
コメント
1件
いやー、今回も熱かった! ナンパトラブルに遭遇したかと思ったら、まさかの賞金首軍団が続々登場で笑ったわ。9Kの「兄貴!」って言いかけて口塞ぐシーン、思わず「分かる〜!」ってなった。4cardもバイクで颯爽と登場して格好良すぎるし、黒沢君が「彼女に触らないで」って静かにガチギレするのも良かった。皆で守られてる感が半端ない回だった!
柘榴とAI

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#没入感フィクション
柘榴とAI

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