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#読み切り
ruruha
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コメント
1件
みぅです🤍🥀 第三夜、読み終わったよ……。 掛け金を柵で外すところ、すごく丁寧に書かれてて、思わず「届いて!」って応援しながら読んじゃった。それだけに、最後のあの場面が衝撃的すぎた……。 自分の顔をした何かが、女性に覆いかぶさってる描写、脳裏に焼きついて離れないよ。青白い頬とか紫の唇、ぬめる舌の感触まで伝わってくるような書き方で、本当に鳥肌が立った。 サトルの描く世界、重くて美しくて、でも確かにそこにある「闇」を感じる。続きが気になりすぎるよ……🌙
中庭に出る北の扉の他に、東と西に同じ作りの扉が一つずつある。
その他には何もない簡素な石造りの部屋だ。
誰かのうちってわけじゃなさそう。
でも……。
壁際に置かれているオイルランプを見た。
ぼんやりと火が灯っている。
誰か、いるのかしら?
あの人以外にも……。
仕方なく西の扉を開けることにした。
あ、こっちの扉は開いてる……。
扉をくぐった。
入り口から西の扉をくぐった先には廊下がある。
折れ曲がった廊下の奥に、もう一つ扉が見えた。
青っぽい鉄の扉だ。
ドアノブを回してみると、固い手応えが返ってくる。
この扉にはカギがかかってるみたいね……。
部屋を出ようとした私は、今入ってきたドアに掛け金がついているのに気づいた。
ノブの下につけられた鉤状の金具を、ドア枠側の環に引っ掛けてカギの代わりにするものだ。
そうか。
きっと反対側にも掛け金がついているんだわ。
それをあの女の人がかけていったんだ。
それで開かないのね。
あっちの掛け金……なんとか外せないかな?
もう一度あの扉を調べよう。
東の扉へ向かう。
もう一度ドアノブを回してみた。
やっぱりノブは回ってる。
ドアは開かないけどカギみたいにガチャっとした手応えじゃないし、掛け金がかかっているのは間違いなさそう。
ふと見ると、小窓の鉄格子が一本外れている。
私は背伸びして、その隙間から手を突っ込んでみた。
「……うーん……」
手は入るけど、掛け金までは届かない。
外すには、棒みたいなものがないとダメかな。
どこかに落ちてないかな?
辺りを見渡した。
が、部屋の中にはランプとその台くらいで他には何も見当たらない。
ここには何もなさそうだ。
庭ならあるかしら?
扉を抜けると、噴水のある中庭だ。
四方を建物と高い壁で囲まれていて、見渡しても外の風景は見えない。
噴水の向こうには、緑色の両開きの扉らしきものが見えている。
残念ながら、ここからは出られそうにない。
噴水の周囲には何かの植物が植えられていて、その周りをぐるりと柵で囲まれている。
地面に刺さった柵は、錆びてぐにゃりとはしゃげてしまっているものも多い。
手入れしなくなってから、随分経っているみたい……。
そうだ!
この柵、掛け金を外すのに使えるかもしれない。
上部がぐにゃりと曲がっている柵を一本引き抜いた。
柵が抜けた地面から、じゅわりと赤い水が染み出す。
「…………」
噴水の奥には、両開きの立派な扉がある。
扉……よね?でも……。
鉄の表面を撫でた。
ノブがない。
自動ドアなわけないし……どうやったら開くのかしら?
南の扉をくぐり、東の扉の前に立つ。
「ようし……」
ひしゃげた柵を鉄格子の奥へ差し入れた。
背伸びしてギリギリまで手を伸ばす。
カシュッ、カシュッと柵がドアの向こう側をかする音がした。
反対側のドアのことを考えると、きっとこの辺りに掛け金があるはずなんだけど……。
手がつりそうになりながら、何度も何度も挑戦した結果ーー。
「!」
手応えがあった。
腕を引き抜いてドアノブを回すと、案の定ドアが開く。
よかった。
これであの女の人を追いかけられる。
ホッとして東のドアをくぐった。
石造りの廊下だ。
隣の扉から続く廊下と同じようにすぐに折れているけど、その先はやや長く廊下が続いている。
ぽつんぽつんと申し訳程度に明かりが灯っていた。
あの人、どこへ行ったのかしら。
石造りの廊下が続いている。
狭く天井が低いせいか、奇妙な圧迫感があった。
突き当たりに扉が見える。
扉を開けると、少し変わった部屋に出た。
ドアを入ってすぐ、木製のついたてが置かれている。
ついたての奥は暗くて見えない。
そして、部屋の一部が鉄の壁と柵で仕切られていた。
柵には扉が設けられていて、その奥にもう一つの木の扉が見える。
柵の内鍵を開けようとしてみたのに、固くて手応えが返ってくるだけで開かなかった。
カギががかかっているみたい。
柵の中には石造りの机も見える。
石の机は二つ机が向かい合わせにくっつけたような感じで、鉄の壁を突き抜けて置かれていた。
柵のこちら側とあちら側で共有する形なのだろう。
牢屋じゃないみたいだけど……なんの部屋?
柵の向こうへ行くには、この内扉を通るしかないのかしら。
ついたての奥から回れるようになってないかな……。
そっと、ついたての裏を覗く。
中は暗い。
入り口のランプの光はついたてに遮られ、奥まで届かない。
思いきって踏み出そうとした時、ついたての奥からごそっと物音がした。
「!!」
続いて、ずずずっという何か重いものを引きずる音。
入り口に置いてあったランプを台からひったくると、闇に突きつけた。
慌てすぎたのだろう。
突き出した手がついたてにぶつかり、バランスを崩した。
一緒にひっくり返る。
私とついたての倒れる音に、投げ出されたランプが割れる音と重なった。
煙のように土埃が舞い上がる。
「痛……」
起きあがろうとした私の目に、銀色の十字架が飛び込んできた。
いけない、落っことしちゃーー。
「!?」
十字架のその向こうに見えたのはーー光を失った人間の目だ。
後ろで割れたランプが、床に広がるオイルを糧に燃え上がっていく。
青白い頰、紫の唇がてらてらと光る。
息ができない。
これ以上見たらダメ。
そう思うのに、私の視線は憑かれたように上がっていく。
のけぞる喉をねぶる、赤くてぐねぐねしたものを辿ってーー。
そこには『私』がいた。
全身赤黒いぼろを纏った『私』が、私の顔をした何かが、女性に覆い被さるようにその長い長い舌を喉に伸ばしている。
舌は赤くぬめって、びくんびくんと脈打つ。
声がでない。
瞬き一つできないで、ただ『私』を見つめていた。
『私』の目がこちらを捉える。
赤い口がニッと吊り上がった。
突然、甲高い声で笑う。
いいえ、私が悲鳴を上げた?
わからない。
私の記憶はそこでプツンと途切れた。