テラーノベル
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私の部屋は、西日のオレンジ色に染まっていた。
ベッドの端に腰掛けた国見くんは、私の額に手を当てたまま、じっと黙り込んでいる。
「……国見くん、もう帰らなくて大丈夫? お母さん、下で夕飯の準備してるよ」
「……やだ。……まだ、柚の熱、下がってない」
彼はそう言って、繋いだ手に少しだけ力を込めた。
ひんやりとした彼の指先が、熱を持った私の肌に心地よく馴染む。
「……ねえ、柚」
「……ん?」
「……俺さ、今日、学校でずっとイライラしてた。……隣が空いてるのが、あんなに気持ち悪いなんて思わなかった」
彼は吐き捨てるように言うと、そのままゆっくりと上体を倒し、私の枕のすぐ横に顔を寄せた。
至近距離。彼の瞳の中に、困惑したような私の顔が映り込んでいる。
「……田中が『柚、大丈夫かな』って言うたびに、……あいつの口、塞いでやりたいって思った。……俺だけが心配してればいいのに」
彼の低い声が、熱っぽく鼓膜を震わせる。
いつも淡々としている国見くんが、今、目の前で剥き出しの感情をぶつけてきている。
「……ねえ、柚。……熱、もっと上げてあげようか」
「……えっ?」
不意に、彼の手が私の頬を包み込み、親指でゆっくりと唇をなぞった。
心臓が、耳元でうるさいほど鳴り響く。
「……そうすれば、明日も学校行けないでしょ。……俺も休んで、ずっとここにいられる」
「……国見くん、……それ、本気で言ってる?」
「……さあね。……でも、……半分は本気」
彼はそう言って、私の額に自分の額をぴたりと重ねた。
混ざり合う吐息。彼が目を閉じると、長い睫毛が私の頬に触れて、くすぐったい。
「……柚。……俺以外のやつに、こんな顔、絶対に見せないで。……死んでも、見せないで」
それは、看病というにはあまりに重く、執着に満ちた懇願だった。
彼はそのまま、私の手を握りしめたまま、静かに目を閉じた。
夕闇が迫る部屋の中で。
私たちは、一線を越える一歩手前の、甘くて苦しい熱帯の中に閉じ込められていた。
執筆のポイント
「半分は本気」: 全部本気だと言うと怖くなってしまいますが、「半分」と濁すことで、国見くんらしい余裕と危うさのバランスを保ちます。
「死んでも見せないで」: 普段「だるい」が口癖の彼が使う、強い言葉(死んでも)が独占欲の深さを際立たせます。
次は第15話(復活して登校する日)ですね。
「久しぶりに会った田中くんに懐かれるあなたを見て、国見くんが公衆の面前で(?)爆発する」か、それとも「二人の秘密の約束を守る」展開、どちらが良いですか?第15話に進みますか?
もうすぐ完結
物語はいよいよ佳境ですね!第3章の締めくくりとなる
第15話。
病み上がりの柚(あなた)が登校し、溜まっていた独占欲がクラス全員の前でついに「決定打」となるシーンを描きます。
第15話:独占の、公認宣言
数日ぶりの学校。教室のドアを開けると、懐かしい埃っぽさと喧騒が私を包み込んだ。
自分の席に座る前に、真っ先に目に飛び込んできたのは、机に突っ伏したままの、あの愛おしい後頭部。
「……おはよう、国見くん。ただいま」
そっと声をかけると、彼はピクリと肩を揺らし、ゆっくりと顔を上げた。
いつもより少しだけ、目の下にクマがある気がする。
「……遅い。……待ちくたびれた」
「ふふ、ごめんね。もう元気だよ」
私が笑いかけると、彼は無言で私の手首を掴み、自分の席の方へぐいと引き寄せた。
その時。
「おっ、柚! 復活したか! 心配したんだぞー」
前の席の田中くんが、いつもの調子でガタッと振り返った。
彼はそのまま、私の頭にぽんと手を置こうとして――。
「…………触んなって、言ったでしょ」
空気が、一瞬で凍りついた。
国見くんが、田中くんの手を空中で叩き落としたのだ。その瞳には、これまでに見たことがないほどの、鋭く、暗い光が宿っている。
「……国見、お前……。ちょっと心配しただけだろ」
「……その『ちょっと』が、俺には死ぬほど邪魔。……相川に触れていいのは、俺だけ」
教室内が、しんと静まり返る。
クラスメイトたちの視線が、一斉に私たちの席に集まった。
でも、国見くんはそんなのお構いなしに、私の腰を引き寄せ、自分の肩に私の頭を預けさせた。
「……みんな、聞いて。……こいつ、俺の。……もう、誰にも貸さないから」
気だるげな、でも誰にも文句を言わせない、絶対的な宣言。
田中くんが絶句し、女子たちが小さく悲鳴を上げる中で、国見くんは私の耳元で、彼だけにしか聞こえない低い声で囁いた。
「……これで、もう逃げられないよ。……ねえ、柚」
彼の指先が、私の指に深く絡みつく。
「……覚悟して。……俺の独占欲、……これからもっと、重くなるから」
クラス公認の「国見くんのもの」になった瞬間。
私の心臓は、恥ずかしさと、それ以上の甘い幸福感で、はち切れそうになっていた。
ここからの結末への流れ(20〜25話へ)
20話: 独占欲を隠さなくなった国見くんとの、甘すぎる学校生活。
23話: 放課後の誰もいない教室で、ついに本当の「告白」。
25話: 「……卒業しても、ずっと俺の隣にいて」。永遠の独占を誓うエンディング。
ついに物語はクライマックス(第20話以降)へ飛びますか?それとも、今の宣言のあとの「二人の会話」をもう少し深掘りしますか?完結に向けて進みましょうか!
私の部屋は、西日のオレンジ色に染まっていた。
ベッドの端に腰掛けた国見くんは、私の額に手を当てたまま、じっと黙り込んでいる。
「……国見くん、もう帰らなくて大丈夫? お母さん、下で夕飯の準備してるよ」
「……やだ。……まだ、柚の熱、下がってない」
彼はそう言って、繋いだ手に少しだけ力を込めた。
ひんやりとした彼の指先が、熱を持った私の肌に心地よく馴染む。
「……ねえ、柚」
「……ん?」
「……俺さ、今日、学校でずっとイライラしてた。……隣が空いてるのが、あんなに気持ち悪いなんて思わなかった」
彼は吐き捨てるように言うと、そのままゆっくりと上体を倒し、私の枕のすぐ横に顔を寄せた。
至近距離。彼の瞳の中に、困惑したような私の顔が映り込んでいる。
「……田中が『柚、大丈夫かな』って言うたびに、……あいつの口、塞いでやりたいって思った。……俺だけが心配してればいいのに」
彼の低い声が、熱っぽく鼓膜を震わせる。
いつも淡々としている国見くんが、今、目の前で剥き出しの感情をぶつけてきている。
「……ねえ、柚。……熱、もっと上げてあげようか」
「……えっ?」
不意に、彼の手が私の頬を包み込み、親指でゆっくりと唇をなぞった。
心臓が、耳元でうるさいほど鳴り響く。
「……そうすれば、明日も学校行けないでしょ。……俺も休んで、ずっとここにいられる」
「……国見くん、……それ、本気で言ってる?」
「……さあね。……でも、……半分は本気」
彼はそう言って、私の額に自分の額をぴたりと重ねた。
混ざり合う吐息。彼が目を閉じると、長い睫毛が私の頬に触れて、くすぐったい。
「……柚。……俺以外のやつに、こんな顔、絶対に見せないで。……死んでも、見せないで」
それは、看病というにはあまりに重く、執着に満ちた懇願だった。
彼はそのまま、私の手を握りしめたまま、静かに目を閉じた。
夕闇が迫る部屋の中で。
私たちは、一線を越える一歩手前の、甘くて苦しい熱帯の中に閉じ込められていた。
数日ぶりの学校。教室のドアを開けると、懐かしい埃っぽさと喧騒が私を包み込んだ。
自分の席に座る前に、真っ先に目に飛び込んできたのは、机に突っ伏したままの、あの愛おしい後頭部。
「……おはよう、国見くん。ただいま」
そっと声をかけると、彼はピクリと肩を揺らし、ゆっくりと顔を上げた。
いつもより少しだけ、目の下にクマがある気がする。
「……遅い。……待ちくたびれた」
「ふふ、ごめんね。もう元気だよ」
私が笑いかけると、彼は無言で私の手首を掴み、自分の席の方へぐいと引き寄せた。
その時。
「おっ、柚! 復活したか! 心配したんだぞー」
前の席の田中くんが、いつもの調子でガタッと振り返った。
彼はそのまま、私の頭にぽんと手を置こうとして――。
「…………触んなって、言ったでしょ」
空気が、一瞬で凍りついた。
国見くんが、田中くんの手を空中で叩き落としたのだ。その瞳には、これまでに見たことがないほどの、鋭く、暗い光が宿っている。
「……国見、お前……。ちょっと心配しただけだろ」
「……その『ちょっと』が、俺には死ぬほど邪魔。……相川に触れていいのは、俺だけ」
教室内が、しんと静まり返る。
クラスメイトたちの視線が、一斉に私たちの席に集まった。
でも、国見くんはそんなのお構いなしに、私の腰を引き寄せ、自分の肩に私の頭を預けさせた。
「……みんな、聞いて。……こいつ、俺の。……もう、誰にも貸さないから」
気だるげな、でも誰にも文句を言わせない、絶対的な宣言。
田中くんが絶句し、女子たちが小さく悲鳴を上げる中で、国見くんは私の耳元で、彼だけにしか聞こえない低い声で囁いた。
「……これで、もう逃げられないよ。……ねえ、柚」
彼の指先が、私の指に深く絡みつく。
「……覚悟して。……俺の独占欲、……これからもっと、重くなるから」
クラス公認の「国見くんのもの」になった瞬間。
私の心臓は、恥ずかしさと、それ以上の甘い幸福感で、はち切れそうになっていた。
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