あれから毎日、忙しい中でも連絡は続けてお互い部活に専念した。
私も拓も、夏に大会が始まることが決まって夏休みも会えないなぁと残念がってしまっていた。
「大丈夫!!いつでも繋がってるよ!」
拓のポジティブさに私はかなり勇気づけられている。
部室から見える拓の姿、そして目が合ってしまった時に手を振ってくれる姿。
その全てが愛おしかった。
「ねぇ、萌と永山くんって付き合ってんの?」
部員やクラスの友達からたくさん聞かれるが、私は秘密にしたかった。
この幸せを知られるのが怖かったから…
どうか、このまま私たちが一緒にいられますように。
大好きな拓とこの先も仲良くいられますように。
もうすぐ枯れてしまいそうなチューリップに、最後のお願いをした。
「永山くんって本当にかっこいいよね」
学年中に永山くんの噂が流れていた。
サッカーも強豪チーム出身で、1年生から選手入りをした。
私と付き合ってる…って噂も流れていたけど、みんなそんなことで引かないぐらい虜になっていた。
黄色いチューリップが枯れそうだからかな…
どうにか頑張ってチューリップを維持させたかったけど、旬が過ぎてしまった。
それと同時に、永山くんの人気は上がった。
ファンはたくさんいるし、かっこいいし。
私はしばらく近寄れなくなってしまった。
「萌ー!!また勝ったよ!次勝てば一緒に試合に来れるね!早く応援してほしいなぁ」
拓から来るLINEは前向きで、元気をくれて。
でも、誰かに取られてしまうのではないかという不安が浮かんで仕方なかった。
拓…会いたい。
不安すぎて会いたい。
でも、練習の邪魔になることはしたくない。
枯れたチューリップを移し替えながら、私はそっと泣いた。
きっと、永遠なんてないんだなと下向きになってしまったのだろう。
体調も崩して休んだ。
「萌!大丈夫か?部活終わったら家行くから、食べたいものだけ送っといてくれー!!
俺は部活頑張ってくる!よく寝てな」
拓から来る全てのメッセージに元気とエネルギーを感じて体調もすぐに良くなってきた。
「はい、ヨーグルトな」
勝手にお腹を壊したと思っていた拓は、逆にお腹を壊すぐらいのヨーグルトを買ってきて笑っていた。
「俺も食べるから!!!」
玄関先で食べたヨーグルトは、一段と美味しかった。
部活で汚れた顔に、嬉しそうな笑顔。
私はこのために頑張ろうと次の日から学校に復帰した。