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番外編33 『専門外の依頼を受けた主様』前編〜とある娯楽施設を先行体験〜
とある日。屋敷に劇場のオーナーが来た。
※公式のあの追走の剣士物語に出てきたオネェのオーナー出てきます。
『恐怖のお化け屋敷からの脱出……ですか。』
『そうなのよん。来月開園予定なの。その前に反応を見ておきたくて。』
(これまた探偵とは専門外な…。)
『ちなみにどう言った作品なんですか?』
『そうね…。主人公がこの屋敷に迷い込み、そこに潜む怪物達が襲いかかる恐怖のお化け屋敷よ。そこから無事に脱出できるかっていう娯楽施設かしらね。』
『ざっくりしすぎですよ説明が。それをどうして私に?』
『探偵といえば脱出ゲーム得意イメージがあたしの中であるからよ。』
(偏見もいい所。)
『舞台のオーナーがプロデュースしたお化け屋敷ですか、ふふっ。楽しそうですね。』
『ルカスちゃん!よく分かってるわぁ!そうでしょう?是非麻里衣ちゃんに体験して頂きたいの!』
『でもあくまで私の仕事は探偵でしてこういったのは専門外というか…。』
『お願い!麻里衣ちゃんしかいないのよ!1人が怖いなら妹の百合菜ちゃんと一緒でもいいから!』
『百合菜とですか…百合菜は怖いのが苦手なもので…。』
『あら、そうなの?』
『主様、もし良ければ私と一緒に…。』
『残念だけどダメよ。』
『!!』
『ど、どうしてですか?』
『私はね、ずっと気になってたの。』
オーナーが私に顎クイする。
クイッ。
『っ!』
『名探偵と名高い麻里衣ちゃん……大人っぽい雰囲気でミステリアスな女の子…。その子が一人でお化け屋敷に入ったらどんな反応をするのか…気になるのよ。』
『わ、私を試すってことですか?』
『いやぁねん、ただの興味本位よ。その余裕な顔がどんな顔をするのか見たいだけ。』
あたしはペロッと舌なめずりをする。
(遊ばれてる気がする。)
『主様、大丈夫ですか?』
『え、えぇ。百合菜は怖いのは苦手だけど私は大丈夫よ。分かりました。依頼を引き受けます。』
『ふふ、ありがとう。楽しみにしてるわね。じゃあ明日の夜、ここに来て。』
『え、夜ですか!?』
『えぇ。通常営業は昼なんだけど、麻里衣ちゃんは特別。夜に招待するわ。』
(完全に遊ばれてるわ。やっぱり。)
『分かりました…。』
その日の夜。夜ご飯。
『へぇ…お姉ちゃんが恐怖のお化け屋敷に…。そのオーナーさんお姉ちゃんのこと気に入ったみたいだね。』
『気に入ったと言うよりは遊ばれてる気がするわ……。』
『本当に大丈夫ですか?主様。あのオーナーさんは色んな舞台を手掛けるプロデューサーでもあります。そんな方の恐怖のお化け屋敷なんてどれだけ怖いか……。』
『所詮は娯楽施設だもの。大丈夫よ。』
『……。』
(お姉ちゃんまた無理してるなぁ…。)
翌日の夜。
『来てくれてありがとう。麻里衣ちゃん。
あら、執事のみんなと百合菜ちゃんも来たのね。』
『お姉ちゃんのことが心配で…。』
『ふふ、じゃあ改めて説明するわ。この恐怖のお化け屋敷の中には恐ろしい怪物が待ち受けているわ。この入口から入ったら入口には鍵をかけるから出口から出るまで途中退場は出来ないわ。』
『めっちゃ本格的…。』
『中は真っ暗だから、蝋燭を持って進んでね。』
『は、はい。』
『怪物達から逃げ切って脱出だけじゃ脱出ゲームの面白さに欠けるわ。だからを課題をこなしてもらうわよ。』
『課題…。』
『そう。恐怖のお化け屋敷のあちこちに課題があるわ。難しいけど麻里衣ちゃんなら出来る簡単な課題よ。』
『随分凝ってますね…。』
『それはもちろんこのあたしがつくった恐怖のお化け屋敷ですもの。役者の子達も私が育てた優秀な俳優ちゃん達よ。』
『そうなんですね…。』
『さぁ、名探偵の麻里衣ちゃんは無事出られるかしらね…♪執事ちゃん達と百合菜ちゃんとあたしは出口で待ってるわね。』
『は、はい。』
『じゃあ、行ってらっしゃい。』
ギィィ……。
バタンッ!ガチャ、ガチャッ。
(鍵閉められた…。)
『とにかく、出口を目指していけばいい。落ち着くのよ、私……。』
私は蝋燭をかざして道を進む。
『蝋燭があるとはいえ本当に真っ暗…。』
•*¨*•.¸¸♬︎•*¨*•.¸¸♬︎
どこからが聞こえるピアノ。
『ぴ、ピアノの音…?一体どこから…っ。』
コツコツ……。
『道順はこっち…。』
ピアノの音は段々と近づく。
『ピアノがある…。』
ピアノに立てかけられてある紙を見る。
『楽譜通りに奏でろ。1音でも外せば怪物が目を覚ます。 』
『楽譜…暗くて見えずらいのに…っ。』
私は蝋燭をピアノの上に置きピアノを弾く。
⋆*¨*•.¸¸♬⋆*¨*•.¸¸♪⋆*¨*•.¸¸♬⋆*¨*•.¸¸♪
•*¨*•.¸¸♬︎……•*¨*•.¸¸♬︎…•*¨*•.¸¸♬︎…
(よし、あと一小節…。)
ポタッ。
『え……?』
頬に冷たい雫が落ちる。
そして、それが滴りピアノの盤に落ちる。
『赤、色……。血……?』
ダァンッ!
動揺した私は1音外してしまう。
『しま…っ!』
すると、後ろの棺桶が開く音がする。
バタンッ!
『っ…!』
そこに立つのは斧を構えた血だらけのピエロ。
『あ、い、いや…っ!』
私はその部屋から急いで逃げる。
『はぁ、はぁ…!』
(まるでホラー映画の主人公になった気分だわ…。)
一方その頃――。
『そう、これは没入感を演出するために主人公になった気分を味わえる場所なの。いくら麻里衣ちゃんでも難しいんじゃないかしら。』
『主様のこといじめないで下さいよ…。』
『あらヤダ心外ねぇ。ただ私は麻里衣ちゃんのことが好きなだけよぉ♡』
『あの、全部で課題はいくつあるんですか?』
『全部で4つ。1つ目はピアノの演奏。一音外したら棺桶にいるピエロが目を覚まして斧で襲い掛かるわ。』
『いやこえぇ…。』
『お姉ちゃん、大丈夫かな…。』
『百合菜様は怖いのが苦手だからと、麻里衣様が……。』
『…ううん。違う。お姉ちゃんの方なの。』
『え?』
『怖いのが苦手なのはお姉ちゃんの方…。
お姉ちゃんは昔からホラー映画とかダメで…。
子供の時お化け屋敷に初めて入って…怖すぎたのがトラウマで…。それからお化け屋敷には入らなくなったの。ママが言ってた。』
『つまり、主様は…。』
『うん。お姉ちゃんは私の前で無理をするの。妹の前では弱みを見せちゃダメだって言うのがママの教えだから。お姉ちゃんとして。ね。』
『っ、それなら今主様は…!』
『はぁ、はぁ…!怖い……早く出たい…っ。出口までまだ遠いし…ピエロはどこから来るか分からないし…次の課題の所まで急がないと…。』
私は走って次の課題の部屋へ向かう。
『ここね…。』
コツコツ…。
椅子に立てかけられた紙を読む。
『この紙に書かれた物を探し出せ。
全て探し出さなければ死神が汝の魂を求め目を覚ます。制限時間はこの時計の鐘がなる0時まで。』
『探すのは赤色の本とマグカップと手紙……。』
時計がカチ、コチと動き出す。
『赤色の本……マグカップ…手紙…っ。』
『オーナーさん今すぐ扉を開けてください!このままじゃ主様が……。』
『ふふ、あたしは大人っぽいミステリアスな子の可愛い泣き顔を見るのが大好物なのよ。』
(サドっす!俺より意地悪でドSっす!)
『2個目の課題は探し物。3つの探し物を探し出さないと死神が魂を狩るために目を覚ます…。』
『赤い本とマグカップは見つけた…。あとは手紙……。』
棚の上に一通の手紙を見つける。
『あそこじゃ高くて届かない…椅子、椅子…。』
私は暗闇の中で見つけた落ちている椅子に乗る。
『後、少し…。』
ガシッ!
手紙を取る。
『やった!』
と、その時――。
リーン、ゴーン…。
『そんな…っ。』
テーブルに置く前に鐘がなる。そして……。
棺桶が開き大鎌を持った死神が現れた。
『おまえの魂…よこせぇぇぇ!!』
『き、きゃぁぁぁぁぁ!!』
屋敷中に悲鳴が響き上がる。
『主様……っ!!』
私は出口の扉に手をかける。
『ダメよ。ベリアンちゃん。』
『っ、でも、主様が怖がっているのに何もしないなんて私にはできません!』
『そうですよ!俺は1人でも助けに行きますよ!』
『あら、あの麻里衣ちゃんの可愛い泣き顔…見たくないの?』
『『……。』』
※以下妄想です。
『ひ、ひっく…べりあん…怖かった…っ。ぎゅーして…。』
『ろの…今日怖くて眠れないから一緒に寝て…おねがぃ……。』
『『……。』』
『主様の普段見せない泣き顔…。』
『それを言われると気になるっちゃ気になるっすね…。』
『みんな大人気ないね。お姉ちゃんのことになると。』
『助けて、誰か……っ。もう無理、早く出して…っ。』
『オオオオオオオ…!』
『よこせぇぇぇ!!』
後ろからピエロや死神が追いかけてくる。
『次の部屋は……。』
私は一心不乱に走る。
一方、この中にいる俳優さん達は麻里衣のファン。名探偵として華麗に謎を解いた麻里衣の熱狂的なファンである。予想外の怖がりで嬉しくて本気を出してしまっている。
(嬉しい、めっちゃ怖がってくれてる。)
(本気出してもいいかな。)
そんなことを知らずに怖がる麻里衣。
『来ないで、来ないで…!!』
『3つ目の課題はちょっと難しいわよ。
花の名前を答える問題。』
『それなら簡単じゃないっすか。花の名前なら俺が主様に教えたんすから。』
『…アモン、甘いな。あやつは今冷静な判断が出来る精神状態じゃない。冷静に答えるなんて無理だ。お前はそれを想定してこの問題を真ん中に持ってきた。そうだろう。』
『ふふ、流石シロちゃんね。問題自体は簡単よ。ただ、答えるまでが難しいのよ。』
『この花の名前を答えよ…。制限時間は隣の砂時計が落ちるまで。分からなければヴァンパイアが貴方の血を吸う為に目を覚ます。』
紙に書かれた課題を読む。そして、砂時計が動き出す。
『花の、名前……。分からない、分からないわよ…っ。薔薇じゃない、水仙でもない。たんぽぽ…?パンジー?向日葵…?ダメ、冷静になんて考えられない…っ。』
怪物たちの声が近付く。
『もう、嫌…助けて、助けて……っ!!』
サラ…ッ。砂が全て落ちる。
『あ、ああああ…嫌、いやぁ!!』
ギィィ……。
棺桶が開き、口から血を垂らすヴァンパイアが私を睨みつける。
『お前の血を寄越せぇ…吸い付くしてやる…!!』
『いや、来ないで…っ。』
ドガンッ!
怪物達がドアを蹴破り入ってくる。
『きゃぁぁぁぁぁ!!』
私は後退りする。
そして、ピエロの持つ斧がテーブルを破壊する。
『え……っ?嘘、その斧、本物、なの……?』
(あ、やべ。強く振りすぎてテーブル壊しちまった。)
※斧はハリボテです。テーブルもそうだけど強く振りすぎて壊れた。
(まぁ怖がってくれてるからいっか。)
『嫌、死にたくない…っ!』
私は出口を目指して走る。
『最後の課題は…出口に繋がる扉を正しく選べれば正解。扉は全部で3つ。ひとつは政界の扉。もう2つは恐ろしい狼がいる扉。さぁ、麻里衣ちゃんは無事に出てこられるかしら……。』
もう、ホラー映画やん。後編へ続く!