煙草吸ってます 泣いてます 色々注意です
シェアハウス 友達以上恋人未満
sm×shk
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shk side
時刻は夜の2時半。やっと動画の編集が終わった俺はベランダに出た。まだ夜は肌寒く、体がぶるっと震える。でもそんなことは気にせずに、ベランダの笠木に肘を置いて一息つく。
「はぁ…」
やっと1日が終わった安心感と、寝て起きるとまた1日が始まってしまうという絶望の波が押し寄せてくる。今の仕事は大好きだ。自分の好きなことを仕事にできるのは幸せな事だし。…でもやっぱり寂しい。ワイテルズとして何年もあのメンバーで活動してきたからか、どこか物足りなさを感じてしまう。別にakiraとピヤノが悪いわけじゃない。俺達のためにメンバーになってくれて、一緒に本気で活動してくれているのは凄く嬉しい。…でも、、
「はぁ、いつまでもこんなとこ考えてる場合じゃないか…」
ポケットに入っていたカートンから1本の煙草を取り出し、ライターで火をつける。煙をすっと体内に吸い込んで、ふぅっと吐き出す。目の前で白い煙が消えていく。自分に心の余裕を作ってくれる煙草に俺は依存していた。akiraにやめろって言われてるけど…やっぱりこれだけは手離せない。俺は無心で1口、2口と口に煙草を運ぶ。
すると後ろのドアから誰かが入ってきた。
「まだ起きてんのか、体冷えるぞ。」
不器用ながら俺のことを心配してくれるのは、
「スマイルか、お前も人のこと言えないだろ。」
「俺は今日だけだからいいんだよ。…たまには早く寝ないと体持たないぞ。」
そう言いながら俺の隣に来る。大袈裟だなぁと思いながらもスマイルの言葉に軽く頷く。
「それ、俺にも頂戴。」
そう言いながら俺の煙草を一本とる。
「お前自分の煙草しか吸わないんじゃなかったのか?w」
煽るようにそう言うと、
「今は持ってないから仕方ないだろ、どうしても今この瞬間に吸いたいんだよ。」
タバコを銜えながら答える。
「火頂戴。」
スマイルは俺に顔を近づける。
「俺ライター持ってるよ。」
「こっちがいいんだよ。」
そう言って、少し短くなった俺の煙草とスマイルの煙草の先が触れ合う。別に恥ずかしいとかは無い。よくすることだし。そうして、スマイルの煙草に火がつくまでじっと待つ。
「ん、ありがと」
お礼を言いながら俺から離れていく。少し寂しく感じるのは気の所為だろうか。
「お、結構美味いじゃん。これからこっちのも買ってみようかな。」
「だろ?……スマイルは俺に煙草やめろって言うどころか一緒に吸ってくれるよな。なんで?」
そう、スマイルは元々煙草を吸ってなかった。でも、俺が吸い始めたあたりでスマイルも一緒に吸い始めたのだ。だからスマイルは唯一俺に煙草をやめろとは言わない。
「ん〜…特に理由とかねぇよ?でもやめることが一番だとは限らないし、それがその人の逃げ道になってる場合もあるしさ。あと普通に美味しいじゃんw」
そっか、そんな考え方もあるのか。スマイルの言葉を聞いた瞬間、なんだか心が軽くなった気がした。そして、それと同時に俺の瞳から自然と涙が流れてきた。きっとスマイルは気づいている。でも全く驚く様子はなく、それが当たり前かのように、ただ前を見つめていた。
「お前はさ、1人で頑張りすぎるんだよ。…でもそれがお前のいいところでもあるし、悪いことでもない。だからやめろとかは言わないし、言えないけどさ、もっと頼れよ俺達を。お前はひとりじゃないんだからさ。」
俺は必死に涙を止めようとしながらも、スマイルの話を静かに聞く。
「…で、最近どうしたんだ?なにか辛いことでもあったのか?なんでもいいから話してみろ。」
スマイルが優しく俺に問いかける。
「…グスッおれ、やっぱり寂しいんだ。今の活動に不満を持ってるわけじゃない。でも、みんなで動画撮ってるとどうしてもワイテルズが頭によぎっちゃって、その度に暗い気持ちになるんだ。…こんな自分が情けなくて悔しいわw」
自分に呆れるように俺は笑う。でも、スマイルはこんな俺を笑ったりはしなかった。
「別にいいんじゃないか?何も悪いことじゃないだろ。俺だって今でもワイテルズのこと思い出すと寂しく感じるのは事実だし。…でも、俺はシャークんと活動続けられて嬉しい。お前は違うのか?」
「ッ!…ふっ、確かに俺も嬉しいわ。」
「そうだろ?今はその事実だけで十分だと思わないか?」
「そーだな」
俺の涙はいつの間にか止まっていた。…ほんとにスマイルには敵わないな。
「そろそろ中入るぞ、流石に体冷える」
そう言って俺達は灰皿に残りの煙草を押し付け、中に入った。
「もう寝ろよ」
「わかってるって…おやすみ」
「ん、おやすみ」
今日はなんだかよく眠れそうな気がした。
コメント
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こういう話し大好きです!これからも頑張ってくだい!( ^ᵕ^)
語彙力が無くて上手く表現出来ないんですけど、こういう儚さの中にある暖かい感じの話大好きです。