テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
ちーず
62
10
瑠「やっぱ…綺麗だな……」
小高い山の頂上、空にはいっぱいの星
前に仁とおっさんと来たっけ…
懐かしいな…思い出せば…あのときが俺の人生のなかで一番楽しかった…
1週間前俺が隠し続けていたことがついにバレてしまった。
俺の家の事情からネストを裏切ることなのは初めから分かっていた
だから…初めは……なにも思っていなかった
どうせ、裏切る相手…なら、仲良くする動議も信頼を築く理由もない
そう…思ってたのに……
初めて…俺を対等に見てくれて…人として扱ってくれて……信頼できる大人がいて…
やめてくれよ…これ以上……こんな俺に優しくしないでくれ…
どうしようもなく…苦しくて……吐き気がした。
こんなにも優しい2人を俺は……そう思うと
どうしようもない虚無感に襲われる
正体を明かした時の2人の顔が今も…鮮明に思い出す。
信頼していた仲間からの突然の裏切り…
あの時…泣かなかった俺を褒めてあげたい
明日、俺は、日本を出る…
本拠地のパリに帰るのだ…だから、これが最後
覚悟は決まっていた…こんな俺でも……
知ってしまったのだ仲間というものを大事な人というものを…だから……
最後くらい…役に立って死んでやる
実家に火をつけるつもりだった
計画もしっかり立てて
自分の罪は自分で贖う……でも…最後くらい
2人の顔を見たかったなって
嘆いていると、頬に冷たい感触がした
瑠「うわぁ!?……じ…ん?おっ…さん?」
会えないと思っていた相手…会いたかった相手…会いたくなかった人
なぜ、ここにいるのか…
俺をどうするつもりなのか…ネストにつき出すのか?
それも良いけど…駄目だ……俺の計画が…駄目になってしまう。
仁「なにもしねぇ、だから…逃げないでくれ」
寒さからか…恐怖からか……声が震えていた
珍しい…なんて思っていると
おっさんが2本持っていた飲み物の内1本を渡してきた。
杖「少し、話をしようか…」
考えたが…最後くらい……遺書的なものを残しても良いかと思い
俺は、差し出してきた飲み物を受け取った
なにを話したっけ?
想像よりも軽い…雑談だった。
昔解決した事件、町の様子、前と変わらない話…
それが…心地よくて、何時間も話していた
気づいたら深夜3時…仁はすっげぇ眠そうだった。
瑠「眠いなら寝ろよ」
仁「うるせぇ…」
瑠「子供かよ…」
杖「言ってやるな…仁はお前に会うために頑張っていたんだぞ」
仁「おっさん…余計なこと言うな」
たかが…俺の為に……なんで、とも思ったが
なんだか…それさえも仁らしいなとも思えてしまった。
短い期間だったが…それでも…間近で見てきたから
仲間思いで…強い……でも、本当は繊細で
子供みたいで…強がっているって…
だから…ごめんな……また、お前から「俺」というものを奪わないといけない
俺は、座っていた椅子から立ち上がり半分残っていた飲み物を飲み干した。
少し、前に出て後ろを振り返る
瑠「ありがとうな、俺さ…大人とか…信じられない環境にいたからさ…おっさんとか仁とか…信頼出来る人が出来て嬉しかった。だから…裏切って…傷つけてごめん、でも、ちゃんとけじめはつけるからさ…俺がやった罰はちゃんと償うよ。だから…だから……今日で、お別れだ。」
吹いた風が俺の髪をたなびかせる
心配させないように無理やり笑顔を作る
俺に…悲しむ権利は無いから
仁とおっさんは…分かっていたんだろう
落ち着いていた。
俺が…なにをしようとしているのかも……きっと全部分かってるんだ。
だから……
仁「行くな…行かないでくれ……」
俺の服の裾を掴んで小さく呟いた。
仁のこんなに弱ったのは見たことが無い
仁が今までどういう人生を送ってきたのか
そんなの…分かってる分かっててこれは…ひどいな…
瑠「ごめん……」
俺は、仁の掴んでいる手をほどいた。
杖「本当に…行くのか?瑠衣はそれを望んでいるのか?」
瑠「望んでなくても…やらないといけない自分の人生は自分で作らないと。だから、これが、俺の人生ハッピーエンドじゃなくても…俺は、……満足だから…」
いつまで…この仮面を被れば良い?
小さい頃からずっと…ずっっと、被り続けてきた
泣くことも苦しむのも駄目
笑い続けないといけない
きっと…死ぬまで…ずっと……俺は…
仁「なら、俺は自分で決める」
瑠「は?」
仁「お前が望んでそれを選んだなら無理には止めない…でも、お前は望んで無いんだろ?なら、俺は、お前を止める。お前を…巣に帰してやる。」
仁らしい…答えだな……仲間の決めたことは止めない
でも…無理にやっているのなら…仁は許さない
明るい…な……
瑠「なら…期待してる………待ってるから」
杖「あぁ、必ず迎えに行く」
喋っているうちにもう、日は登っていた。
日を背にして俺は、歩いて行った。
自分のするべき事をするために
コメント
6件
あわわわ 私は何があろうとも瑠衣君について行きます 次回も絶対に読みます
この話は3話構成となっています。 安心してください、ちゃんと終わりは作ってます。 久しぶりに言いのが作れて満足な作品になる、はずです。
読了しました……仁が「行くな」って裾を掴むところ、本当にグッときました。あの仁がこんなに弱い声出すんだって思うと、瑠衣にとってどれだけ特別な存在なのか伝わってきて切なかったです。「待ってるから」「必ず迎えに行く」の約束、ちゃんと叶ってほしい……。自分を犠牲にすることしか選べない瑠衣の背中が苦しいけど、2人が追いかけてくれる気がして、救いのあるラストだと信じたいです🌙