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🌸【第2話:再会の余韻】
シーン1:学園祭の打ち上げ(陽視点)
学園祭の喧騒が落ち着き、夕方のキャンパスは少し肌寒かった。
演劇部の打ち上げは、学内のカフェテリアを貸し切って行われている。
「春川くんも来なよ! 今日の功労者なんだから!」
「え、いや……俺、部員じゃないし……」
「いいのいいの! 来て来て!」
まただ。
陽は苦笑いしながら、半ば押し込まれるようにカフェテリアへ入った。
中はすでに賑やかで、
陽が入った瞬間、何人かが手を振ってくる。
「今日のヒロインだ〜!」
「可愛かったよ、春川くん!」
「ねえ、写真撮っていい?」
陽は曖昧に笑って、
「いや、もうメイク落ちてるし……」と小さく返す。
そのとき。
少し離れた席で、
ひよりが紙コップを両手で包むように持ちながら、
静かに陽を見ていた。
目が合うと、ひよりは小さく会釈した。
「あ……小鳥遊さんも来てたんだ」
「……うん。誘われたから」
ひよりの声は、相変わらず柔らかくて静かだ。
冷たさはない。
でも、どこか距離がある。
「さっきは助かったよ。ほんとに」
「……別に。気にしなくていいよ」
ひよりは視線をそらしながら言う。
その仕草が、どこか懐かしい気がした。
(……なんだろう、この感じ)
陽は胸の奥がざわつくのを感じた。
「春川くん、こっち来てー!」
演劇部の女子が陽を呼ぶ。
陽はひよりに軽く手を振った。
「じゃあ、また……」
「……うん」
ひよりは小さく返す。
その声は、ほんの少しだけ寂しそうに聞こえた。
シーン2:ひより視点(短い心情)
陽が離れていく背中を見ながら、
ひよりは紙コップをぎゅっと握った。
(……また、気づかれなかった)
期待していたわけじゃない。
でも、胸が少し痛む。
(昔みたいに話せたらいいのに)
でも、もうあの頃の自分じゃない。
素直に笑えた小学生のひよりは、
転校先で傷ついて、どこかに置いてきてしまった。
(……はるくんは、変わってないのに)
陽の優しさも、困ったときの笑い方も、
全部そのままなのに。
ひよりはそっと目を伏せた。