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「彩葉先生~もう、たいちゃんがまたグズってる~何とかして~」
「あっ、弥生先生、ごめんね。こっち終わったらすぐ行くね」
「ほんと、たいちゃんは絶対彩葉先生じゃなきゃダメなんだもんね。まいるなぁ〜」
彩葉先生……その呼び方にもずいぶん慣れたかな。
この保育園に来てもうすぐ2年。
可愛い子ども達と過ごす時間は本当に楽しくて、そして、嬉しい。
ずっと長い間憧れていた仕事にようやく就くことができて、毎日が充実していた。
「たいちゃん、どうしたの? 弥生先生を困らせちゃダメでしょ?」
優しく諭すように言う。
「彩葉先生がいないから寂しかった」
3歳のたいちゃんは、とっても愛らしい瞳をウルウルさせて私を見た。
この真っ直ぐな目で見られると弱いんだ。
「たいちゃん! この弥生先生がいるんだから、わがまま言っちゃダメでしょ~?」
「だって弥生先生より彩葉先生の方が可愛いもん」
「ま、まあ、たいちゃん、それはないでしょ~? 弥生先生だって可愛いでしょ?」
「嫌だ! 彩葉先生が可愛い! 僕は彩葉先生と結婚するんだ!」
そうやって、もう何度プロポーズされたかわからない。
必死なたいちゃんの顔を見てると、ついほっぺたが緩んでしまう。
25歳の大人の私をキュンキュンさせてくれるキュートなたいちゃん。
私はこの純粋さにいつも癒されてる。
もちろん、他の子ども達だってすごく可愛い。
ここ、地域に根ざした小規模保育園には、0歳~5歳までの小さな天使達が通っている。
日々、とても愛らしい仕草と笑顔で私達を和ませてくれたり、時にはイタズラやケンカをして困らせたり。
喜怒哀楽の嵐の中、結構大変だけど、それでも子どもの頃からなりたかった保育士として働く毎日は、私にとってものすごく幸せな日々だった。
「ねえ、たいちゃん。おもちゃや本が散らかってるから、彩葉先生とお片付け競走しようか。さあ、いくわよ」
「うん、彩葉先生とお片付け競走する!」
楽しそうに一生懸命頑張ってるたいちゃんを見ていたら、子どもは本当に素直でピュアな心を持ってるんだなって思う。
大人が思うようには絶対ならないし、いろいろ話しかけて子どもの感情を掴むのはものすごく難しい。
時には叱ることも必要だし。
だけど、その度が過ぎると子どもは萎縮したり上手く自分を表現できなくなる場合があるから、言葉選びは慎重にしなければならない。
大人になるにつれてだんだんと濁ってしまう心。
でも、だからこそ、今のこの素直な時期の子ども達の気持ちを1番大切にしてあげたいと……私は心から思ってる。
私の担当は主に2歳から3歳児。
園の奥に0歳と1歳の子ども達の部屋はあるけど、その他の子ども達はみんなでワンフロアにいる。