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テラーノベルの小説コンテスト 第3回テノコン 2024年7月1日〜9月30日まで
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毎日15名程の園児が通い、朝からお迎えがある6時半まで、パートを含む先生達は交代で出勤している。



絵本を読んだり手遊びしたり、昼ごはんやお昼寝、トイレのお世話など、保育士の仕事はとにかくやることが多い。



でも、お昼寝タイムは比較的ゆっくりと先生達で話しながら作業ができるから、みんなで季節に合わせた設営を色画用紙で作ったり、イベント用の小物を作ったりしてる。



今日は、特に仲の良い2人の先生達と一緒の勤務だから嬉しい。



「彩葉先生。ハサミどうぞ」



園児達が寝てる間、3人でテーブルに座って作業を始める。



「ありがとう、理久先生」



「そのゾウさんすごく可愛いですね。やっぱり彩葉先生は上手です」



そうやって優しく微笑みながら言ってくれるのは、24歳、178cmの癒し系イケメン、成海 理久(なるみ りく)先生。



この園で唯一の男性保育士さん。



物腰柔らかな、とても話しやすい先生だ。



パッチリした二重の大きな目、唇がほんの少しだけポテッとしててすごく可愛い顔をしてる。



正直、女子顔負けの仕上がりだ。



黒髪のマッシュベースにスパイラルパーマをかけ、前下がりのセンターパートの髪型のせいか、可愛いのにちょっと色気も感じる。



ミステリアスな雰囲気もあって、そんなギャップに保護者のお母さん達や先生達にまで大人気だ。



子どもが大好きだっていうのが伝わってくる穏やかな性格の彼は、みんなに「ただそこにいてくれるだけでいい」なんて言われて、この園にはなくてはならない存在になってる。



そして、もう1人は私と同じ年齢で良き相談相手の和田 弥生(わだ やよい)。



156cm、小柄でちょっとぽっちゃりしてるかな。



チャーミングな笑顔が魅力的で、茶色のボブスタイルがすごく似合っている。



165cmある私からしたら、守ってあげたくなるような小柄な感じがいいなって思う。



私は、前髪ありのロングの髪にゆるふわパーマ。



邪魔にならないように保育の時はいつも髪を縛ってるから、弥生みたいな可愛らしい髪型に憧れる。



でも、絶対似合わないってわかってるから、いつまで経っても挑戦できずに同じ髪型のままだ。



弥生とは、園では「先生」だけど、普段は名前で呼び合うくらい仲が良い。



一緒にいて安心できるし、頼りがいもある最高の友達。



「彩葉先生のゾウさんもいいけど、私のクマさんはどう?」



弥生が茶色の色画用紙をハサミでかたどった物を自慢気に見せる。



思わず私と理久先生は顔を見合わせた。



「い、いや……それ、僕は犬だと思ってました」



「ちょっと! それはないでしょ~? どうみてもこれはクマでしょうが、クマ」



声が大きくなった弥生に向かって、私は慌てて人差し指を自分の唇に当てた。



元気でしっかり者の弥生。



失敗したり、つらい時も、その明るい性格にみんなが救われる時が多々あって、園のムードメーカーとして園長始め、先輩方や後輩にも慕われている。



私も弥生にずいぶん助けられてきた。



本当にこの数年いろいろあり過ぎて、悩みや不安が尽きないけど、特に弥生と理久先生、私はこの2人に支えられて頑張れてる。



いくら感謝してもし足りないくらい。



「これ、やっぱり犬の方がしっくりきますよ」



と、理久先生。



「だね、犬にしよう」



「彩葉先生までひどいよ~これは誰が何と言おうがクマなの」



「はいはい、じゃあ謎のクマ! ということにしましょう。子ども達の反応が楽しみですね」



「理久先生、謎のクマって~」



そう言いながらすねる弥生、その顔、すごく可愛い。



きっと、この愛らしさに惹かれる男性は多いんだろうな。



私には大好きな保育士という仕事がある、周りに癒しとなる子ども達がたくさんいて、こんな風に大切な仲間と切磋琢磨し合えてる。



この嬉しい状況に加え、実はもう1つ……



私には世界で1番大切なものがある。



そんな風に、十分満足できる素敵な日常において、もし「これ以上何か必要か?」と聞かれても、きっと私は……



他には何もいらない、そう答えるだろう。

あの夜、あなたがくれた大切な宝物~御曹司はどうしようもないくらい愛おしく狂おしく愛を囁く~

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