コメント
3件
超好き!!結末をぜひお願いします(>人<;)
好き‼︎続きってありませんか?
最高!!!
青桃
皆一度、意中の相手に自分の事だけを考えて欲しい、自分だけで頭いっぱいにしてほしい、そう考えたことは無いだろうか。
特に、意中の相手が分け隔てなく、愛想良く接することが出来る人ならば。
「ないこー、お見舞い来たで〜」
数回ノックされ、ゆっくりと開いたドアの先には、嬉しそうに口角を上げながら、パンパンになったビニール袋を片手に持つまろの姿。
ありがとう、言おうにも言えぬ言葉を飲み込み、笑みを浮かべた。
「喉とか、痛ないか」
ビニール袋を隣の棚に置きながら、背もたれのない丸い椅子に腰をかけ問いかけてきたまろ。
ないよ、そう言わんばかりに首を横に震ると、よかった、そう言って微笑むまろに、わざとらしく目を逸らした。
だって、この自然な気遣いに、何度心を締め付けられたかなんて、お前は知る由もないんだから。
「そうや、今日りうらと一緒に収録あるけん、早めに帰るな。嫉妬すんなよ〜」
悪戯っぽく笑うまろに頭をワシャワシャと撫でられる。
嫉妬。それはまろに向けてか、りうらに向けてかなんて、わかるはずもなかったし、わかりたくもなかった。
「ないこ、退院出来たら何がしたい?」
隣に置いてあったスマホを手に取り、メモ機能に覚束無い指で打ち込んでいく。
『とりあえず配信かな』
「そうよなぁ、リスナーさん安心させんとな」
「じゃあそれと別に、メンバーだけでしたい事ってある?」
その言葉に、打ち続けようとしていた指が固まった。考えていなかった訳じゃない。逆に、嫌という程考えていた。
それは、まろと2人で、初めて2人で会った場所に行きたい。という願いだった。
(こんなの言ったらキモすぎんな……)
なんて内心呟きながら、在り来りな、いれいすのないこのような回答をすべく、脳内を必死に巡らせている最中、まろが声を上げた。
「別に、まろと2人でもええよ。」
そう言ってくれるのなら、その平等な優しさを俺に与えてくれるのなら、一つだけ、我儘を聞いて欲しい。
『まろと2人で会ったとこに行って』
『お願い聞いて欲しい』
なんて表示させた画面をまろに見せると、少し驚いたような表情を浮かべ、
「ええよ。約束」
するとまろは、突然俺の小指にまろの小指を絡め、指切りげんまんを交わしてきた。
久しぶりで、あまりにも唐突な行動に少し固まっていると、まろは可笑しそうに笑を零した。
「んはっ、ただの指切りげんまんやで?」
うるさいな、いつもはそう発する言葉を抑え、眉を顰めまろを軽く睨みあげる。
「怒らんでよないこたーんっ」
「そうや、」
またぽえりだしたと思えば、途端に真剣な顔になったまろ。表情管理凄いな、なんて感心しながら、続きに耳を傾けていると、まろが恥ずかしそうに声を上げた。
「まろのお願いも聞いてよ」
『なに?』
「スマホ、貸して」
そう言って差し出された手にスマホを乗せると、颯爽と何かを打ち出したまろ。何だ何だと思考を巡らせていると、ほいっ、と言って俺の手にスマホを収めてきたまろ。
そんなまろは、もう帰るわ、と呟いて席を立った。
「じゃ、お大事にな」
首を縦に振り、まろが病室を出ていくまで手を振った。
見届けた後、何をしたのかとスマホを持ち上げ覗き込むと、驚くべき文字が打たれていた。
『 』
「まろ遅い、収録遅れる」
「すまんすまん、時間かかって」
不貞腐れるりうらに手を合わせ軽く頭を下げると、溜息をつき呆れ気味に吐き捨てられる。
「“好き”って言うだけにそんな時間かけるかな」
「で、返事は?」
「んー、退院してからのお楽しみかな」
「何それ、つまんね」
「うるせ、はよ収録行くぞ」