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(執行者目線)
俺の名はデイビット・ナッセイ。アケナリ、ザイセイ州の白人刑務官だ。俺は、囚人番号8256番の女性死刑囚、スミス・ホワイトの部屋の近くの監視役を務めている。スミスは、よく話す。そしてとても美しい。白人。しかし、美貌に見惚れた男性を滅多刺しにして殺したことで死刑を言い渡された。
そんなスミスが、最近よく話してくる。
「ねぇ刑務官さん、最近疲れてるんじゃない?」「疲れてねーよ。」
「そう?私には疲れてるように見えるけど…」「お前…」
スミスはよく俺と話す。何故かは知らんが。
後日、また話しかけてきた。
「刑務官さん、最近奥さんとはどうよ?」
「…まあまあだよ。」
「そう。」
「てかお前、なんで俺に妻がいるって知ってんだよ」
「聞いたのよ。あなたが結婚したって。」
スミスは色んなことを知っている。彼女との会話は、おもしろかった。
しかし、ある日、所長に呼び出され、
「2週間後、囚人番号8256番の死刑を執行する。お前はスイッチを押す係だ。」と言われた。
「…はい。了解しました。」
俺は少し悲しくなった。が、これも仕事だ、と思い、悲しさを打ち消した。その後、いつものようにスミスのところへ行く。
「…なあ8256番。」
「なぁに?あなたから話しかけるなんて珍しいわね。」
「実は、死刑を執行することになったんだ。」「…そうなのね。多分私だろうね。」
スミスは言う。
「…そろそろ死ぬんじゃないかなと思ってたのよ。」
「…そうだ。二週間後、お前の死刑を執行する。」
「…そうなのね。」
「ああ」
「…刑務官さん、今までありがとね。」
「えっ?」
「感謝の言葉よ。あなたには世話になったからね。」
スミスは言った。打ち消したはずの悲しさが出てくる。気がつくと、涙が出ていた。
「うっ…ぐずっ…」
「泣かないで、刑務官さん。…聞きたいことがあるの。」
「なんだ?」
「…あなたの名前はなんなのよ。」
「デイビット・ナッセイだ。」
「そうなのね。」
「あ、そろそろ退勤時間だから帰るぞ。」
「そうね。また明日ね。」
スミスは言った。後日、スミスは俺に死刑囚になるまでの経緯を話してきた。
「…デイビット、私が死刑囚になるまで、聞きたい?」
「…興味はあるな。」
「じゃあ話すわね。私は、とある貧しい家庭で生まれたの。家は貧しかったけど、私は美しいことで色々とチヤホヤされてたの。」
「…じゃあなんで殺人を犯したのだ。」
「…辛かったのよ。色々と監視されてるような気がして。私は仕事をやめたの。街を歩いていた時、とある男の人が、「すみません、あなた、私の家に来ませんか。あなたに惚れました。」と言ってきたの。嬉しくて、ついて行ったの。すると、彼が急に変わって、「じゃあお前料理、洗濯頼んだ。俺は何もしないから。」と言ってきたの。最初は何も思わなかったけど、後から上から目線で話されてるような気がしてきて、怒りが抑え切れず、つい殺してしまったのよ。その時、なぜか、スッキリした感じがして、他の人も同じように殺したの。そして13人目の時に、逮捕され、死刑判決となったのよ。」
「そうか、そうだったんだな。」
スミスの辛い過去を聞いていたら、いつのまにか時間が来ていたので、俺は帰った。その後から、スミスは色々と準備をするようになった。そして死刑執行一週間前、他の刑務官数人を連れてスミスのところへ行った。
「あら?人数多いわね。まさか…」
「お前の死刑は一週間後だ。部屋を移動させる。」
「…わかったわ。」
死刑が行われることを知ったスミスは、少し悲しそうだった。移動したスミスは、悲しそうな顔で過ごしていた。俺はセッティングをしていた。これで問題なく執行できる、と同僚は言っていた。
そして迎えた執行日、スミスを呼び、最後の部屋へと連れていった。
「お前は電気椅子で処刑する。このスーツに着替えろ。」
「わかったわ。」
「着替えたか?」
「ええ。」
「それでは、最後の食事を訊こう。何にするのだ?」
「…何もいらないわ。」
「そうか。なら刑を執行するから執行室へ向かうぞ。」
「わかったわ。」
執行室へと着き、スミスは電気椅子に座る。ガチャ、ガチャと器具をつけ、セットが完了した。最後の言葉をゆう時になった。
「最後に言い遺す言葉は?」
「デイビット刑務官を呼んで。最後に話したいの。」
「わかった。」
所長に呼ばれ、電気椅子に座ったスミスの前に立つ。
「デイビット…今まで…一緒に話してくれて…ありがとね…さようなら…」
その時、俺は号泣していた。
「ぐっ…うぅ…」
「泣かないでデイビット。私はあなたのような優しい人に出会えて幸せだったわ。…最後の言葉は以上よ。」
「そうか。それでは、死刑を執行する。総員、配置につけ。」
「はい!」
ボタンの前にたった。手は震えている。
「それでは、囚人番号8256番、スミス・ホワイトの死刑を執行する!」
「ううっ…」
スミスは涙ぐんでいた。所長の手が上がる。俺はボタンを…押した。
バチバチバチッ!
火花の音が聞こえるのと同時に、
「ぐっ!うっ!うっ、ぐぐっ!」スミスの悶絶した声が聞こえる。しかしその後、
「ぐっ!ぎぃぃぃぃやぁぁぁぁぁぁ!ああああああああああ!」
と悲鳴が聞こえてきた。俺は泣いていた。数分後、所長の手が上がる。俺は電気椅子を止めた。スミスの首が倒れる。医務官が心音を確認する。「音がない。死亡確認。」
「…終わったな。よしお前ら。この遺体を回収し、葬るぞ。」
俺はスミスを電気椅子から外す係でもあった。スミスは、排泄物まみれになってる以外は生前の姿のままだった。俺は、
「8256番…いや、スミス…安らかに…眠ってくれ…」
と、泣きながら言っていた。スミスは安らかな顔でいた。涙もあった。可哀想だった。それをみて、俺はさらに泣いた。
「何泣いてんだよ。…そういえば、お前よく8256番と話してたな。8256番も幸せだったと思うぜ。」
「ぐずっ…そうだな…」
「…そろそろ着くな」
「ああ…すぐそこだな。」
「じゃあ、この棺に入れて葬るぞ。」
俺は準備された棺にスミスを入れた。棺の蓋が閉まると、みんなは、
「8256番…いや、スミス…来世では、善人となるのだぞ。」
と言っていた。俺は泣いていたからうまく言えなかった。
その後、俺は仕事を辞め、新しい仕事に着くことになったが、今でも、スミスとのあの話、あの言葉は忘れない。この凄惨な処刑法は非人道的すぎるから早くなくなってほしい。
(死刑囚目線)
私はスミス・ホワイト。…白人の女性死刑囚よ。裁判で、薬物か電気椅子かを訊かれたけど、残虐性から、電気椅子の方が罪にあってる、と思って電気椅子にしたわ。電気椅子…それは昔、酔った男性が電線に触れて死ぬのをみた歯科医のアルフレッド・サウスウィックが考案し、絞首刑の廃止を言う代わりに、これが人道的な処刑法だ、とチンパンジーを使って実験したのがきっかけで広まった処刑法で、数々の人がそれに座り、死んでいった、と調べたページには書いてあったわ。
私は、貧しい家庭に生まれたの。でもとても幸せに過ごしていて、美しいと言われたわ。それで、役者になろうとしてたの。でも、役者になってから、正体隠すのが面倒だったから、そのままでいてたら、監視されてる感じがするようになったの。色々な人から。辛くて、私は仕事を辞めたわ。で、道端で座っていたら、私の美しさに見惚れたのか、ある男の人が話しかけてきたの。
「すみません、突然変なことを言いますが、私の家に来ませんか?あなたに惚れました。」
「ええ。」
私はそれを聞いて嬉しくなって、その男の人についていったの。だけどその男の人が、家に着いた途端、
「じゃあお前、料理、洗濯よろしくな。俺は何もしないから。それじゃ、よろしく!」
と言ったの。最初は何も思わなかったけど、月日が経つにつれて、自分は何もしていないのに、「何だこの料理は!不味すぎる!作り直し!」
とか、
「おいまだ洗濯乾いてねーのかよ!さっさと乾かせろ!」
とか言ってきたのよ。その時、私の中で何かが切れて、その男の人を刺し殺してしまったの。その時、なぜかスッキリした感じがして、罪悪感は何も浮かんでこなかったの。そして、また道端で座り込み、男の人と出会い、殺していったの。そして、13人目の男の人を殺した時、逮捕され、死刑判決が言い渡されたのよ。それで今、死刑囚なのよ。
私の監視役には、男の人がついたの。私は、その男の人に話しかけてみたの。
「ねえ刑務官さん、」
「なっ、何だよ、8256番。」
「あなた、優しそうね。」
「な、何言ってんだよ。」
この人と話すのは面白そうと思い、他の日にも話すようになったの。
「ねぇ刑務官さん、最近疲れてるんじゃない?」「疲れてねーよ。」
「そう?私には疲れてるように見えるけど…」「お前…」
前より焦りはなくなってたわ。やっぱり、彼と話すのは面白いわ。後日も、また彼と話したわ。「刑務官さん、最近奥さんとはどうよ?」
「…まあまあだよ。」
「そう。」
「てかお前、なんで俺に妻がいるって知ってんだよ」
「聞いたのよ。あなたが結婚したって。」
彼は
「物知りだな…」
と言っていたわ。
しかしある日、彼が暗い表情で来たの。
「なぁ8256番、」
と言ってきたから、私は、
「なぁに?あなたから話しかけるなんて珍しいわね。」
と言ったわ。彼は、
「実は、死刑を執行することになったんだ。」
と言ってたから、私は、そろそろ人生が終わることを悟ったわ。
「…そうなのね。多分私だろうね。」
「…そろそろ死ぬんじゃないかなと思ってたのよ。」
「…そうだ。二週間後、お前の死刑を執行する。」
「…そうなのね。」
「ああ」
「…刑務官さん、今までありがとね。」
「えっ?」
「感謝の言葉よ。あなたには世話になったからね。」
もうすぐ死ぬと知ったから、彼に感謝の言葉を言ったわ。彼は泣いていたわ。
「うっ…ぐずっ…」
「泣かないで、刑務官さん。…聞きたいことがあるの。」
「なんだ?」
「…あなたの名前はなんなのよ。」
「デイビット・ナッセイだ。」
「そうなのね。」
「あ、そろそろ退勤時間だから帰るぞ。」
「そうね。また明日ね。」
後日、また彼が来たから、私は、私が死刑囚になるまでの経緯を話したわ。
「…デイビット、私が死刑囚になるまで、聞きたい?」
「…興味はあるな。」
「じゃあ話すわね。私は、とある貧しい家庭で生まれたの。家は貧しかったけど、私は美しいことで色々とチヤホヤされてたの。」
「…じゃあなんで殺人を犯したのだ。」
「…辛かったのよ。色々と監視されてるような気がして。私は仕事をやめたの。街を歩いていた時、とある男の人が、
「すみません、あなた、私の家に来ませんか。あなたに惚れました。」
と言ってきたの。嬉しくて、ついて行ったの。すると、彼が急に変わって、
「じゃあお前料理、洗濯頼んだ。俺は何もしないから。」
と言ってきたの。最初は何も思わなかったけど、後から上から目線で話されてるような気がしてきて、怒りが抑え切れず、つい殺してしまったのよ。その時、なぜか、スッキリした感じがして、他の人も同じように殺したの。そして13人目の時に、逮捕され、死刑判決となったのよ。」と、死刑囚になるまでの経緯をだいぶまとめて話したわ。
「そうか、そうだったんだな。」彼の感想は
こうだったわ。
その後、私は色々と準備したわ。遺書を書いたり、心の準備をしたり、部屋の片付けをしたり…色々準備したわ。
そして死刑執行一週間前になった時、デイビットが数人の違う刑務官を連れて、私の部屋にきたわ。私の目には、終わりが見えてきたわ。死刑執行の時が近いことを、私は知ったわ。
「あら?人数多いわね。まさか…」
「お前の死刑は一週間後だ。部屋を移動させる。」
「…わかったわ。」
私は少し悲しくなったの。最後の独房へと着いた時、少し悲しくて泣いてしまったの。それからの日々も、悲しくて涙を浮かべながら過ごしたわ。
そして迎えた執行当日、デイビットが私を
「最後の部屋」
へと連れて言ったわ。そこで、
「電気椅子で処刑するからこのスーツに着替えろ」
と言われたから、着替えたわ。
「着替えたか。」
「着替えたわ」
と小さな会話を交わしたわ。私は最後の食事を訊かれたわ。私は何もいらなかったから、
「…何もいらないわ。」
と言ったわ。そしたら、
「そうか。なら執行室へと行くぞ。」
と言ったから、「わかったわ。」と返事したわ。執行室に着いたら、電気椅子が見えて、少し震え、涙が出てきちゃったわ。電気椅子に座り、刑務官が器具を取り付けたわ。…所長と思う男の人から、最後の言葉を訊かれたから、
「デイビット刑務官を呼んで。最後に話したいの。」
と言ったわ。デイビットが来て、
「デイビット…今まで…一緒に話してくれて…ありがとね…さようなら…」
と言ったわ。その時、彼は号泣していたわ。
「ぐっ…うぅ…」
「泣かないでデイビット。私はあなたのような優しい人に出会えて幸せだったわ。」
と最後の会話を交わしたわ。
「…最後の言葉は以上よ。」
「そうか。それでは、死刑を執行する。総員、配置につけ。」
「はい!」
刑務官さん達がバラけて、布のアイマスクが付けられて、私は、
「いよいよね…」
と思ったわ。
「それでは、囚人番号8256番、スミス・ホワイトの死刑を執行する!」
と聞こえて、私は覚悟を決めたわ。
「ううっ…」
涙を少し浮かべたわ。すると次の瞬間、電気が流れてきたわ。
「ぐっ!うっ…うぅっ、ぐぐっ!」
私は悶え、苦しんだわ。痛く、熱くなる体…体温が急激に上がり、私は暑さと痛さに苦しんだわ。遂には、内側からくる痛みに耐え切れず、遂には、
「ぐっ!うぐぐ…ぐぎ、ぎ…ぎぃぃぃぃやぁぁぁぁぁぁ!ああああああああああ!」
と電気で震えながら叫んだわ。部屋には、バチバチと火花の音が聞こえ、それと同時に、微かに泣き声が聞こえたわ。
「…多分デイビットでしょうね。」
と思ったわ。しかしだんだん、痛みが薄れて来て、そして意識も薄くなったわ。遂には、私の意識が完全に消え、私は処刑されたわ。私の遺体は、股の辺りが排泄物まみれになってる以外は生前の姿のままだったから、元の姿のまま死んだわ。デイビットは、
「8256番…いや、スミス…安らかに…眠ってくれ…」
と言ったわ。私の遺体が電気椅子から外され、どこかに運ばれるとき、デイビットは…泣いていたの…私の顔は、涙が出ていたけど、安らかな顔だったから、デイビットは泣いたのだと思うわ。私の遺体は棺へと入れられ、それが埋められる時、刑務官さん達は
「8256番…いや、スミス…来世では、善人となるのだぞ。」
と言っていたの…
私は、死刑囚として人生を終えたわ。
「こんな処刑法は、非人道的だから消えてほしい。」
とデイビットが言っていたわ。