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吉沢亮(短編)

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吉沢亮(短編)

20 - 彼女が手を繋ごうとしなかったら

2025年08月14日

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【彼女が手を繋ごうとしなかったら】


夜の帰り道。

少し肌寒くなってきた空気の中、亮くんと並んで歩いていた。

けれど今日は、なんとなく手をつなぐタイミングを逃してしまった。

信号待ちの時、彼の視線が横から突き刺さる。

「…なんで、今日はつながないの?」

「え、別に…」

「別にって何」

少し不機嫌そうな声に、私は笑って誤魔化そうとする。

でも、彼は急に立ち止まり、私の手首をそっと掴んだ。

「俺、こういうの気にするんだよ」

その言葉と同時に、彼の手が私の手を包み込み、

そのまま自分のコートのポケットに一緒に入れる。

「…寒いだろ。俺から離れないで」

ポケットの中、彼の指がゆっくり絡んでくる。

指先から、全身にじわりと温もりが広がった。

「亮くん、そんなに気にしてたの?」

「気にする。お前の手は、俺が一番多く握ってたい」

歩きながら、ポケットの中で彼の親指が私の指をなぞる。

その仕草がくすぐったくて、でも胸がいっぱいになった。

マンションのエントランス前、彼はポケットから私の手を引き出し、

そのまま唇をそっと落とした。

「これで、今日つながなかった時間は帳消し」

少し照れくさそうに笑うその顔を見たら、

次は絶対、自分から手をつなごうと決めた。

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