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#高校生
第44話 「一年生エース」
夏の福岡大会 四回戦。
柳城高校 ― 戸畑学園。
ベスト16。
球場の観客も増えていた。
「今年の柳城は強か」
そんな声も聞こえる。
だが福間監督は浮かれていなかった。
試合前。
スタメン発表。
そして球場がざわつく。
「先発 小早川塁」
一年生先発。
夏の公式戦では異例だった。
舞はベンチでスコアブックを開く。
塁は静かにマウンドへ向かった。
史陽がショートから声を掛ける。
「いつも通りな」
塁は軽く頷く。
プレイボール。
初回。
先頭打者。
初球。
ズバン。
外角低め。
見逃しストライク。
球場がどよめく。
二球目。
高めのストレート。
空振り。
三球目。
フォーク。
空振り三振。
完璧だった。
続く打者も抑える。
三者凡退。
柳城ベンチが盛り上がる。
「一年とか関係なか!」
二回。
柳城打線も援護する。
四番のタイムリー。
スクイズ成功。
3対0。
柳城ペース。
しかし四回。
戸畑学園が反撃。
連打で一死二、三塁。
打席は五番。
強烈なライナー。
三遊間。
だが史陽が横っ飛び。
捕球。
すぐ二塁へ送る。
ダブルプレー。
大歓声。
塁も思わず拳を握る。
「ナイス!!」
史陽は表情を変えない。
ただ守備位置へ戻る。
六回。
柳城追加点。
5対1。
塁は疲れが見え始めていた。
一年生。
この暑さ。
この観客。
そして初先発。
足に力が入らなくなる。
七回。
二死一、二塁。
福間監督がベンチ前へ出る。
誰もが継投と思った。
だが。
「行けるか」
塁は汗を拭く。
「行けます」
福間監督は頷く。
「なら行け」
その一言だった。
次の打者。
フルカウント。
球場が静まる。
塁は振りかぶる。
投げた。
渾身のストレート。
空振り三振。
吠える塁。
ベンチが総立ちになる。
九回。
最後の打者。
ショートゴロ。
史陽が捕る。
一塁送球。
アウト。
ゲームセット。
柳城高校 5―1 戸畑学園。
ベスト8進出。
整列後。
記者たちが塁へ集まる。
「一年生で完投勝利の気持ちは?」
塁は少し困った顔をした。
そして短く答える。
「まだ一試合なんで」
派手な言葉はない。
だが福間監督は思っていた。
この一年生投手。
想像以上に大舞台へ強い。
そして柳城高校は、再び福岡の頂点へ近づいていく。
第44話 終
コメント
1件
うおおお第44話、めちゃくちゃ熱かったです!!🔥🔥 一年生の塁がまさかの夏の公式戦先発ってだけで胸熱なのに、初回からの落ち着いたピッチングに「一年とか関係なか!」ってベンチの声にグッときました😭💕 そして四回の史陽の横っ飛びダブルプレー!あそこ神すぎてもう声出た…無言で守備戻るの渋かっこよすぎん??✨ 七回の福間監督「行けるか」→「行けます」のやり取りも痺れたし、ラストのインタビューで「まだ一試合なんで」ってクールに決める塁、もう推すしかないです👏👏 ベスト8進出おめでとうございます!次も絶対読みます〜!🌸