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病院の帰り、どうしてか和葉とベンチに座っていた。
無言のまま和葉がベンチに腰を掛けて、私もとりあえず隣に座ってみたけど……今日の目的は終わったはずなんだよね?
「あの和葉……帰らないの?」
「キャラメル食いたい」
「……会話になってないよ」
「一応事情話しておこうと思って」
和葉の横顔を見上げてみるけれど、無表情。
何を考えているのかさっぱりわからない。
「みちよは歩の妹で、昔救われた。あと、そうだ……武蔵に拾われたのもその頃だな」
「拾われたって……」
「まあ、色々あって」
色々とは恐らく九條の家に関することなのだろうな。
普通の家とはどこか違う九條は、彼らを縛り付けて苦しめているように見える。
昔のことを思い出すように目を伏せた和葉がおもむろに話し出した。
幼い頃の傷と、甘い味を知った記憶の話を——。
海の紅月くらげさん