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ラーナといえばカエルの女の子だ。知らぬ間にいなくなっていたと思っていたが、魔石の中に潜在していただけだったみたいだ。
「な、何なんだ、その子は!?」
「……いいものあげる」
「なんっ――?」
ラファーガは気付いていないようだが、おれのフリーズの真下に水の塊が出来ている。放っておいても今にもこぼれそうだ。
「う、うわああああああ!?」
ラーナが作り出した水の塊が油断のラファーガに命中。滝のような水流がおれを巻き込み、奴もろとも地面に叩きつけられた。ラファーガは意表を突かれたようで、状況判断出来ないくらい見失っている。
「次、アックの出番。早くやる!」
「あ、そうか」
全身を濡らしたまま仰向けで両肘をつくラファーガ。そんな状態の奴に、上空からフリーズが直撃する。
「そ、そんな……あ、ああぁぁぁぁ!?」
氷の塊をまともにくらったラファーガは驚いた姿勢のままで凍った。いくら奴でも予想しなかった結末だったようだ。
「助かったよ、ラーナ」
「両腕を広げて、構えて」
「うん?」
「落ちてくる」
会話が成り立たないが言われた通りにした。その場で立って待っていると、上空から何かの声が聞こえてくる。
「ひぃえええぇ~!! 落ちる~落ちちゃう~」
そうか、ルティの声だな。そういえば風に護られながら浮いていたんだった。パニックで手足をバタバタさせているが何とかなるだろう。風の魔法でも対応出来るが、ここはラーナの言う通りにしてみた。
そして、
「わわわああ~!? アック様、ルティをお許しください~」
ドンッ、とさせた音に驚き、ルティは目を瞑ったまま全身を硬直させている。
ふう、何とかなったな。
おれの腕のなかにはルティが収まった。
「大丈夫か、ルティ?」
「はえ? アック様の声がとても近くから聞こえますけど、ここはもしかして天国ですか?」
「何でだよ」
「ほ、本当にですか? 本当に本物の~……」
ルティの中ではどういう扱いをされているんだ?
おれがあんな奴にやられるはずが無いというのに。
「……疑ってるなら触っていいぞ」
「そういうことなら、遠慮なく……」
間近なルティが手を伸ばし、おれの顔やら腕をペタペタと触りまくる。どうやら現実ということを確かめているようだ。
「お、おお~これはアック様ですよ! しかも、だ、抱っこしてくれてますねえ~えへ」
「……まあな」
「空から落ちて来たら目の前にはアック様! わたし、本当に天国かと!」
「現実だ。安心したか?」
「はいっっ!」
どうやらいつものルティに戻ったようだ。さて、風の神をどうするか。奴は氷漬けのまま動く気配を見せていない。このまま放っておいても問題は無さそうだが。
「アック。融かして元に戻す! 早く」
「あ、あぁ、そうだな」
ラーナだけは至って冷静だ。まずはルティを降ろすことにする。
「あれぇ? アック様?」
「あいつを何とかするからひとまず降りてくれ」
「嫌ですよ! アック様が抱っこしてくれるなんて滅多に無いことなんですよ? このまま腕のなかに抱かれていたいです!」
「……そうか。それなら多少の熱さは我慢出来るな?」
「はいっっ……?」