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冠番組収録本番 。
スタッフが何やら裏で揉めていた。機材トラブルかなんかだろう、とメンバーのほとんどは気にも留めて居なかったが 、
💙「なんかあったんすか?」
現場の空気が悪いと、出演者にも影響が出てしまう。大抵の芸能人のいい癖はそうだった。俺らがまだ入って間もないジュニアの下っ端時代は、しょっちゅう起こりうる事だった。俳優のオフの顔を暴け、みたいなドッキリ企画は大抵事前に演者を通して打ち合わせ済み。本来ならスルーするはずの事を、してやってるだけ感謝してほしい、と言わんばかり。
しかし 、彼はそんなのを覆すほどの偽善者の見本だった。ライブ本番 に 機材トラブルがあり 、マネージャーと揉める スタッフの一部始終を目撃すれば 、直ぐに 間に入り仲介人を する姿が 常に目に入っていた。 表では 、素直じゃない 5歳児といじられキャラ だが 、根はいい子ちゃんってわけだ 。
💙「ふっか、これ一緒に運んでくんない?」
和解したスタッフたちと何処か満足気な表情を浮かべる彼に思わず、ぷっ、と思わず吹き出していた 。
💜『なべは、ほんとお人好しだよね〜』
{ side 🖤 }
💛「じゃ、お先に。」
🩷「あー!照、待って待ってー!!」
🖤「相変わらず、皆準備早いですねー」
💙「御前らが遅いだけだろ、」
🖤「ふふ、こうしてしょっぴーと長く入れるなら毒舌も大歓迎だよ?」
💙「意味わかんね〜。俺寝るから、時間になったら起こせよ?」
🖤「はいはい、」
宣言通りにものの数秒で寝る彼には何度も驚かされてしまう。あどけない口元や、ふわふわと甘ったるい香水が鼻をつつく香り。襟元から微かに覗く白磁のような、透き通るような 肌 。その全てに目が奪われる。無防備にも 突き出している唇に指先を当てると、ぱくっ、と食べられてしまう。耳元に掛かる 髪をそっ、と退かし 艶やかな輝かを纏う 唇に顔をゆっくりと近づける。
💜『めめー、舘さん見てない?』
不意に、予想だにしていなかった展開と共に彼との甘い空間が破れると、はぁ、と重たい溜息が零れる。あとちょっと、あと数センチ、のほんの少しで彼の唇に触れられるタイミングを奪われる。
🖤「はぁ、知りませんけど。」
💜『そっかそっかー。んじゃ、舘さんにこれ渡しといて?』
そう言ってそそくさと楽屋を後にする彼に、安堵のため息を漏らす。てっきり一部始終を見られたのか、なんて焦っていた。こうも俺の中でぐちゃぐちゃとした感情が入り交じる中、当人の彼は呑気に眠っている姿にだんだんの腹が立ってきた。
🖤「あー!もう、なんでこんだけ近くに居て気づかないんだよ。」
どかっ、と勢いよく彼が眠る横に無理やり押し入れば、次第にその温もりに包まれるように、細身の身体へと腕を回し入れ、深い眠りへと着いた。