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「高校生、か…」
鏡に映っている、新品のブレザーを身に纏う
自分の姿。
今日から高校生活が始まると言うのに、全く
実感が湧かない。
「行ってきます」
「あぁ……四季」
「分かっています。お父様」
「ならいい」
俺は中学生の頃から神社に毎日通っている。
そう遠くはない、歩いて5分くらい。
高校は、家を出て徒歩20分程度で着く場所。
この高校を選んだのは俺ではなく、父だ。
俺は父の命に従って羅刹高校を受験した。
羅刹高校は日本で一番偏差値の高い高校だ。
そう簡単に入学できる高校ではない。
俺は中学の時と同じように早めに家を出て、
神社にお参りをしてから学校に向かう。
神社で神様に願うことも七夕の短冊に書くことも、初詣の願い事も────
何年も変わらず同じこと。
勉強道具がたくさん詰まったリュックを背負い歩いていると、遠くに校門が見えてきた。
春の風が、校門に立つ桜の枝を揺らしている。
新しい濃紺のブレザーに身を包んだ生徒達が、少し緊張した面持ちで校舎へと吸い込まれていく。
見慣れない廊下、
見慣れない教室、
そして────
まだ名前も知らない人達。
体育館に足を踏み入れると、ざわめきが波の
ように広がっていた。
やがて開式の言葉が響き、ざわめきが静寂へと変わる。
「新入生、入場」
その声を合図に、一歩、また一歩と歩き出す。
今日から俺は、羅刹高校の生徒になる。
窓の向こうでは、春の陽射しを浴びた桜が、まるでこれから始まる三年間を祝うように揺れていた。
俺はじっと席に座る。
……ただ、なんか気になって仕方ない。色んなところから感じる目線。
なんだろう…こそこそ言われてる気がする…
「あの子可愛くね?」
「思った!男…だよな?」
「超美少年じゃん。1組だ」
「連絡先交換できないかな〜✨」
「彼女とかいるのかな?」
まさかそんな事を言われているなんて知る由もない俺は、静かに式の進行を待った。
「──以上で、校長による式辞を終了いたします」
どんどんと入学式は進んでいき、そろそろ呼ばれる頃か、と席を立つ用意をする。
しっかりしろ、俺。お父様の顔に泥を塗らないように…
心の中でそう活を入れた時、
「新入生代表による、宣誓」
体育館に響く、進行係の声。
「新入生代表…一ノ瀬四季」
名前を呼ばれ、立ち上がる。
「はい」
壇上へと歩き出した。
一気に集まる視線。
人前に出ることに慣れている俺は、緊張とかはしない。
ただ思っていることは”一ノ瀬”という大きな看板に泥を塗ってはいけないというプレッシャー
そのプレッシャーは小学生の高学年くらいからずっと俺を縛り付けている。
まるで、深い深い海の底で鎖に繋がれているみたいに
俺を縛り付けて離さない。
「───本日は誠に有難う御座いました。」
長々と代表の挨拶を読み上げ、一礼をすると、館内が拍手に包まれる。
重いプレッシャーから解放された俺は、手の震えが誰かにバレないよう少し速足で自分の席に戻った。
皆さん、こんにちは!
★HOSI★です!
最新作「泣きたくなるほど優しい君を」の連載を開始しました!
この作品はめちゃくちゃ丁寧に書いています!なので投稿頻度がこれまでよりも遅くなってしまいますが、どうか ご了承ください🙇
温かい目で見ていただけると嬉しいです♪
次回もぜひご覧ください❗️
コメント
5件
**寺島あおいです🌷** 第1話、拝読しました! 一ノ瀬四季くんの「新入生代表」としての重圧と、それに縛られる少年の繊細な心情がとても丁寧に描かれていて、引き込まれました。特に「深い海の底で鎖に繋がれている」という比喩がグッと来ます…。お父様との関係も気になりますし、周りの生徒たちが「美少年」と噂するシーンで、これからどんな人間関係が動き出すんだろうとワクワクしました。 続きがとても楽しみです!🌸