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「理子」
「ん?」
たっぷり遊んだ帰り道。
妙に寛容な大人たちにあやかって遊び尽くし、時刻はとうに朝4時を過ぎていた。
「ほんとに終わっちゃうんだね」
「何が?世界?」
「世界」
「そーだね」
未来は明るくなってきた空を見上げる。
「いや、もうなんか小学生くらいから予告されてはいたけどさ」
「ほんとに終わっちゃうってなると、話って別だよね」
理子が制服のポケットを漁る。
手の中には、500円玉。
「ねぇ、 理子」
「どしたん未来」
迷うように、オブラートな言葉を選ぶ。
途中で自分らしくないと思ったのか、まっすぐな言葉を取った。
「うちら、死んじゃうんだよ。大人になんてなれないまま」
「そだね」
「働きたくはなかったけどさ、社畜経験くらいはしたかったよね」
「それな。社会に出てみたかったってのはある」
「理子。理子は、何したい?」
「うちはね…今けっこー満ち足りてる」
「幸せじゃん」
「そうなんだよ」
「じゃあ、どうしよっか」
「良い考え、あるよ」
2人は駅まで歩いた。
「電車とか走ってんの?」
「ご自由に運転下さいだよ多分」
「ウケるんだけど」
「それな」
「で、がちなんかい」
駅構内には誰もいない。
世界滅亡まで12時間を切って、真面目に仕事する人間もどこかへ遠出しようとする人間もいないのだ。
「ここはうちらが運転するぜ」
「アリよりの有吉」
「有吉誰やねん」
「ブレーキこれ?」
「この辺のレバーとかいじったら発車すんじゃね?」
「アナウンスあった!」
「ちょ、うちにやらして」
「ええよ」
「んんっ。えー、ドアがしまりまーす」
「しめまーす」
「まじでしまった…理子すご」
「発車しまーす」
「しまーす」
電車が動きだした。
「大丈夫なん?」
「まっかせとけよ!未経験」
「逆に経験あったらダメだろ」
「それな」
「どこ行くん?」
「海」
「ま?」
「ま」
「おもろ」
「でしょ」
「ほんとに行くの?」
「もち」
理子は自信満々でハンドルを握った。
「操縦ゲーすらまともにやったことないけどまかしとけ」
「頼もしwww」
一方未来は最後まで変わらない友人の姿を見て爆笑した。