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早いもので季節は冬。
1月の成人式シーズンを終えて、私達は先に新居に住むことになった。
3月の初めに行われる結婚式が済んだら、卒業式などで美容師としての仕事が多忙な時期になる。だから、その前に引っ越しを済ませておこうと悠人が言ってくれた。
有難いことに、家具も全部悠人が用意してくれた。
私にはもったいないくらいの新居。ここで、私達は家族として暮らす、本当に夢のようだ。
ホール部分は、天井も高くて開放的。天窓は、スイッチで開け閉めができ、今は明るい日差しが十分に降り注いでいる。真っ白な壁紙やフローリング、ウッディでオシャレな家具、全てが真新しくて気持ちがいい。
リビングがとても広くて、そこから大きな窓を開けると、続きで屋根付きのウッドデッキがある。良い季節には、庭のお花を見ながらお茶を飲んだりバーベキューもできそうだ。
それぞれの部屋や客室もホテル並に綺麗で、こんな理想が詰まったお家で暮らせるなんて……すごく幸せ。この空間に悠人と一緒に居られることに、深く感謝したい。
でもその分、結婚しても、私は美容師としてもっと成長しなきゃと思ってる。悠人の期待を裏切りたくなかったし、今はお客様に喜んでもらえることが嬉しいから。指名もどんどん増えていくのが、自分自身の励みになってる。
悠人と出会った頃の私とは、全く違う自分になれたと実感できる。
私は、悠人のおかげでこんなに変われたんだ。
これからも前だけ向いて頑張ろうと決めてる。
毎日が慌ただしく過ぎてゆく中でも、この家で一緒に過ごせる時間を、私達は本当に大切にしていた。
「寒いから中に入ったら?」
ウッドデッキで星空を見ていた私に、悠人が声をかけた。
「うん。でも、もう少しだけ……」
そう言った私の隣に、悠人がスっと立った。
優しく肩にショールをかけてくれて……それがすごく温かかった。
今さらだけど、悠人は本当に背が高くて、隣に立たれる度にドキドキする。それに、ほのかにいつもセクシーな大人の香りがするし、こんな魅力的な男性の横にいられるなんて、幸せを噛み締めずにはいられなかった。
「今日は星座が綺麗に見えるの。ほら……あれ、オリオン座」
私は、その星座を遠く指差した。
「綺麗だね」
2人で星空を見上げる。
「悠人、知ってる? オリオン座のひとつの赤く輝く星がベテルギウスって言ってね。その星は、もうすぐ寿命で爆発して無くなっちゃうかも知れないんだって。今、見えてる光は640年前に光ったもので、もしかしたら、もうベテルギウスは無くなってるかも知れないって。オリオン座が今の形じゃなくなったら……ちょっと寂しいなって……」
「穂乃果は、星座博士だな」
「子どもの頃から好きなだけだよ。特にオリオン座が大好きで、冬になると、毎晩空を見上げてた。だから……無くなってほしくないなって」