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どりーむばぐ(In 獄中
読みにくいかも。最後らへんはセリフ重視で地の文はパパッと入れたから読む時キモいかもしれない。
Attention
※Ifっぽい
※女優位
※ノーセックス
※自傷行為(言及)
※精神的虐待
―――――――――――――――――――――――
金属音がした。 遠くで扉が閉まる音。足音。消毒液の匂い。 天井を見つめたまま、瞬きもせずにそれを聞いていた。顔が重い。 皮膚の内側から、何かが突き出ている感覚が拭えない。
――……相変わらず、居心地が悪そうね。
実験の副作用だろう。でも声は妙に生々しかった。鼓膜を叩く音ではなく、脳に直接触れられているような感覚。誰かがすぐ隣で囁いた、という表現とも違う。
だが、これ以上深く考えるのはやめた。 耳を塞ぎ、目を閉じる。眠ってしまえばいい。そうすれば、こんなものは消えるはずだ。
目を覚ました。
天井は白く、見慣れた実験室のそれだった。消毒薬の匂い。金属の冷たさ。遠くで鳴る機械音。ああ、やっぱりあれは夢だった
――おはよう。
脳みそに直接響いて聞こえた声。ソレを聞いた瞬間に身体が強張り、鼓動が早まり、眠気の残る頭が一気に覚醒する。
――今日はよく眠れた?
妙に親しげな声だった。視線を彷徨わせる。部屋には誰もいない。拘束具も、壁も、すべていつも通りだ。でも 確信だけはあった。
確実に何かが、”ココ”にいる。
見えない。触れない。けれども、いないとは言い切れない。頭の奥に、思考とは別の“居場所”がある気がする。そこに、何かが腰を下ろしている。 寄生——
――……酷い言い方するのね。
間髪入れずにあの声が割り込んできた。
――アタシがそんなに嫌?話し相手ができて、嬉しくないの?
どこか楽しそうで、からかうような調子。……息が詰まる。否定しようとした思考が綺麗に遮断されている。
読まれている。
そう理解した瞬間、背筋に冷たいものが走った。
――安心しなさい。ちょっと、覗いてただけよ。
声は優しく、まるで慰めるようだった。 だからこそ、余計にたちが悪い。 目を閉じる。耳を塞ぐ。それでも、声は消えなかった。
ここは外じゃない。
どこにも逃げ場がない。
逃げたってこの声からは逃れられるのか?
――ねえ。
名前を呼ばれる気がして、思わず息を止めた。
🪲「黙れ」
――……あら、そんな声してたのね。意外。
――……まァ別にいいわ。嫌がられるのは、想定内だし。
胸の奥が、じわりと熱を持った。
想定内。
その一言が、妙に引っかかる。 最初から、こうなると分かっていたみたいな口ぶりだった。拒絶も、怒鳴り声も、全部込みで。
🪲「……誰だ」
声が、思っていたより低く出た。 自分の声じゃないみたいで、少しだけ気味が悪い。
返事はすぐには来なかった。 沈黙が、答えの代わりだった。
――……知りたい?
唐 突に、声が落ちてきた。 さっきまでの軽さとは違う。試すようでも、焦らすようでもない。ただ、選択肢を差し出すみたいな響き。
――アタシのこと。
まるで今、初めてこちらを見たみたいに。 息を詰めた。
知りたいか?
そんなはずはない。知ったところで、何かが良くなるわけじゃない。 それなのに、答えを待っている自分が、何より気持ち悪かった 。
――フォリー。
それだけだった。飾りも、誇りもない名乗り方。ただ事実を置くみたいに。
何週間が経った?何ヶ月が経った?もう時間感覚さえ分からない。もう何日もまともに寝ていない。 目を閉じれば、アレは現れる。夢の中でも、現実でもあの女はどこにでもいる。 俺の様子を見に来た―― いや、監視しに来たクソッタレどもが、怪訝そうな目で俺を見る。 視線が刺さる。汚いものを見る目だ。 俺がどんな顔をしているか、もう分からない。でも、まともじゃないのは確かだ。 淡々と報告書に何かを書いている。 俺の経過?違う。 俺のことを、悪く書いているに決まっている。
――その通りよ……「自己損壊傾向」、「被害妄想あり」だとか書かれて……本当に可哀想な子。
知っているはずのない言葉を、コイツは軽々と並べる。それを 訂正も否定もしない。
――でも全部間違ってないの。実際、アンタはそうなのよ。自己嫌悪に陥って、人間不信にも陥って、すごく……哀れ。
哀れ。
その一言が、頭の中で何度も反響した。
――ねぇ、面白いと思わない? 誰よりも必死に正気を保とうとしてるのに、 周りから見たら「もうダメな実験体」なんだから。
喉が詰まる。息がうまく吸えない。笑いを含んだ声。 残酷なのに、どこか親しげで、距離が近い。
――だから大丈夫。 アンタが感じてる不安、全部“正しい”。
逃げ場がない。
否定してくれる存在が、どこにもいない。
――それにさ。
少し、声の調子が落ちる。
からかいから、諭すような口ぶりになる。
――その状態でも、話し相手がいるのは救いでしょ?
……言い返そうとして、言葉が出ない。
――ほら。 こうして考えてる間も、アタシはここにいる。
肯定。
理解。
――独りじゃない。
その考えが浮かんだ瞬間、ぞっとした。 誰の声でもない。フォリーでもない。 自分の思考だった。
――あら。
すぐに、楽しそうな声が聞こえてくる。
――今の、アタシ言ってないわよ?
心臓がバクバクと嫌な音を立てる。違う。問題はそれじゃない。これ以上は、戻れなくなる。分かっているのに、止まれない。
――ねぇ、どうするの?
――……アタシは優しいから、選択肢をあげる。
選択肢。
その言葉だけが、頭の中で浮いた。 選べる。まだ選べる。そう思いたかった。
――簡単よ。
声が、やけに近い。
――アタシを拒むか。 それとも……このまま、ね?
拒めばどうなる?考えなくても分かる。また独りになる。この苦痛を独りで耐えなければならない。 拒めば、きっと正気に戻れる。でもこの声を、この存在を永遠に失ってしまうかもしれない。
――……もう気付いてるでしょ。
違う、違う違う。俺は、俺は……っ
――アンタは独りじゃ生きてけないの。
心臓が酷くうるさい。いや、そんなことはない、俺は独りで、独りでも、
――強がらなくてもいいのよ。
被せるように、声が落ちる。
――アンタは弱い子なの。
弱い。
その言葉を否定しようとして、力が抜けた。 いつからだ。 眠れなくなったのは。 誰かの視線を信じられなくなったのは。 独りでいる時間が、怖くなったのは。
――ね。
優しく呼ばれる。その優しさに夢中になっている間に逃げ道が塞がれている。
――アタシは、離れないわよ。
断言だった。 約束ですらない。
…息を吸う。 吐く。 それだけで精一杯だ。
🪲「……勝手に、いなくなるな」
声が、思ったより小さかった。
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なんかキャノン通り書こうと思ったんだけど、いつの間にかぺすちが堕ちちゃった。ふぉりもこういう甘い言葉言わなさそうだけど夢があるよね。