「………何すかそれ。」
僕、常盤優栗はそこらへんの教会の聖職者だ。
なりたくてなった訳じゃないけど。
「いやいやいや、あそこの森からとんでもない悪霊の気配がしてさぁ!」
最近、とある森からとんでもない悪霊の気配がする、と話題になっているのだ。
「だからどうしたって話なんですけど。」
「行って確かめてみてくれね?」
「どうしてですか?」
「俺、近づけなかったんだよね」
「は?」
僕ら「聖職者」なるものは悪霊の気配を感じ取り祓うことができるが、自分では祓えない次元の悪霊には近づくことすらできないのだ。
「………分かりましたよ。行けばいいんでしょ?」
「……ここだよな?」
着いたのは街の外れにある少し大きめの森。
ここにいる限り悪霊の気配はしないが………。
「……っっぁ⁉︎」
突然、とんでもなく強い悪霊の気配と強い風。
幸い服装は普段着なので体は影響ないが、悪霊祓いに必要なもの全てが入ったバッグが飛ばされた。
「くっそ……」
その時。
『……やっぱり。こいつにきーめた。』
謎の声と同時に、視界が闇で包まれた。