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『今日のモフモフTime。今週のこの時間は世界中の”モフモフ”に癒される─────』
「わーっ、”モフモフTime”だー!今日だったのすっかり忘れてたよー」
東京都内某所、探偵事務所の2階にあるリビングでは、TVに食い入る女性の姿があった。
「ねーアキくん、今日の”モフモフTime”始まったよー?そろそろ起きよーよ」
女性の視線の先にはソファでタオルを被り、横たわってる男性がいた。
「ねーねー、ソファで寝たら体悪くするよー」
「ぅるせぇ」
「ん??あ、また”うるせえ”っていった?!いっつも言ってんじゃん!レディー相手に”うるせえ”─」
「あーあーすみませんでしたー」
タオルの中からのっそりと起き上がった男性は、寝起きだからか半目を開けて女性を見た。
寝癖が暴れまくった黒色の髪の毛、灰色のパーカーと黒のスラックスを着ているのは私立探偵の鳥谷部暁人(トリヤベ アキト)だった。
「お前こそなんでここ(事務所)にいんだよ、野々花。今日は学校じゃねーのか」
「サボりー。私頭良ーし」
長谷倉野々花(ハセクラ ノノカ)。現在高校三年生であり、学力は首席トップ。今日は平日であり、学生のはずの野々花は、もう高校に行ってる時間だった。
「小葉はどーした」
中村小葉(ナカムラ コノハ)、私立探偵である暁人の助手。大学生である彼は散らかってる暁人の事務所を綺麗にしたり、たまに依頼がくる事件解決時の足となってくれていた。
「小葉くんは今日いっぱい休みでしょ、ボケ親父」
「はー、もうオヤジな歳か」
「んにゃ、オヤジとーりこしてジイサンだね」
野々花が暁人を指差して高々に笑う。「あんまり言うと追い出すぞ」
「てかお前マジ何しに来た、ってさっきも聞いてけどな。わざわざサボってまで来た理由は」
暁人は野々花の顔を見上げる。
「あっ、そーそー。アキくんに伝えたい事があってね!その様子だとニュース見てないでしょ」
「今まで寝てたよ。ニュースってあの”モフモフTime”やらか?オジサンは興味ねえからな」
「のんのん、事件だよ!日本を巻き込んだ、ね」
野々花が素早くリモコンを操作する。TVに映し出された画面を暁人は黙って眺める。
『副総理!どういったことですか!』
『副総理、あの検査結果ほ本当ですか?』
たくさんの記者が一人の女性に向けてフラッシュやボイスレコーダーを向けている。
『ただいま事実を確認中ですので────』
『事実を確認中?何を仰る、自身のことなら確認する必要もないじゃないじゃないですか』
『私に妹は存在しません!!』
「んで、これは?」
「昨日未明、都内の山奥で女性の変死体が見つかったのよ。その女性は”ウイッチ”と呼ばれる団体に所属していたことからその団体の”裏切り”として制裁を受けた。っていう巫山戯た推理が警察の見解ね」
「なるほどな、だったらただの団体殺人だろ。何故副総理が報道を受けている?」
「亡くなった女性のDNAや、血液検査をしていたら、血縁関係に副総理である晴山香乃恵(ハルヤマ カノエ)があったのよ」
「それは大変だな」
「うわ、他人事〜でもアキくんもそろそろそんな事言えなくなるよ」
「?何が────」
事務所の受話器が鳴り、野々花が得意げな笑みを浮かべる。
「さ、依頼が来たね」