呪霊降濁

透は、仲間を失った悲しみの中、虚無感に包まれていた。高崎の空は依然として暗く、死者の悲しみが漂っている。周囲の景色は崩れ去り、戦場の跡が静かに残る。

「俺は……何をすればいい？」透は呟く。仲間たちの声が、耳の奥で反響する。彼らの力、想いを背負って進むべき道を模索していた。

その時、透の前に影が現れた。冷たい空気が流れ、彼は緊張を感じた。目の前には、残る呪詛の王の一人が立ちはだかっていた。

「ふふ、仲間を失ったか。無駄な抵抗だと思っていたが……」その声は低く、冷たかった。

透はその姿を見つめ返す。彼は深呼吸し、心を落ち着けた。「お前が、呪詛の王の一人だな。お前を倒す！」

「愚かだな。私は『黒氷』。私の術式は、時間を凍らせる力だ。」黒氷は冷たい微笑みを浮かべ、周囲の時間が一瞬で止まった。

透の動きが鈍くなり、時間の流れが彼を捉えていた。「これが……時間を凍らせる術式か！」

「そう、私の前では何もできない。弱くなったお前は、ただの的だ。」黒氷は透に迫り、冷酷な視線を向けた。

透は焦りを感じながらも、仲間たちの想いを思い出した。彼らの力を背負うことが、今の自分にできることだ。

「たとえ時間を凍らせられたとしても、負けない！仲間のために、俺は戦う！」透は力強く叫び、その言葉を励みに立ち向かう。

透の中に秘められた力が高まり、周囲の空気が変わる。彼の心の中で、仲間たちのエネルギーが渦巻き、再び力を得た。

「お前の術式は、俺には通用しない！」透は全力で突進し、黒氷に向かって攻撃を放った。

黒氷は驚いた表情を浮かべる。「何だと！？時間を無視するなんて！」

透の攻撃は黒氷を直撃し、時間が凍る瞬間を突き破る。彼の中の力が解放され、周囲の空間が一瞬で弾けるように変わった。

「俺は、仲間のために進む！」透の叫びが響く。

黒氷は力を失い、崩れ落ちた。「なぜ、こんな力を……」

透は勝利を手に入れたが、その表情には悲しみが色濃く残っていた。「仲間たちのために、俺はもっと強くなる。呪詛の王をすべて倒すんだ。」

彼は仲間の思いを胸に、次なる戦いへと歩き出す。残る呪詛の王がいる限り、戦いは続く。